【解説】以下の論考は、イギリス共産党の『モーニングスター』紙に国際女性デーを記念するキャンペーンの一環として掲載されたものの全訳です。
『モーニング・スター』2026年3月7日
ヘレン・オコンナー
階級にもとづく社会において、ほとんど受胎の瞬間から不利な立場に置かれ、愛されず、望まれず、貧しい運命を背負わされる少女たちが大勢いる。バージニア・ジュフレは、こうした少女たちを「誰の娘でもない少女」と表現した。これは、無価値であるかのように扱われ、やがて自らも無価値だと感じ、自分の唯一の価値は体にあると信じ込むようになる少女のことだ。
彼女には、味方になってくれる人も、守ってくれる人も、擁護してくれる人もおらず、誰もが彼女を見捨ててしまう。家族の一員、友人、「彼氏」、「保護者」を装った捕食的な男が、その弱みに付け込み、少女は虐待の悪循環に陥ってしまう。彼女には、その運命から自らを解放するための人生経験も、教育も、資源もないのだ。この有害な状況に、男たちが性的アクセスを制限なく求めるという需要が相まって、少女は性的虐待から売買春へと向かう軌道に乗せられる。
世間は騙されている。性産業に囚われた人々は「自由な選択」ができ、いつでも抜け出すことができ、全員が「同意した成人」であると信じ込まされている。声なき弱者は、貪欲で、金に目がなく、怠惰で、虐待されることを望んでおり、虐待されるに値する存在として描かれている。
英国では、売買春に囚われた女性に対する国家の支援は存在しない。福祉国家、成人教育、あるいは労働者階級のための高給の仕事は、すべて資本主義の焚き火に投げ込まれている。したがって、女性や少女がいつでも自由に性産業から抜け出せると言うのは、虐待を受けている妻に「加害者から逃げればいい」と言うのと同じくらい無知で愚かなことだ。
ジェフリー・エプスタインは売買春組織を運営し、世界中の無防備な女性と少女を人身売買して、金持ちの友人たち──その中には性的サディストもいた──に性的サービスを提供させた。彼は、被害者たちが何も持たず、何もないところから来たことを知っていた。だから、彼女たちが危害を加えられても、誰も疑問を抱かないと分かっていたのだ。他のピンプたちと同様、彼は欺瞞、脅迫、強制を組み合わせて利用し、被害者を監禁状態に置き、依存させ続けた。女性や子供を傷つけ、顧客の性的フェチシズムを満たすこと──これらはすべて、エプスタインが利益を得ていた数十億ドル規模の性産業の不可分の一部だ。
政治家や左派の多くが、性産業の至る所で他の「ジェフリー・エプスタイン」たちが罰せられることなく活動していることに気づけないとは、ただただ呆れるばかりだ。その代わりに聞こえてくるのは、エプスタインは「例外」であり、「セックスワークは仕事(Sex work is work)」であり、売買春を非難できるのは「道徳的偽善者」だけだというものだ。金さえ払える買春客たちは、それが「未成年セックスワーカー」と呼ばれる未成年の子供であれ、拷問を加える「権利」であれ、欲しい時に欲しいものを手に入れる。
エプスタインを非難しながら、いわゆる「セックスワーク」を支持するという矛盾は、人間の搾取が巨大ビジネスであるため無視されている。売買春の完全な非犯罪化を求める声は、エプスタインのような連中を、現在以上に法の及ばない領域へとさらに遠ざけることになる。
経済危機の深刻化に伴い、性産業の中で虐待を受ける女性、少女、未成年者が増え続けている。英国における売買春の広がりに関する記録はないが、性産業をノーマル化し、「仕事の選択肢」として枠づけするという政治的アジェンダが存在する。DWP(雇用年金省)という形態を通じて国家は、性産業での「雇用」なるものを宣伝している。
売買春を「仕事」として枠づけすることは、あらゆる仕事が暴力的、虐待的、搾取的になり得るという前提を受け入れ、健康や安全の保護など夢物語に過ぎないことを認めることになる。これは労働階級が闘うべきこととは正反対のものだ。売買春を「仕事」として支持することは、女性の平等のための闘いが行なわれているという主張を嘲笑するものだ。
国際女性デーは単なる祝賀行事であってはならない──とはいえ、過去の社会主義の姉妹たちの画期的な活動には称賛すべき点も称えるべき点も数多くある。アレクサンドラ・コロンタイや他の革命の姉妹たちの真剣な思想の多くが、今日の社会主義フェミニズムの意味に関する誤った限定的な概念の中に埋もれてしまっていることを認識することが重要だ。
歴史上の社会主義女性たちは、売買春が「労働」を構成するとは認めなかった。彼女たちは、「身体の自律」が、男性のポルノ的な空想に屈服することや、男性に女性、少女、子供の身体への無制限なアクセスを提供することを意味するという嘘に騙されなかった。
「家父長制を打ち砕け」と要求するフェミニスト運動は、階級社会の存続に不可欠な女性抑圧の根源に挑んでいない。「選択フェミニズム」、副業、TikTokで夢を売り込む小規模な「起業家」たちは、資本家階級を責任から逃れさせている。十分な資金を伴う福祉国家、適正な賃金と組合の保障された仕事、住宅、医療、教育の権利を求める集団的闘争に、労働者階級の女性が関与しなければならないという認識が浸食されてきたのだ。
社会主義フェミニストは、女性の抑圧を強化し維持する思想や体制の終焉を要求しなければならない。こうした要求は、女性の物質的利益に根ざしたものでなければならず、いかなる女性、少女、子どもも性産業に身を投じざるを得ない状況に終止符を打つことを目指すものでなければならない。国際女性デーは、労働者階級の女性たちが、全人類の利益となる社会構造そのものに根本的に挑戦する闘いへと、自らを再献身させる機会である。
出典:https://www.morningstaronline.co.uk/article/hypocrisy-condemning-epstein-while-supporting-sexwork