再び3年ぶりになりますが、ポルノ・買春問題研究会の『論文・資料集』第14号(第Ⅱ期第4号)を発行しました。値段は、印刷費等も上がっており、今回は1200円です。注文はこちらのメールフォームからどうぞ。
特集は2つです。1つは、女性と少女に対する暴力問題国連特別報告者であるリーム・アルサレムさんの2つの報告です。この報告のうち、2つ目はすでにこのAPP国際情報サイトにアップしましたが、今回、訳文をいっそう改善するとともに、1つ目の報告といっしょに掲載しました。
2つ目は、ポルノ・買春問題研究会の中心メンバー3人が、昨年の日本女性学会大会の分科会で行なった報告を文章化したものです。その後、この報告をめぐって、「トランス差別」だとする一方的な非難が寄せられたことにより、日本女性学会幹事会内でたいへんな紛糾が起こりました。内部でワーキンググループが立ち上げられ、何ヵ月もの議論を経て、分厚い報告書が今年になって発表されました。しかし、その内容に納得しない一部の幹事会員と元幹事会員の有志とが、わざわざ私たちの報告を「トランスジェンダーに対する差別や攻撃に満ちたもの」だと攻撃する声明(4.21声明)を発表し、それに対して多数の署名を募るという行動に出ました。これは、幹事会としての内部自治を自ら破壊し否定する暴挙です。
分科会における私たちの報告はごく一部の修正を除いて(あらかじめ言っておきますが、この修正は純粋に技術的なものです)、そのまま今回の『論文・資料集』第14号に掲載されていますので、それを実際に読んでいただいて、いったいどこが「トランスジェンダーに対する差別や攻撃に満ちたもの」であるのか、読者のみなさんが判断してください。
なお、中里見博さんによる特別の補論も掲載されていますので、ぜひお読みください。その他、郡司真子さんによる特別寄稿「AV新法のその後と性搾取構造」という力作論文なども掲載されています。
最後に「資料」として、今から100年以上前の山川菊栄の短い記事(当時、『東京朝日新聞』に掲載されたもの)を掲載しました。関東大震災後に首都の再建計画の中に、火事で焼失した遊廓の復活を認めないよう訴えるキリスト教婦人矯風会の運動を全面的に支持するとともに、これらの活動家を含むより大きな活動団体、公娼廃止期成同盟を作ろうと呼びかけたものです。これまでのどの論文集にも収録されていないものです。
【目次】
特集1 リーム・アルサレム(国連特別報告者)の2つの報告
リーム・アルサレム「売買春と女性・少女に対する暴力」(2024年5月)
リーム・アルサレム「売春当事者女性を対象とした離脱プログラムの実施から得られる教訓」(2024年10月)
特集2 フェミニズムと表現・出版・学問の自由
森田成也「危機に立つフェミニズムと表現の自由」
キャロライン・ノーマ「欧米におけるキャンセルカルチャーとフェミニズム」
中里見博「フェミニズムと表現の自由―ポルノ批判vsトランス差別批判」
「補論:ジェンダークリティカルな主張は「トランス差別」か?」
〈特別掲載〉
郡司真子「AV新法のその後と性搾取構造について」
森田成也「戦前における山川菊栄の廃娼論とその限界」
〈資料〉
山川菊栄「女人侮辱」(1923年11月7日)
今回も印刷版のみの提供です。ご注文はこちらからどうぞ。注文の際は、必ず、住所と名前を明記し、「『論文・資料集』第14号を注文します」と書いてください。消費税分はいただきません。
出版記念として、最初の半年は郵送料無料でお届けします。『論文・資料集』といっしょに振込用紙を送りますので、その振込用紙でお支払いください。
なお、注文を受けてから実際に発送するまで、場合によっては、数日から1週間かかることもありますので、気長にお待ちください。