売買春は女性を、男たちが性的モノとして扱うことのできる商品として扱います、このことは、女性たちに対して現実的な心理的・身体的被害を引き起こし、その当の女性の人権を侵害するとともに、すべての女性の平等権という人権を侵害します。
『トラウマ・プラクティス・ジャーナル2003』に掲載されたある研究論文は、9つの国で、売買春の中の女性854人に聞き取り調査を行ない、その結果を掲載していますが、その中で明らかになったのは、売買春は「女性を非人間化し、商品化し、物神化する」ことです。聞き取り調査をされた人たちの圧倒的大多数は次のように証言しています。
- 売買春の中で性的・身体的暴力と言葉の暴力を受けていること。
- ホームレスであったことや子供時代の身体的・性的虐待を受けていたこと
- PTSD(心的外傷ストレス障害)の診断基準を満たしていること
- 売買春をやめたいと思っているが、どうすればいいかわからないこと
同研究は、売買春が、それがどこで起こるのかに関わりなく、複数のトラウマをもたらすものであると結論づけています。一例として以下のような説明をしています。
「アメリカ出身のある女性は、主にストリップクラブで買春されていたが、それだけでなく、マッサージパーラー、エスコートクラブ、路上売春でも買春されていたと証言した。この証言は、次のようなさまざまなタイプの暴力を含んでいる点で典型的である。ストリップクラブの売買春では、彼女はセクハラや暴行を受けた。この仕事は彼女に対して言葉の虐待を甘受することを求め(強要された笑顔とともに)、足、尻、胸、股をつかまれたり、つねられたりすることを我慢するよう強いる。時には、太ももや腕に打撲やひっかき傷が残ることもある。彼女の胸は、激しい痛みを感じるほどぎゅうぎゅう握られる。客によって顔面に射精されるという屈辱を受ける。身体的に乱暴に扱われ、彼女をコントロールし虐待する手段として髪の毛を鷲づかみされて引っ張られる。殴られてひどいけがを負ったり、目の回りに青あざをつくることもある。握りこぶしで頭を何度も殴られ、場合によっては脳しんとうを起こしたり意識を失ったりする。何度も殴られたせいで、彼女のあごははずれ、鼓膜は破れる。その後かなりの年数が経ったが、彼女のあごはずれたままだ。ナイフで切りつけられたこともある。客によってレイプされているあいだ、タバコの火を押しつけられた。集団レイプされたこともある。彼女は生涯に少なくともそれぞれ別の20人の男によって別々の機会にレイプされている。買春者やピンプによるレイプは彼女の内部で血を流させた。」
売買春が合法であるドイツで聞き取り調査をした人々の59%が、合法化によってレイプや身体的暴行から守られるようには何らならなかったと答えています。
売買春のむごい現実についてより詳しい説明として、ジョー・パーカーの論文「売買春はどのように機能するか」を読んでください。以下が彼の出した結論です。
「より恵まれた生活を享受してきた人々は、何らかの形で性産業から利益を得ている人々と同じく、売買春やポルノグラフィについてしばしば『被害者なき犯罪』だと言う。彼らは、自らの選択によってその世界に入ったのかもしれないセックスワーカーの小さな一派のことを指してそう言うのだ。彼らは、どこか、ある時期に、性産業の中で何らかの利益を得た一握りの少数派を見つけ出すために、歴史を取捨選択する。
この取捨選択性こそまさに、性産業に巻き込まれたほとんどの人が恐るべき不幸のもとにあることを彼らもそれなりに知っていることを示している。
ベテランの警察官ならみな言うように、『売買春を被害者なき犯罪とみなしている人は、それを間近で見ていないのだ』。」
出典:https://nordicmodelnow.org/myths-about-prostitution/myth-prostitution-is-a-victimless-crime/