売買春を合法化したうえで規制することを支持する一般的な論拠の一つに、そうすれば売買春を衛生安全上の規制下に置くことができ、女性にとって売買春をより安全なものにすることができる、というものがあります。しかしながら、このアプローチは、買春者こそが被害の源泉であることを認識しそこなっています。
他人から出る体液に触れるリスクのある他のどんな職業でも、労働者はマスク、手袋、ゴーグル、防護服を着ることが求められます。コンドームは、売買春の中にいる人々にとって、たとえば歯科や看護関係で働く労働者が身に着けるものと比較可能なほどリスクを下げるものではありません。なぜなら、コンドームは脱げたり破れたりするし、買春客はそれを着けることを拒否するからです。そして、コンドームは、買春客の唾液、汗、その他の体液から売春者を守るものではないし、あるいは、摩擦や長い時間激しく繰り返されるピストン運動による開口部へのダメージから守ってくれないし、客の暴力から守ってくれるものでもありません。
健康と安全性という基準は、非合理的なリスクを根絶するために労働慣行を見直すことを雇用主に求めています。売買春の場合、行為への参加者たちがみな全身に防護服を身に着け、どんな身体的な直接接触も禁じることが求められるでしょう。このことはもちろん、売買春そのものの性質を変えることを意味します。
仕事を安全なものにすることができない場合、その種の産業はしばしば閉鎖されます。たとえば、アスベスト産業は、そこでのリスクがあまりにも大きくて、それに代わるものが利用可能であったので閉鎖されました。私たちは、売買春はけっして安全なものにすることはできないと考えており、したがってその廃絶を要求しています。
このことは、売買春の中にいる女性が、それに関わる被害を減らしリスクを最小限にする上で利用可能な支援を得るべきではないと示唆するものではありません。それどころか、被害をできるだけ減らしたいという思いこそ、北欧モデルによって提唱されている、売春に従事している女性の完全な非犯罪化を求める主要な根拠なのです。
出典:https://nordicmodelnow.org/myths-about-prostitution/myth-regulation-makes-prostitution-safe/