【解説】2022年12月16日の当サイトの記事でも紹介したように、現在、南アフリカ共和国では売買春の完全非犯罪化法案が政府によって推進されています。それに反対する緊急の国際声明への署名が集められ、最終的に世界60ヵ国から2000人の売買春サバイバーと支援者、アボリショニスト活動家の署名が集まりました。それを受けて、プレスリリースが発表されましたので、その全文を以下に紹介します。
世界中の性売買サバイバー、女性・人権擁護団体、反人身売買団体が、南アフリカに対し、性売買を非犯罪化する新法案を拒否するよう要請
ニューヨーク、2023年1月8日
60カ国以上からの約2000人の性売買サバイバー、女性と人権の擁護者、反人身売買団体、最前線のサービス提供者、関係者が、南アフリカ政府に対し、法務・矯正サービス省のロナルド・ラモラ大臣とジョン・ジェフリー次官がそれぞれ提案した法案を拒否するように求める公開書簡に署名しました。この法案は、売春に関するすべての刑事犯罪を廃止し、性売買を事実上非犯罪化するものです(「ジェフリー法案」)。
署名者として、CATW(Coalition Against Trafficking in Women)と共に、CAP International、Equality Now、European Network of Migrant Women、Sisterhood is Global Institute、SPACE International、Survivor Empowerment & Support Programme(SESPE)、World Without Exploitationが名を連ねています。また、米国の作家でフェミニスト活動家のグロリア・スタイネムも署名者に名を連ねています。
書簡では、ジェフリー法案に反対する根拠として、性売買が非犯罪化されれば南アフリカに壊滅的な害悪がもたらされることを挙げています。現在、南アフリカでは、推定13万1000人から18万2000人が売買春の中におり、そのほとんどが権利を奪われた黒人のお女性と少女たちです。もしジェフリー法案が通れば、その数は幾何級数的に増加することになります。
ケープタウンを拠点とするSESPEのミッキー・メジは、「この法案は、私たちが買春者やピンプの手によって、あるいは売春制度そのものによって受ける暴力、恐怖、トラウマ、さらには死にさえ対処していません」と述べています。「それどころか、ジェフリー法案は、わが国の政府のお墨付きで、何世代にもわたって貧しく脆弱な黒人女性や少女を性売買に従事させることになるのです」。
ジェフリー法案は、「住居、建物、部屋、家屋、小屋、テント、広場、畑、囲い、空間、車両、ボート…またはその一部…」での売買春を認めるものです。同時に、ジェフリー法案による買春者と商業的性産業施設に対する罰則の撤廃は、性売買を劇的に拡大し、性行為の購入需要を高め、性的人身売買につながることになります。また、南アフリカはセックス・ツーリズムの世界的な目的地となるででしょう。
「南アフリカ政府は、その憲法と国際法の下での公約に反して、女性、少女、社会から疎外された集団の性的搾取を実質的に許可し、利益を得ることになる」とCATWの事務局長、テイナ・ビエン=アイメは言います。「ジェフリー法案は、性的人身売買業者と売春店オーナーへの贈り物です」。
この公開書簡の署名者たちは、南アフリカに対し、アボリショニスト・モデルないし平等モデルと呼ばれる法律を採用するよう求めています。これは、性行為のために売買される人々のみを非犯罪化する一方で、買春者や搾取者に対しては、彼らが与える痛ましい被害の数々に対して責任を負わせる法的枠組みを定めたものです。また、「平等モデル」は、政府が売買春の中の人々に包括的な医療サービス、教育の機会、出口戦略を提供することを義務づけています。
南アフリカは、女性と子どもに対する虐待と暴力の撲滅、ジェンダーに基づく差別の廃止、性的人身売買の防止、特に女性と子どもに対する売買春の搾取の抑制を公約に掲げています。平等モデルのような進歩的法律は、すべての南アフリカ国民が享受する権利のある人権を促進するっでしょう。
詳細については、下記までお問い合わせください。
ノラ・ヘニック
media@catwinternational.org
ミッキー・メジ
mickey.hlali@gmail.com
「南アフリカの売買春非犯罪化法案に60ヵ国から2000の反対署名」に2件のコメントがあります