バーモント州議会へのサバイバーからの手紙

【解説】以下の書簡は、バーモント州で上程されている売買春の非犯罪化法案に反対するために書かれたサバイバーの手紙(2020年3月7日付)です。サバイバーからの署名を得てから、バーモント州議会の司法委員会に送る予定のものです。

リチャード・シアーズ州議員(司法委員会議長)、ジョゼフ・ベニング州議員(司法委員会少数党代表委員)へ

親愛なるシアーズとベニング

 私たちは、バーモント州議会に上程されている一括法案について注意を喚起したいと思い、この手紙を書いています。それらの法案はあなた方の州の最も弱い立場にある人々を危険にさらすものです。法案568号と法案569号のことです。商業的性搾取のサバイバーとして、私たちは、こうした法律によって必然的に起こりうる深刻な問題について個人的によく知っています。この非道な一括法案の一方はすでに上院司法委員会の審議予定に入っています。法案568号がそうです。この法案568号の目的は、セットになっているもう一方の法案569号を通過させるためのお膳立てをすることです。法案569号が採択されれば、買春、ピンプ行為(女性に売春をさせて金を儲ける行為)、売春店の経営がことごとく非犯罪化されることによって、搾取が合法化されてしまい、バーモント州において性的人身取引がうなぎのぼりに増大し、あなた方の州を買春ツァーの目的地にしてしまうでしょう。

 私たちは、このような立法があなた方のバーモント州で成立するかもしれないということに恐怖し、失望し、慄然としています。一見すると、法案586号は、被害者の最良の利益を念頭に置いて書かれたかのように見えます。しかしもっと深く掘り下げると、そこには2つの正反対の政策が結合していることがわかります。

 サバイバーのリーダーである私たちは、性売買の中で搾取されている人々や、法廷で証言する人々、あるいは、人身取引されて犯罪行為に加担させられている人々に、一定の免責を与えるいかなる法案にも賛意を表します。しかしながら、この法案はその一方で狡猾にも「セックスワーク調査委員会」の設立を求めています。被害者を保護する必要性について語りながら、それと同時にその長所を台無しにしようとしています。搾取されることに何か良い点があるかのように言って、その想像上の良い点を調査しようというわけですから。さらに言うと、法案は、被害者および私たちが代表しているサバイバーに不利になるよう巧みに仕組まれています。前述の委員会にどういう団体や個人が指名されているかを見ればそれは明らかです。売買春推進派として非常に有名なACLUのような団体が委員会に入ることになっており、このような委員会が法案569号で概要が描かれているきわめて有害な法体制を是認することになるのは明らかです。最も立場が弱く、レイプされ、殴られ、誘拐され、周辺化された者として、私たちは、この種の「調査」が実際には何をしようとするものなのかを知っています。すなわち、それが一方では経済的・ジェンダー的不平等をそのままにしながら、私たちの長く続く苦しい心理的・身体的被害をノーマルなものにしようとするものだということです。

 まったく信じがたく思われるのは、バーモントのように性売買がそれほど大きくない州が自ら進んで、このような真っ向から矛盾した内容の立法を通そうとしていることです。それが、商業的セックスへの需要を爆発的に増大させ、性的人身取引を増大させることになるのがわかっていながらです。セックス市場を解き放てば、ピンプと人身取引業者に、増大した需要を――いかなる手段を使っても――満たすことにゴーサインを送ることになるでしょう。すなわち、主として女性と若者たちを性的搾取産業へと誘い込み、これらの人々を近隣の州から、あるいは国を超えて、そして必要とあらば世界中から連れてくることになるでしょう。

 したがって、私たち世界各地のサバイバーは、私たちの社会に対するこのような攻撃を見直すよう要求します。この法案がそのまま採択されて法律になったなら、女性、少女、トランスジェンダー、そしてLGBTQコミュニティの全体が危険にさらされるでしょう。ちょうど、バーモントの州蝶、オオカバマダラのようにです。

 私たちは、この危険性についてあなた方に話をする用意があります。どうか委員会で公聴会を開いて、サバイバーに、とりわけニューイングランド地方〔東海岸のマサチューセッツ、メイン、コネティカット、ロードアイランド、ニューハンプシャー、バーモントの6州を指す〕の私たちの誰かに、バーモント州に来て話す機会を与えてください。私たちは、地元の活発な商業的セックス市場について必要な情報をお伝えすることができるでしょう。

 性的搾取ナショナルセンター(NCOSE)を通じて私たちとコンタクトを取ることができます。

 どうかよろしくお願いします。

マリアン・ハッチャー(国連無任所大使、SPACEインターナショナル:米国代表)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScqkyi_MYngQjIJGIbA1Ov7o0QCfeRhVYvAXwh9JBE7OLiIOw/viewform

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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