エスター「なぜ買春者は不可視な存在なのか」

【解説】以下は、2025年3月27日に開催されたPublic Policy Exchangeのウェビナー「The Future of Sex Work in the UK(イギリスのセックスワークの未来)」で売買春サバイバーのエスターさん(仮名)が行なった講演に基づいています。基本的に講演に基づくものなので、「ですます」調で訳しています。Nordic Model Now! に最近掲載されたものを、当サイトの了承の上、ここにその翻訳を掲載します。

エスター

Nordic Model Now、2025年4月10日

 「セックスワーカー」と「セックスワーク」は、ストリップやエロ動画配信からポルノや売買春に至るまで、性産業のあらゆる部分に関わる人々を包括する用語です。これらの用語は、売買春の具体的な被害の数々を隠蔽し、美化し、不明瞭にします。また、性を売る女性たち、買春者、そして他者の売買春から利得を得る者たち、この三者の間にある力関係を覆い隠すものです。「セックスワーカー」という用語は、ピンプや売春店の経営者たちが自分たちを表現するために使用することもあります。

 合法化、完全非犯罪化、またはイングランドとウェールズで一部実施されている許可制の売春制度が成功とみなされるか失敗とみなされるかは、買春者(その大半は男性)、売買春から利得を得る者(その大半はやはり男性)、または売春の当事者(その大半は女性)の立場によって異なります。

 以下は、イギリスの「買春者フォーラム」という買春者向けサイトから抜粋したものです。これらはダークウェブに隠されているわけではありません。ユーザーIDの設定やログインは不要で、年齢の確認もなく、12歳の少年でもアクセスできるものです。

「本当にファンタジーの世界に生きているようだった。ドアを通って店内に入ると、俺のアレをしゃぶってくれる女の子や、ファックできる女の子たちがずらっといて、自由に選べるんだ。思春期の頃からの夢がすべて叶った」。

「体と脚はちょっと平べったい感じだったけど、完璧な美尻で、あそこはツルツル。唯一の問題は、彼女が長い脚を使って深い挿入を防いでいることだったけど、なんとかやり遂げることができた(どうやら彼女はあそこが少し敏感なようだ)。ゆっくりやれば、彼女も応じてくれる」。

「『あなたのことがいやなわけじゃなくて、特定のことをされたくないだけ』とあの女は言った。タイ女が大好きなので、また売春店に行くことは間違いないけど、[売春店の経営者に]俺がどれほど不満を抱いているかをメールで言ってやろうかな」。

「X嬢が薬物の影響を受けているように見えたけど、彼女は俺をベッドに招いた。彼女とやっていると、彼女がハイになっているのか、それとも単に心ここにあらずなだけなのか、わからなかった。ちょっとむかついた。彼女には素晴らしい可能性があるのに!」

 これらの発言やそれと類似した発言は、お金と引き換えに女性とセックスするこが「マノスフィア(男社会)」の最も重要な権利資格(entitlement)であることを示唆しています。12歳の少年が成人に達したとき、どんなご褒美が待っていることでしょう! 国家機関さえ、彼が抱いているポルノ由来のミソジニー的要求を助長する連中を助けているのです。

 人々は、アンドリュー・テイト〔イギリス系アメリカ人のネットインフルエンサーで、レイプで複数の告発を受けている〕を、とりわけ無分別な人物というよりも、まるでピンプ(女衒)の原型であるかのように言及します。彼が推進しているものは目新しいものではありません。それは、古くからあるピンプと買春者の価値観と慣行です。だからこそ、政府がオンライン「インフルエンサー」を標的にするだけでは不十分なのです。買春者の需要にも対処し、女衒行為〔自己の支配下にある女性に売春させて、そこから利益を得る行為〕を取り締まらなければ、女性と少女に対するミソジニーと暴力を大幅に減らす見込みはありません。

消費者保護法と雇用法

 消費者保護法では、特定の品目や原産国・原産地などの商品を売買する際に、その内容に基づいて価格を決定することができます。例えば、15年もののアイラ島シングルモルトやゴルゴンゾーラチーズなどです。

 しかし、サービスに関しては、人種やエスニシティ、または2010年平等法で定められたその他の保護特性に基づく差別的な雇用慣行、雇用条件、賃金率は一般的に違法であり、平等と人間の尊厳の原則に違反するとされています。

 しかし、こうした慣行〔人種や性別による選別・差別〕は性売買では標準的なものです。なぜなら、買春者が王様だからです。もしイギリスで売買春が合法化されたり、完全に非犯罪化されたりすれば、こうした慣行は性売買の枠を超えて広がるでしょう。ASLEF〔ロンドン地下鉄などの鉄道運転士を代表するイギリスの労働組合〕のような、売買春の完全非犯罪化を推進している労働組合は、この単純な事実を考慮していないようです。性産業でこうした慣行を支持する組合が、他の産業ではそれを否定できるでしょうか? それは他の労働者にとって何を意味するのでしょうか?

健康と安全

 イギリスの雇用に関する法律、規則、慣行では、雇用主は従業員の健康と安全を守ることを義務づけられています。

 売買春を規制する一般的な論拠は、売買春を健康と安全に関する法律の対象とすることで、女性にとってより安全な環境を実現しようというものです。しかし、このアプローチでは、これらの女性たちが直面している広範な被害や、買春者自身が被害の主な原因であるという事実を考慮していません。

 他人の体液にさらされるリスクのある職業では、労働者はマスク、手袋、ゴーグル、保護服の着用が義務付けられています。しかしコンドームは、売春に従事する人々にとってのリスクを、例えば歯科や看護の現場で働く労働者が直面するリスクと同等のレベルまで軽減するものではありません。なぜなら、コンドームははずれたり破れたりすることがあり、また買春者はコンドームの着用を拒むことが多いからです。

 コンドームは、買春者の唾液や汗、その他の体液から被買春者を保護することはできません。また、複数の買い手による摩擦や長時間にわたる激しい性交渉が繰り返されることによる、膣や内臓へのダメージ、あるいは意図的な暴力からも被買春者を保護することはできません。したがって、売買春の当事者である女性たちの死亡率が女性全体の平均よりも12倍も高いという事実は、驚くべきことではないのかもしれません。

需要が増大すると何が起こるか?

 2010年以降の緊縮予算、そして最近の生活費高騰と引き続く公共支出削減の影響により、経済的な窮状から売春に手を染める女性たちが大幅に増加しています。 Women’s Budget Group が示しているように、2010年以降のすべての予算は、女性を犠牲にして男性に利益をもたらすものです。

 売春斡旋業者、売春店の経営者、その他性産業を助長している人々は、この大きな恩恵を受けています。特に、大きな利益を上げている人々、例えば大手の商業的性風俗ウェブサイトなどがそうです。彼らの経済的利益は、売春当事者女性とは異なります。

 こうした第三者の大手利得者たちは、女性の頻繁な入れ替えと、買い手にとって価格を低く抑えるのに十分な数の女性の供給から利益を得ています。これによって競争が生まれ、女性たちは性産業に足を踏み入れた時に維持しようと思っていた境界線を踏み越えて、同じレベルの収入を維持するために、より危険で過激な行為に手を染めるしかなくなるのです。

 性的人身売買は、人身売買の中でも最も利益率の高い形態であり、人身売買業者は、売春を強制ないし強要する女性の数を増やすことで、価格を下げるようインセンティブを与えられています。売春を合法化するアプローチは、買春者の需要に対処するシステム〔北欧モデル〕よりも、人身売買業者にとって魅力的なのです。

女性が売買春に入る原因

 複数の研究が示すところでは、多くの女性たちが子供の頃に売買春の世界に入っており、しかもその多くは性的虐待や経済的な困窮状態が原因になっていることがわかっています。しかし、どのような虐待や悲劇が彼女たちを売買春の世界に導いたかに関わらず、18歳の誕生日の0時を過ぎた瞬間から、彼女たちは売買春の世界に入る「選択」をしたとみなされ、そこから抜け出すための道筋や、生計を立てるための真の代替手段を提供するサービスではなく、低コストの「被害軽減」サービスに誘導されるのが一般的です。

 他方で、同じ時に同じ成人の日を迎える「マノスフィア」育ちの若い男たちは、公けの監視や批判、制裁を受けることなく、女性や少女に金を払ってポルノの一シーンを再現することができるのです。

被買春女性と少女が直面する課題

 複数の研究の示すところでは、売春当事者の女性と少女の大多数が多くの問題に直面していることがわかっています。例えば、売買春当事者女性を対象とした2つの研究(Breaking down the barriersProstitution & Trafficking in Nine Countries)では、以下のことが明らかになりました。

  • 50%が薬物やアルコールに依存していた。
  • 50%が強制的に継続させられていた。
  • 52%が抜け出すのが難しいほどの負債を抱えていた。
  • 67%に犯罪歴があった。
  • 58%がPTSDの基準を満たしていました。
  • 89%は逃げ出したいと思っていましたが、どうすればよいのかわかりませんでした。

 売買春に従事することになった原因に自律性の要素が欠如していること、そして買春者とのやり取りの中で自律的かつ自由な性的自己決定ができないことは、ほとんどの被買春女性にとって人生の事実なのです。

 買春者が支払うのは、彼らの条件に基づく性行為です。買春者がお金を払うのは、自分が主導権を握り、相手のニーズや快楽について考えなくて済むようにするためです。これは、性行為は自由な同意に基づくものでなければならないという要件とは両立しません。これは、同意の原則そのものを損なうものです。これらの研究が示すように、売買春の中の女性たちのほぼ90%が、やめたいと思っているものの、どうすればよいのかわからないのです。

スティグマ化

 まずは主たる事実から紹介します。

  • 被買春女性に対するスティグマ化を維持することに最も関心を持っているのは、買春者と、他者の性的搾取から利益を得ている人々(ピンプ)である。
  • 既婚者や交際相手がいる男性買春者の大半が、身元を秘密にしておきたいと考えるのは「自然な」ことと考えられている。
  • しかし、売買春女性が身分証明書を提示したり、売春への従事を国に登録することは、「前向き」で「進歩的」なことと考えられている。

 売春当事者女性が、売春関与の事実を国家に記録されるのを避けたいと望むことがなぜより「自然」ではないとされるのでしょうか?

 ドイツにおける売買春当事者女性の数は、9万人から40万人と推定されています。しかし、そのうち売春店に登録され、氏名が国家によって記録されているのは、わずか2万8000人ほどです。売春店に登録された女性たちに対して長年雇用契約が提供されてきたにもかかわらず、その契約を結んだ女性はごくわずかなのです。雇用契約を提供したのはベルギーが初めてではありません。

 他国の合法化ないし非犯罪化されたシステムでもやはり、無登録の売春当事者が多数存在しています。このことは、いかなる「公式」の合法化システムにおいても、公式システムの外で活動する相当規模の「地下」が常に存在することを示唆しています。

 全面的な非犯罪化または合法化も同様に、イギリスにおける「地下」の規模拡大につながるでしょう。それに伴う需要の大幅な増加は、英国で売買春に巻き込まれる女性たちの数の大幅な増加につながり、その多くは不安定な状況に置かれることになります。例えば、ユニバーサル・クレジット〔失業や、障害等により働けないために所得が減った時に生活費を補助するイギリスで導入された手当。2012年に導入され、それまであったさまざまな手当制度が一元化された〕を受給しており、不正受給で起訴されるリスクがある場合や、就労資格を持たない移民であるため、国外退去のリスクがある場合などです。このようなリスクを生み出し、女性たちを「地下」での労働へと追い込んでいるのは、北欧モデルではありません。

 警察は、リソース不足のせいで、路上売春に従事する女性たち(イギリスで最も周辺化され、不利な立場に置かれている女性たち)を標的とした売春犯罪以外を取り締まることができないと主張しています。しかし、これは政治的・イデオロギー的な立場であり、脱税よりも組織的に生活保護の不正受給を起訴するという決定と同様なのです。

 調査で示されているように、買春者を最も思いとどまらせ、需要を最も減らすことができるのは、あらゆる種類の宣伝です。女性が財産を所有する権利や、避妊、中絶、離婚へのアクセスを求めて戦い、獲得した結果として男女平等が向上したことにより、買春者たちは、自己の氏名を特定されたり、売春店への出入りの事実が公けになったりすることで、以前の世紀よりもはるかに多くのものを失うようになりました。

 現在の買春者のほとんどは、自分が買春者であることを明かそうとしません。男性はオンラインの出会い系プロフィールにそのことを書きません。そうすれば、ほとんどの女性が他の相手を選ぶ可能性が高くなることを知っているからです。

 2024年1月にイギリスで実施されたYouGovの世論調査では、性行為の対価として他人に金を支払うことを合法とすることを支持する意見が広く見られました。ただし、女性からの支持はそれほど多くありませんでした。また、この調査では「セックスワーク」をスティグマ化すべきではないという意見への支持も示されましたが、ほとんどの人は自分の子供が売春に関わることになれば動揺するようです。現在または過去に売春に関わった人とデートしたり、交際したりしたいと思う人はほとんどいませんし、現在または過去に売春に関わった人と友人になりたいと思う人も、そう思わない人の方が多いようです。

 これらの質問が抽象的な命題としてではなく、個人に直接向けられた場合のイギリス国民の見解は、時が経っても大きくは変化していません。

 しかし、世論調査会社は、性売買を煽っているのは需要であるにもかかわらず、買春者に対する国民の態度について調査したことはないようです。一般市民が、現在または過去の買春者とデートしたり、交際したり、友人になることに反対するかどうか、あるいは、自分の子供や家族の誰かが買春者であった場合に動揺するかどうか、といったことを尋ねていません。

 この質問選択に、確証バイアスが明らかに示されています。それは、買春者を免罪にしています。ジゼル・ペリコ〔フランスの性暴力被害者。夫に睡眠薬を飲まされ、多くの男性にレイプされた〕が言ったように、「恥を感じるべきは、被害者ではなく加害者の側でなければならない」のです。

合法化と完全非犯罪化

 合法化の場合、売買春は国家が定めた特定の条件の下で許可されますが、全面的な非犯罪化の場合、女衒行為や売春店経営を含む性売買のあらゆる側面が非犯罪化〔法的な規制を受けない〕されます。

 理論的には、合法化と全面的な非犯罪化は大きく異なりますが、実際には、両者とも性産業の大幅な拡大と、それに伴う買い手からの需要の大幅な増加に対応するための被害の増大をもたらすという点で、多くの類似点があります。

 需要が増大すれば、利用可能な女性の供給も増やす必要があります。 しかし、自ら進んで売買春に入る女性は十分にはいないため、ピンプや人身売買業者が供給増を容易にするために動き出します。 現実的な選択肢を持つ女性たちは、周囲の文化や個々の加害者によってすでに売春に巻き込まれている場合を除いて、売買春の中の生活を選ぶことはほとんどありません。

 合法化も完全非犯罪化も、市場を過剰供給な状態にすることで買春価格を引き下げ、市場シェアを拡大・維持できる第三者の利得を増やすことになります。こういった第三者は、売春当事者女性を犠牲にして、業界を支配するようになります。

 売春当事者女性が稼げる金額が増えることはいっさいありません。例えば、北欧モデルを最初に導入したスウェーデンでは、買春者はヨーロッパの性売買が容認されている国々よりもはるかに高い料金を支払っているのです。

 ドイツで2002年に売買春が自由化された際、多くのドイツ人女性は、新しい市場を支配しようとする売春店経営者が買春者に提供する低い料金を受け入れる準備ができていませんでした。その結果、現在ドイツで売春当事者女性のほとんどは移民です。ドイツでは毎日約100万人の男性が買春をしていますが、このような非常に低い料金になっていても、ドイツの買春者たちは、もっと低い料金の国々にも買春しに行っており、ドイツ人買春ツアー客の数を減らすことにもなっていません。

 許可制の売買春のもとでは、反人身売買法の執行ははるかに困難です。リソースは他の用途に流用されます。人身売買のほとんどは見過ごされます。売買春から抜け出すための支援がないかぎり、性的人身売買業者が人身売買された女性から収入を得られなくなるリスクは低くなります。

 許可制のシステムでは、当事者女性が受けるリスクは軽減されません。違法売春は続きます。強制は依然として多く、ピンプや売春店経営者自身によるものも少なくありません。

 2024年7月、欧州人権裁判所は満場一致で、フランスが2016年に北欧モデルのアプローチを導入したことは、欧州人権条約第8条(私的および家族生活に対する権利)に違反しないとの判断を下しました。判決では、提訴者が述べたてた北欧モデル法による悪影響について、北欧モデル法の下で当事者が経験している危険や被害は、それ以前から存在しており、2016年の法律が制定される前から確認されていたと指摘しています。おそらく、売買春には本質的に暴力が伴うからでしょう。

では、北欧モデルのアプローチとはどのようなものか?

 北欧モデルは平等モデルとも呼ばれ、1999年にスウェーデンで初めて導入され、その後、他のいくつかの国でも採用されています。 売買春を、女性や周辺化された集団に対する構造的抑圧の一部であり、男女間の根強い不平等が生み出した原因であり、その結果でもあると認識しています。

 北欧モデルのアプローチには次の5つの要素があり、すべて実施される必要があります。

  1. 性を売る行為を非犯罪化すること。
  2. 買春被害者に必要なサービスを提供し、業界から抜け出すための真のルートを提供すること。
  3. 性行為の購入を犯罪化すること。
  4. 人身売買、ピンプ、売春店経営を取り締まる厳格な法規定を盛り込むこと。
  5. 一連の包括的対策を含むこと。これには、公共情報キャンペーン、学校での教育、警察官の研修などが含まれる。

 北欧モデルを導入したすべての国が、このモデルを完全に導入しているわけではなく、また、導入に必要な十分な資金やその他のリソースを提供しているわけでもありません。

産業規模の縮小

 この法体系を最も早く導入したスウェーデンにおける結果には以下のものがあります。

  • 性産業の規模縮小。
  • 「地下に潜った」というエビデンスが存在しないこと。
  • 国際的な人身売買業者にとって不利な目的地になったこと。
  • 文化と男性の行動に変化が見られたこと。
  • 広範な国民に支持されていること。

 上のグラフは、売買春に従事する人口の割合を、合法化されたドイツとオランダ、全面的な非犯罪化を実施したニュージーランド、そして北欧モデルを採用しているスウェーデン、ノルウェー、フランスの6ヵ国について、一般に入手可能なデータ(https://www.worldometers.info)を用いて示しています。これを見ると、北欧モデルを採用している国々では、合法化や全面的な非犯罪化を実施している国々よりも、売春従事者の人口比がはるかに少ないことが分かります。これは、北欧モデルが売春産業の規模を縮小する、あるいは少なくともその拡大を防ぐのに効果的であることを示唆しています。

売買春における殺人発生率

 上のグラフは、売春に関わった女性たちが、ピンプや買春者によって殺害された人数の割合を示しています。これは、それぞれの法制度が実施されている期間における、10万人の女性市民あたりの年平均率として表されています(スウェーデンはほぼゼロなので、グラフに現われてません)。

 このグラフは、売春当事者女性が殺害される件数が、北欧モデル国であるスウェーデン、ノルウェー、フランスよりも、非犯罪化ないし合法国であるニュージーランド、ドイツ、オランダの方がはるかに多いことを明確に示しています。このことは、売春当事者女性にとって北欧モデルの方がより危険であるという主張が誤りであることを示しています。

 しかし、私たちは、売買春そのものを安全なものにできるとは信じていなません。それゆえ、北欧モデルが女性にとって「より安全」であるとは主張していません。その代わり、売春の発生件数と従事者数を減らすことを目的としています。このデータは、北欧モデルが適切に実施された場合、その目的を達成できることを示唆しているのです。

出典:https://nordicmodelnow.org/2025/04/10/why-is-the-sex-buyer-invisible/

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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