ナイジェリアに平等モデル法を!――南アフリカのサバイバーからナイジェリアへのアドバイス

ミッキー・メジ

『ナイジェリアン・トリビューン』2023年1月25日

 ナイジェリアの首都アブジャの暗い一室で、性的人身売買を描いたケネス・ギャンの有名な映画『オロトゥーレ(Òlòturé)』〔2019年のナイジェリア映画。NETFLIXで視聴可能〕の上映会に参加した私は、どうせ売買春の実態を華やかに描くものを観ることになるのだろうと覚悟していた。私は母国である南アフリカから、ナイジェリアにおける深刻な性的人身売買の危機について話し合うために、女性の権利団体グループといっしょに同国の複数の都市を回るギャン監督映画の上映ツァーに参加するよう招待されていたのだ。 国際移住機関によると、ナイジェリアでは約140万人がこの世界的な惨劇(性的人身売買)の犠牲になっていると推定されており、その大半は国境内および世界中で性的搾取のために売買された女性と少女だ。

 ヤラドゥアセンターの講堂は、地元ナイジェリアの要人、市民社会のメンバー、アルゼンチン、ブラジル、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、米国の大使でぎっしり埋まっていた。しかし、映画の最初のシーンがスクリーンに映し出されたとたん、私は周りのことが気にならなくなり、自分自身の記憶にどっぷり浸かった。

 売買春サバイバーとしての自分の物語が、芸術やメディアの中に正確に反映されることはまずない。しかし、ラゴスを舞台にした『オロトゥーレ』は、性売買の残酷な現実を描くことを避けていない。そこにはあらゆるものが見られた。買春者が私に与えた暴力と非人間化、警察の嫌がらせと腐敗、同じ性売買をしている姉妹たちの死、私たちの苦闘に対するコミュニティと国の無関心、等々。『オロトゥーレ』は、ナイジェリアの性的人身売買業者がヨーロッパの売春店に女性を勧誘する様子を描いた作品だが、そこで描かれていることは普遍的なものだ。

 性売買には、街頭売春、エスコート売春、ネットでの「パパ活」、ストリップクラブ、ポルノなどがあり、数十億ドル規模の底なしの性的搾取の複雑なシステムであり、男の喜びと少数者の利益のために最も弱い人たちを食い物にしている。性売買は、性的人身売買が存在する唯一の理由だ。一度そこに引き込まれたら、離れることはほとんど不可能である。

 女性や少女が売春を選ぶのではなく、売買春というシステムが彼女たちを選んでいるのだ。売買春が私たちに選ばれるのは、植民地時代やアパルトヘイト時代の数々の不正義、根強い不平等、貧困、過去の性的・身体的虐待、私たちの弱みにつけこむピンプ、そして買春で私たちを買い取る男たちのせいだ。

 ナイジェリア人女性は、ヨーロッパにおける性的人身売買被害者の大半を占めている。国連の報告によると、イタリア、フランス、スペインの海岸に送られるナイジェリア人女性の80%が買春されている。彼女たちを一大市場が待ちかまえている。より良い生活を求めて必死になっている貧しい女性たちが詰まったアフリカからの積み荷を待ち望んでいる買春者たちという市場が。実際、この問題は非常に広範囲に及んでおり、上映後、複数の女性が私に話しかけ、売買春や性的人身売買が自分の人生にどのような影響を与えたかについて語ってくれた。

 では、なぜ私たちは女性のこのような苦境を許容してしまっているのか? ブルキナファソの元大統領で革命的な汎アフリカ主義者であるトーマス・サンカラはかつて、「売買春は男性が女性に対して抱いている軽蔑の象徴である」と言ったことがある。性売買のサバイバーはみな、この侮蔑を身をもって知っている。

 世界中を駆けまわって売買春の被害について語っている一活動家として、私は今、「サンカラ平等モデル」の提唱に時間を費やしている。この法的枠組みは、売買春のシステムを性別に基づく暴力や差別の一形態として認識し、性的人身売買を防止する法的ツールとして機能させるものだ。この法律は、売春をしている人々を非犯罪化して支援サービスや離脱の機会を提供する一方で、買春者に対しては、彼らが引き起こしている深刻な被害に対する責任を追及する。スウェーデンは1999年にこのような法律を制定した最初の国で、世界的に数十億ドル規模の性売買を助長している買春者をターゲットにしている。現在、カナダ、フランス、アイスランド、イスラエル、北アイルランド、ノルウェー、アイルランド共和国はすべてこの法律を制定している。

 悲劇的なことに、私の国は今、その逆で性売買を非犯罪化することを提案しており、これでは南アフリカのあらゆる場所で売買春が繁栄する事態を招くことになる。この法案は、男性に対して次のことを示唆するものだ。女性の身体は依然として売り物であり、虐待しても罰を受けずにすますことができるのだ、と。南アフリカはピンプや人身売買業者を抱き込むことを検討しているが、ナイジェリアは、サンカラ平等モデルを制定することで、大陸を異なる方向へ導くことができるし、そうしなければならない。

 それによってナイジェリアは、売買春が女性に対する男性の暴力であり、売買春の需要が性的人身売買や人権侵害につながることを認識するアフリカ初の国となることができるだろう。

 私は売買春から逃れて何年も経つが、いまだに夜眠ることに困難を感じている。私は生きて帰れたことを神と幸運の女神に感謝している。多くの人がそうでないことを知っているからだ。何世代もの女性や少女を暴力や非人間的な行為に陥れるのは、そろそろやめるべきときだ。ナイジェリアの女性は、最高入札者に売られる心配をすることなく、平等と尊厳に値する完全な人間として生き成長できる世界を夢見ている。

※ミッキー・メジは、南アフリカの売買春のサバイバーであり、女性の権利の活動家、提唱者であり、「サバイバーのエンパワーメントと支援プログラム」の創設者である。

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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