売春店でワクチンを打てば無料で買春できるキャンペーン――売買春合法国オーストリアの恥ずべき実態

 数日前、ウィーンのある売春店が、同店で新型コロナ・ワクチンを接種すれば30分間、同店での「性的サービス」を無料で受けられるというキャンペーンを開始したとのニュースが動画つきで全世界に配信された。

 オーストリアでは、ワクチン接種率が60%台で低迷し、わずか人口900万人の国で11月に入ってから新型コロナの新規感染者数が1万人を連日のように超えている。こうした状況下で、売春店がワクチン接種を進めるために思い切ったキャンペーンを開始したというのが、このニュースを配信するリベラル・メディアの基本姿勢だった。そこには、売買春そのものが性暴力であり、女性の人身売買であり、最も恥ずべき人権侵害であるとの認識は皆無である。

 オーストリアは隣国のドイツと同じく、売買春を一定の規制の下で合法化している、いわゆる「合法規制主義」の国である。州によって具体的な規制の程度は異なるが、どこでも合法化がなされており、売春店と被買春女性は警察に登録することになっている。また、被買春女性には6週間ごとに性感染症の検査と、12週間ごとのHIV検査・梅毒検査が義務づけられている。

 売買春を合法化している欧米「先進国」のご多分に漏れず、オーストリア政府は、「自発的な売春」と「強制的な売春」とを明確に区別し、被買春女性の安全や権利を口実にして、合法化したうえで一定の規制を加えることが最適な政策選択であると主張している。しかし、その実態を見ると、オーストリアは、ドイツやスペインやスイスなどと並んで、東欧やナイジェリア、アジアからの人身売買被害者の主要な受け入れ国となっている。ある記事によれば、オーストリアの被買春女性のうち、オーストリア人はたったの5%で、残る95%は外国の出身者である。その大部分が性的人身売買の被害者であるのは容易に想像がつく。

 しかしながら、オーストリア政府は性的人身売買問題に対する取り組みにはまったく不熱心である。たとえば、ワシントンにあるオーストリア大使館の人身売買サイトを見ると、子供の人身売買や労働搾取を目的とした人身売買には具体的な対策を宣伝しているにもかかわらず、性的人身売買に関しては、ただ、自発的なものと強制的なものとを区別する必要性を強調するだけなのである。

 売買春の合法化は結局、性的人身売買と性的搾取への政治的無関心をもたらし、そして、ワクチンを接種することと引き換えに30分の買春を無料化することが美談として取り上げられるような恥ずべき事態をもたらすだけなのである。

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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