フランスの上院がポルノの規制を勧告する報告書を出す

【解題】以下は、イギリスの左派新聞『ガーディアン』2022年9月28日号に掲載されたAP通信社配信の記事の全訳です。

 フランスのポルノ産業における性的・身体的虐待は「システミック(系統的、体系的)」なものであり、議員はアダルトビデオの制作をもっと規制し、ポルノコンテンツに「激しくさらされる」子どもたちを保護すべきだという趣旨の、フランス上院の報告書が発表された。

 『地獄の裏側』と題されたこの報告書は、フランス議会によって初めて作成されたもので、同書で「捕食的」と表現されているポルノ産業に焦点を当てている。

 6ヵ月にわたる調査期間中、「女性の権利と男女平等のための上院議員団」は、この業界に携わる50人以上の人々、女性の権利活動家、被害者から聞き取り調査を行なった。

 「誰もがアクセスできるポルノコンテンツの巨大な量とその性質そのものが、女性に対する暴力的な性行為をありふれたものにしている」と報告書は指摘している。「性的、身体的、言葉による虐待はポルノに広く存在し、システミックなものとなっている。それらはシミュレーションではなく、撮影される女性たちにとってすぐれて現実的なものだ」。

 フランスのポルノ業界におけるレイプ、人身売買、ピンプ行為の疑いで警察の捜査が入ったことも、この業界における虐待への注目を高めている。大手動画サイトとフランスの素人向け大手ポルノサイトに関連した2つの別々の事件で、数十人の被害女性が名乗り出ている。

 上院報告書は、この問題の巨大な規模について、政府とより広範な世論に注意を喚起することを目的としていると言う。フランスの法律ではポルノを見るのは18歳以上と定められているにもかかわらず、子どもたちが「大量かつ普通に、有害な」ポルノを閲覧していることを指摘している。

 「私たちは、ポルノに対して、古くて歪んだ、水で薄められた見方をするのをやめなければならない。今日のポルノには、暴力的で卑劣で屈辱的な内容が含まれている」と、この報告書の執筆者の一人でこの上院議員団の代表であるアニック・ビロンは語る。「ポルノでは、男が――たいていは複数で、最大で50人ほどにもなる――女性に肉体的・性的虐待を加えるシーンが標準になっている」。

 ビヨンと他の議員団メンバーは、現行法の執行と新しい規制の導入について23の提言を行なっている。その中には、ポルノの文脈でレイプ行為を扇動することを犯罪とすること、未成年者のポルノへのアクセスを困難にするために「抑制目的の」罰金を科すこと、年齢確認の仕組みを義務づけることなどが含まれている。

出典:https://www.theguardian.com/world/2022/sep/28/sexual-abuse-systemic-in-predatory-french-porn-industry-senate-finds

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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