ウクライナでポルノの全面的合法化法案が提出――国際的な抗議書簡にご協力を!

【解説】現在、ロシアと戦争中のウクライナ議会において、児童ポルノの規制を強化するという口実のもと、それと抱き合わせで成人ポルノの全面的な非犯罪化を求める法案が審議中です。すでに審議の第一段階(第一読会)を通過しており、きわめて危機的な状況にあります。そうした中で、ウクライナのアボリショニストを中心に国際的な抗議運動が組織され、その一環として国際的な抗議書簡への署名が取り組まれています。女性団体、人権団体、その他の団体のみなさまはぜひご署名ください。日本からでも署名できます。→署名はこちらから

ウクライナにおける商業用ポルノの制作・流通を合法化する法案に関する懸念を表明する公開書簡

2026年7月20日

イヴァンナ・クリムプシュ=ツィンツァゼ議員、EU統合に関する議会委員会委員長(ウクライナ・キエフ)

外務省および欧州統合担当副首相(ウクライナ・キエフ)

EU統合に関する議会委員会委員長であり、外務大臣兼欧州統合担当副首相であるイヴァンナ・クリムプシュ=ツィンツァゼ議員殿

 私たち署名者は、女性と少女に対する人身売買、性的搾取、性的暴力、および差別を根絶することに尽力する団体を代表しています。本書簡は、商業用ポルノグラフィの制作および流通を合法化する法案に対し、深い懸念を表明するために送付されます。

 2026年7月14日、ウクライナ最高議会は、正式名称を「児童ポルノの制作および流通に対する責任の強化に関するウクライナ刑法改正案」(以下「本法案」)とする法案第15294号を第一読会で可決しました。

 私たちは、児童に対する性的虐待や搾取からの保護を強化する取り組みは評価するものの、本法案がいわゆる「成人向け」ポルノの輸入、制作、保管、輸送、譲渡、販売、および流通を合法化・非犯罪化することも提案している点に、私たちは極めて強い懸念を抱いています(この意図は、本法案の説明書、比較表、および議会の公式結論において明示されています)。

 この規定は、表向きは成人の私的所持や合意に基づく私的な交換に対する起訴を防ぐことを目的としています。しかし、もし法律として成立するならば、ポルノ産業に蔓延する深刻な危険や犯罪行為に対処する措置が何ら講じられないまま、商業用ポルノの制作・流通への法的道が開かれることになります。

 こうした危険には、人身売買(特に女性や児童を対象としたもの)、(性的、身体的、経済的な)強制や脆弱性の悪用、そして同意のないコンテンツやディープフェイクの制作・流通などが含まれます。また、本法案には、年齢確認、同意のない搾取的コンテンツの迅速な削除、デジタル証拠の保全、あるいは被害者への補償や支援を行なうための実効性のある仕組みもいっさい盛り込まれていません。

 この提案は、ロシアによるウクライナへの戦争という文脈において、とりわけ憂慮すべきものであると私たちは考えます。ロシアによる侵攻以来、ウクライナの女性や子どもたちは、避難、貧困、住居や収入の喪失、家族の離散により、人身売買や性的人身売買を目的としたオンラインでの勧誘に対して特に脆弱な立場に置かれています。

 数十億ドル規模のポルノ産業における制作、流通、および利得者の非犯罪化を求めることで、ウクライナは、人身売買および搾取への需要防止(EU指令2011/36/)、ならびに女性に対する暴力(EU指令2024/1385)の分野におけるヨーロッパ連合(EU)の法体系を直接的に放棄することになります。きわめて重要な点として、欧州評議会議会総会および国連の専門家の両方が、ポルノと性的暴力および深刻な人権侵害との切っても切れない関連性について、深刻な懸念を表明していることです。

 ウクライナが批准しているパレルモ議定書の遵守監視機関である国連薬物犯罪事務所は、組織犯罪ネットワーク、人身売買、およびポルノ制作の間の関連性を指摘しており、ポルノ制作はそうしたネットワークによって行なわれる性的搾取の具体的な形態であると述べています。

 私たちは、EU統合に関する議会委員会に対し、ウクライナ最高議会に対し、1)法案第15294号を第二読会の時点で否決するか、2)ポルノの商業的制作および流通を非犯罪化するすべての条項を削除し、必要な児童保護条項を別の法案に盛り込むよう、強く要請することを謹んでお願いするものです。

 この緊急の課題にご注目いただき、またウクライナの女性と子どもの安全、健康、尊厳を守るためのご尽力に感謝いたします。

感謝を込めて

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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