ジュリー・ビンデル「グルーミング・ギャングに対する非難は小さすぎるし、遅すぎる」

【解説】昨日の投稿に続いて、イギリスの「グルーミング・ギャング」スキャンダルに対する論考です。筆者は、この問題に1990年代から取り組み続けてきたジュリー・ビンデルさんです。フェミニストがこの問題を告発していた時には無視していた右派は、労働党の失態を攻撃できる機会であると見るや、突然この問題を取り上げ始めました。

ジュリー・ビンデル

『アンハード』2025年1月4日

 「グルーミング・ギャング」スキャンダル(「レイプ・ギャング」と呼ぶ方がより正確である)が再浮上した。これは、主に、オールダム〔マンチェスター近郊の都市〕における過去の児童虐待に関する内務省主導の調査を、ジェス・フィリップス児童保護相が拒否したことに関する元日の報道のおかげである。この拒否の決定は、「オールダム議会だけの仕事」という理由に基づいていた。

 この問題が再び全国的な注目を集める中、これまで児童性虐待を非難することにまったく関心を示さなかった多くの人々が、議論の最前線に立っている。「X」のオーナーであるイーロン・マスクは、このスキャンダルを暴露した功績を誤って帰せられている活動家のトミー・ロビンソンの釈放を働きかけている。実際には、マスクのヒーローはレイプ・ギャングの事件を暴露したどころか、複数の少女に対して恐ろしい性的暴力を働いた複数の男性に対する2018年の裁判をほとんど台無しにするところだった。

 私は1990年代後半から、リーズで組織的な児童性虐待の被害者の親たちとともにキャンペーンを展開してきた。 人身売買根絶連合(Coalition for the Removal of Pimping)は、13歳や14歳の少女たちが年配の男性にグルーミングされ、強制的に「関係」を持たされ、その後、町中の友人や仕事仲間相手に売春させられることを懸念した母親、アイリーン・アイビソンによって設立された。同じことがアイビソンの10代の娘にも起こったのである、その娘は結局殺害された。最終的に、この組織の親玉が映画制作者の興味を引くこととなり、チャンネル4向けにドキュメンタリー映画『Edge of the City』が制作された。

 だが、2004年5月に放映予定だったこの映画は、放映の数時間前に放送中止となった。〔極右の〕イギリス国民党がそれを「党の政治放送」として利用・宣伝したからだ。ウェスト・ヨークシャー警察の警察本部長は、人種暴動を引き起こす可能性があるとし、放映は危険であると主張した。私は、この映画が伝えるストーリーをよく知っていた。多くの弱い立場にある若い女性たちが、パキスタン系イスラム教徒の男性たちを中心とした組織集団によって性的虐待を受け、売春を強要されていたのだ。国民党の行動のせいもあって、これらの男性たちの恐るべき犯罪が広く知られることがなかった。

 同様に悲劇的だったのは、2000年代初頭にブラックプールで組織的な人身売買ギャングに狙われたシャーリーン・ダウネスのケースだ。私は彼女が失踪した翌年の2004年から彼女の失踪の経緯について調べ始めた。主に褐色の肌の外国人居住者が多かったことから「パキ・アレイ」と呼ばれるブラックプールの一角で、シャーリーンは、テイクアウト店を経営する複数の男たちからウォッカやタバコと引き換えに虐待を受けていた。さらに悲劇的なのは、パキスタン人の男たちに捕まる前に、すでに何十人もの白人男性から虐待を受けていたことだ。なぜ右派は、英国の白人男性に虐待されていた少女たちがいた時に声を上げなかったのか?

 では、何がなされるべきなのかという問題は未解決のままである。ロッチデールやロザラムの調査に加えて、さらに新たな調査を行なうならば、何か成果が得られる可能性が高まるのだろうか? だが、2年ほど前に最終報告書を公表した児童性虐待に関する独立調査(IICSA)はほとんど報道されず、その提言の多くはいまだに実施されていないのだ。

 その代わりに必要なのは、犯罪者を検挙し起訴できるよう、刑事司法制度のあらゆる分野に適切な投資を行なうことである。特定の男性グループが児童レイプで罪に問われないような、文化相対主義の余地があってはならない。しかし、歴史上、この凶悪犯罪の被害者が正義を勝ち取ったことはほとんどない。加害者が誰であろうとだ。この事実を無視するべきではない。

出典:https://unherd.com/newsroom/the-grooming-gangs-condemnation-is-too-little-too-late/

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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