【解説】以下は、イギリスのラディカル・フェミニストのジャーナリストであるジュリー・ビンデルさんが、性売買が非犯罪化/合法化されたベルギーの実態を取材して書いた最新記事の全訳です。セックスワーク派が唱える、「売買春を合法化すれば仕事がより安全になる」とか、「ワーカーが組合を作ったり、労働者として保護されるようになる」といった言い分がいかに根拠のない空論であるかが明らかにされています。
ジュリー・ビンデル
『アンハード』2026年6月11日
ブリュッセルの欧州議会ビルから南へ少し歩くと、ベルギー版のシャンゼリゼ通りと言われているルイーズ通りがある。3キロメートルにわたって、美しいボザール様式の建物に高級レストランや高級ホテルが立ち並んでいる。ブランド系のブティック目当てにやって来る者もいれば、セックス目当てにやって来る者もいる。
夜になると、女性たちはミニスカートにハイヒール、網タイツ姿で、この最も高級なエリアに集まってくる。彼女たちは、自分のアパートやホテルの部屋へ連れて行ってくれる男を探している。車の後部座席には乗らない。「あの女たちはハイクラスだ」と地元のバーテンダーは言う。「彼女らが探しているのは金持ちの客さ」。
そのバーの外では、フェイクファー(模造毛皮)に身を包んだ背の高い黒人女性が、銀色の髪を後ろに撫でつけ仕立てのよいスーツを着た上品そうな男性に近づいていくのが見える。2人は揃ってあたりを見渡し、近くのおしゃれな高級ホテルへと入っていった。コンシェルジュがドアを大きく開け、2人に「楽しい夜を」と声をかけた。
チョコレートやビール、そしてEUの役人たちで知られるベルギーは、近年、あまり好ましくない悪名も得ることになった。2022年、同国はヨーロッパで初めて、性売買全体を完全に非犯罪化した国となったのだ。この法律により、活動家たちが「自発的なセックスワーク」と呼ぶ行為が刑法の適用対象から外され、ピンプ、売春店、デリヘルの経営者たちは、自らを正当なビジネスマンとみなすようになった。
その後の2024年、売買春推進派の活動家たちによるさらなる働きかけを受け、ベルギーはさらに踏み込んで、認可された売春店で働く女性たちに正式な雇用契約を提供するようになった。他人に売春を強制することは依然として違法であり、無認可のピンプは重い罰則の対象となる。理論上、これはベルギーの売買春の中にいる推定3万人もの女性たちが、他の労働者と同様に、産休や病気休暇、有給休暇の取得、労働組合への加入権を持つ労働者になることを意味するはずだった。この法律の支持者たちがそう主張したように、これは「セックスワークやセックスワーカーに対する社会の認識を変えるための、より広範な社会変革の土台を築く」ことになるはずだった。しかし、はたしてそうなったのだろうか?
実際には、学生やパートタイム労働者、あるいは就労ビザや居住ビザを持たない女性たちは、こうした労働契約を結ぶことができない。ベルギーの性売買の中の女性たちはほとんどが人身売買された被害者であり、したがって不法滞在者であるため、彼女たちは対象外となっている。「パパ活」などと呼ばれる業界や、ストリップ、ポルノ業界に従事する者たちも同様だ。実際、新法に準拠した合法的な売春店として法的に認められているのは、現時点でわずか4つの事業者にすぎない。
つまり、この「業界」で働く女性の大半は、活動家たちが「変革的」かつ「歴史的」と称賛した法律の適用対象から外されているのだ。これまで、「売春婦」が病気休暇や出産手当を認められた事例はなく、売春店の経営者を相手取って労働審判所に提訴した事例もない。ベルギーは、すべてのピンプをエンパワーさせ、男の性的消費者に対して比類のない選択肢を提供することに成功した一方で、こうした状況を可能にした「仕事」をしている女性たちの生活を改善するための措置は、ほとんど何も講じていない。
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他方、街のはずれ、ルイーズ通りの洗練された外観からは程遠いこの場所では、この商売ははるかに地味なものだ。ジョージは住宅街にあるかつての自宅を拠点に事業を営み、インターネットで宣伝している。外見上、彼の物件と近隣の家とを区別する要素はほとんどない。内部には散らかった部屋が三つあり、壁にはポルノアートが飾られている。その中には、四つん這いになった裸の女性を、男が後ろから犯している、ほぼ等身大の絵もある。ジョージは私に「常連客がたくさんいる」と語った。
現在は無認可で営業しているものの、ジョージはベルギーの新法でいうところの「売春店経営者」――つまり、正式な契約に基づいて女性を「セックスワーカー」として雇用する権利を持つ合法的な雇用主――になることを望んでいる。
ジョージは、いっさいが「女の子たちに正当な権利を与える」こと、「正しいことをする」ためなんだと言って、熱心に私を説得しようとする。彼は規制に関する専門用語を流暢に操る。しかし、時おり本音を漏らす。「信頼できる労働力を確保したいんだ」と彼は言う。「気まぐれでシフトに入るのではなく、俺のために働いてくれれば、管理しやすくなるからな」。
他のピンプと同じく、彼の目当ても利益の確保だ。そしてもしジョージが認可を取得すれば、法律上、彼はもはやピンプではなくなる。彼は「信頼できる労働力」を従え、自分の意のままに動かす立派な実業家となる。
とはいえ、これまでに当局から認可を受けた性産業事業者がわずか4件にとどまっているという事実は、この業界の厳しい現実を反映している。その実態は、2002年に売買春を非犯罪化し、ベルギーなどの国々のモデルとなっているニュージーランドの性売買における労働安全衛生に関する公式ガイドからもうかがえる。このガイドでは、コンドームの破損、反復性ストレス障害、買春者からの暴力、そしてレイプについて言及している。文書では、レイプは「労働者が自らの意思に反して、買春者にコンドームなしでの性行為を強要される」場合に発生する「不幸な職業上の危険」と婉曲的に表現されている。また、HIVに汚染されている可能性がある「精液の処理」に関する助言も含まれている。
昨年、ベルギーの公衆衛生・社会問題担当大臣は、B型肝炎、パピローマウイルス、梅毒、クラミジア、淋病、トリコモナス症などの7つの性感染症が「職業病」として正式に認定されると発表した。一般的な安全衛生に関する助言は、セックスワーク派のロビイストによって提供されている。
実のところ、売春店の経営者の大半にとって、合法的な事業になることは利益にならない。合法化すれば、衛生や安全に関する措置を遵守せざるを得なくなるからだ。そして、被買春女性を売春させるような環境が、けっして基準を満たすようなものではないことは、彼らのほとんどが熟知している。前科のある者もおり、監視の目を嫌がったり、コンプライアンス検査に合格できなかった場合の起訴を恐れたりしている。そして何より、ピンプたちは税金を払いたくないのだ。
つまり現実には、ピンプが「正当な事業主」として再定義され、あるいはまた、弱者であり搾取され、しばしば人身売買された女性たちが「エンパワーされた『セックスワーカー』」として再定義されたにもかかわらず、ベルギーにおける売買春の多くは依然として犯罪者たちの支配下にあるのだ。
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ブリュッセル・ノール駅に近いアルショ通りを歩けば、この事実は一目瞭然だ。通りはゴミや薬物使用の道具で汚れており、ビキニ姿の女性がスツールに腰かけ、買春者を待つ「飾り窓売春店」が軒を連ねている。ここには、買春者が女性を連れ込むための高級ホテルもなければ、そもそもホテルの部屋すらない場所だ。それでも、ここにはある種の正当性のようなものが漂っている。ある常連の買春者はレビューサイトに、窓の向こうの女性たちは「駅近くの街角でたむろしている連中とは違い、病気の検査を受けている可能性が高い」と書き込んでいる。
これらの飾り窓は小規模な不動産会社や個人家主が借り上げ、午後6時から午前6時までの2交代制で女性たちに転貸されている。交代は素早く行なわれる。ネオンレッドに照らされたその光景は、痛々しいほどみすぼらしい。大きなショーウィンドウに商品が吊るされ、客が眺められるように並んでいる精肉店を想像してほしい――だが、ここで売られているのは生身の人間なのだ。
朝6時を少し過ぎた頃に到着すると、若い男たちのグループがたむろしているのが目に入った。彼らはピンプだ。通りを見張りながらタバコを吸い、行き交う数少ない買春者に声をかけ、料金や提供される「サービス」を説明している。男たちは主にルーマニア人やブルガリア人だ。彼らの多くは売春だけでなく麻薬も売っており、中には人身売買組織の一員である者もいる。法律は改正されたものの、実際には彼らにはほとんど影響を与えておらず、これらの男たちはほぼ間違いなく違法に活動している。ここは無法地帯であり、警察の干渉を受けることもない。
トラックスーツとコートを着てスポーツバッグを提げた2人の女性が、勤務を終えてある売春店から出てきた。2人は、同じような格好で入ろうとしている女性たちと挨拶を交わした。道路の向かい側では、Tバックと乳首がかろうじて隠れる程度のビキニ姿の女性に手招きされて、身なりの良い中年の男性が飾り窓売春店の一つへと姿を消した。
「彼らは通勤途中にさっと一発済ませることが多い――女性には『新鮮な』状態を求めているため、シフト交代時にそこへ立ち寄るのだ」と、テイナ・ビエン=アイメは私に語った。彼女は女性人身売買反対連合(CATW)の理事長であり、ベルギーで性売買が合法化されて以来、その実態を注視し続けている。「こうした男たちにとって、それはまるで朝のコーヒーを飲むようなものなのだ」
これは軽率な例えではない。以前、スイスの合法的な性売買に関する調査を行なった際、私はジュネーブのビジネスマン、ブラッドリー・シャルヴェが「フェラチオ・カフェ」を開業するための許可を申請していたことを知った。50スイスフラン(50ドル)を支払えば、客はiPadのメニューから女性を選び、カプチーノといっしょにフェラチオを注文できるようになっていた。合法化の論理が導く先は、まさにこれだ。男たちのためのまったく新しい選択肢のメニューである。しかし、それが適用されたどの場所においても、女性の生活を改善することにはなっていない。
オランダは2000年に性売買を合法化した。売買春の中の女性たちのうち、税務登録をしているのはわずか5%に過ぎない。ドイツは2002年に、売買春の中の女性たちが理論上、雇用契約を結んだり、賃金の支払いを求めて訴訟を起こしたり、健康保険や年金制度、その他の給付に加入したりといったことができるようにする法律を導入した。しかし、それは機能しなかった。数十万人に上る性売買の中の女性たちのうち、義務化される前に社会保障制度に登録したのはわずか44人だった。現在では義務化されているが、依然としてごく一部しか登録していない。ドイツは「ヨーロッパの売春宿」と化しており、報道によればタイよりも国民一人当たりの売春婦の数が多いという。実際、これは非犯罪化が需要を拡大し、人身売買が横行する条件を作り出すという典型的な例である。
ドイツでは、20万から40万人の女性が売買春に従事しており、1日あたり100万人以上の男性にサービスを提供していると推定されている。ドイツの都市では今や、巨大売春店が当たり前の光景となっており、これは一種の産業化された売買春だ。養鶏場のように、経営者は可能な限り多くの体を店に詰め込んでいる。ハンバーガー、ビール、セックスがセットになった「早朝」割引を提供する店もある。また、「1人分の料金で2人分」、「ハッピーアワー」、そして「やり放題」パスを提供する店もある。
では、誰が利益を得ているのか。それはやはり男たちだ。ドイツの性売買における女性たちのうち、売春店やデリヘル業者と正式な「労働契約」を結んでいるのはわずか1%に過ぎない。2018年の政府調査では、社会保障を受けるために「売春婦」として登録していた人物は76人しか特定できなかった。「それを『仕事』と呼んでおきながら、職場に非常ボタンを設置するなんてありえない」とビエン=アイメは言う。彼女の説明によれば、この新法は女性の搾取と売買をノーマル化するためだけのものだった。
それどころか、新法は女性をより危険な立場に追いやっている。ベルギーの法律には、売買春婦が客との性行為を10回拒否したり、特定の買春者を拒否した場合、売春店の経営者が彼女に対して訴えを起こすことができるとする条項がある。「特定の買春者や性行為を拒否できないという状況は、他のいかなる状況下でもレイプと呼ばれるものだ」とビエン=アイメは指摘する。
それにもかかわらず、立法者たちは自分たちが女性の味方であると主張している。ベルギー保健相の広報担当であるサンドリーヌ・ダウドは、売買春を合法化し「労働者」に保護を与えることで、「この業界から抜け出したいと望むすべてのセックスワーカーがそうできるようにしたい」と述べた。しかし、彼女は法律を正当化しようとする一方で、同時にその法律を骨抜きにしようとしている。「すべてのセックスワーカーが自らの自由意志で活動しているわけではないことは認識している」と彼女は言う。「しかし、彼らが活動を隠している場合、連絡を取ったり、権利について知らせたりするのははるかに困難だ」。
しかし、当然のことながら、政府は法案作成の際、多くの反対意見に耳を傾けなかった。ナターシャとシャーロットは、ベルギーの新法に反対するフェミニスト系慈善団体「イサラ」で働いている。「彼らは私たちに相談しなかったし、街頭に出ることもなかった。性売買に批判的な私たちに対して意見聴取の場を設けることもなかった」とシャーロットは言う。「彼らは、公然と売買春を支持する団体を通じて進めたのだ」。
昨年、イサラは、最終的にこの法律を廃止し北欧モデルを導入することを目指して、政府に対し法的異議申し立てを行なった。スウェーデンで先駆的に導入されたこのモデルは、性的サービスの需要を犯罪とし、それを求める男性に社会的スティグマを捺すものである。一方、売買春に従事する女性については非犯罪化し、彼女たちが売買春から抜け出せるよう支援するための「離脱」サービスを提供する。
私は数百人の売買春の中の女性たちにインタビューしてきたが、彼女たちには他に選択肢がほとんどなく、この世界から抜け出す機会も乏しかった。ナターシャが指摘するように、ベルギーの被買春女性の大半は、別の仕事に就けるほどのフランス語や英語の能力を持っていない。法律に関する知識もほとんどない――そして実際には、たとえ知識があったとしても、おそらくほとんど役に立たないだろう。「原則として、2022年の労働契約では、売春店の経営者から罰せられることなく性行為を拒否できることになっているが、現実には客がやりたい放題だ」とシャルロットは言う。「2人きりになった時、彼女に客に対してどんな対抗手段があるというのか?」。
では、ベルギーで被買春女性が法的に労働組合を結成できるようになった今、強制的な契約条項と闘うために、魔法のように新たな組織が次々と現れるという主張についてはどうだろうか。しかし、実際にはどこでもそのようなことは起きていない。ある元被買春女性が私にこう語った。「売買春を労働組合化することなんてできない。ピンプたちが、セクハラとか暴力のことを気にするわけがない。だって、彼らが売っているのはまさにそれなんだから」。
アルショ通りに戻ると、2軒の飾り窓売春店の間に挟まれた場所に、「ベルギーセックスワーカー組合(UTSOPI)」と自称する団体を見つけた。2015年に設立されたこの団体は、コロナによるロックダウン中に注目を集めるようになったと、その(男性)代表であるダーン・バウウェンスは私に語った。「ロックダウン中、セックスワーカーは他の労働者と同じような給付を受ける権利がなかった。だからわれわれは資金を集めて食料を買い、彼女たちが持ちこたえられるようにした。メディアにも頻繁に取り上げられたので、かなりの寄付が集まった」。
2020年末までに、UTOPSIは数十万ユーロの資金を調達していたが、その大半は政府からのものだった。しかしその資金は、女性が性売買から抜け出すのを支援するのにはいっさい使われなかった――そのための予算は存在しない、とバウウェンスは私に語った。何といっても、「セックスワーク」が今や他の仕事と何ら変わらないものだとすれば、なぜそこから抜け出そうとするだろうか?
その代わりに、彼らの予算は、彼が「アウトリーチ活動」と呼ぶもの──つまり、冬場のコンドームや温かい飲み物の配布、非犯罪化に向けたロビー活動、そしてメディアや公的機関を通じた売買春容認論の普及──に費やされているようだ。UTSOPIは、法改正から19ヵ月が経過した現在に至るまで、労働審判に出廷したこともなければ、職場での紛争に介入したこともない。
だが、女性の権利を守るためでなければ、この名ばかりの組合に何の意味があるのか。バウウェンスは、新法に対して唯一抵抗したのは「われわれが『セックスワーカー排除的ラディカル・フェミニスト』(SWERF)と呼ぶ人々だけだ」、しかし、その種のフェミニズムはもうここには存在しないと言う。
イサラのような団体が存在することを考えれば、それは信じがたいことだ。しかし、バウウェンスは、彼らが法律の廃止を求めていることに対しては冷淡だ。「彼らの主な主張は、セックスワークは『まともな仕事』ではないということだ。そして、誰もがまともな仕事をする権利を持っているのだから、この法律は廃止されるべきだ、と彼女らは言う」と彼は語る。「憲法裁判所が道徳的な判断を下すことは決してない。だから、裁判所がこの件を取り上げることすらないと思う」。つまりバウウェンスの見解では、この仕事は「ディーセント・ワーク(まともな仕事)」なのである。
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バウウェンスの事務所から歩いてすぐのところに、ユニス・N・オサヤンデ通りがある。この通りの名前は、人身売買によってベルギーに連れてこられ、飾り窓売春店で働かされていた23歳のナイジェリア人女性ユニス・オサヤンデさんにちなんで付けられた。2年後の2018年、彼女は買春者に殺害された。この通りは、彼女が刺殺された状態で発見された現場の近くにある。
彼女の死から4年後に成立したこの法律〔売買春の非犯罪化〕は、オサヤンデが「まともな(ディーセント)」仕事の中で命を落とすのを防げたのだろうか。エビデンスは、そうではなかったことを強く示唆している。人身売買は依然として横行しており、その被害者たちは声を上げられない――そもそも、新しい法律は彼らには適用されないのだ。さらに、売買春擁護派のロビイストたちが主張する「ピンプや買春を処罰することは、性売買を地下に追いやって、より危険にするだけだ」という主張は、明らかに根拠がない。「非犯罪化は、売買春を安全にするどころか、その逆の効果をもたらす」とビエン=アイメは言う。「それは市場を拡大させるだけであり、女性たちの安全が確保されないことは明らかだ。オランダなどの国々で被買春女性たちが殺害されている事実を見れば、これが女性たちの安全のためではなく、単に売春による利得者たちが客を集めやすくするためのものにすぎないことがわかる」。
ベルギーの立法者たちが掲げた数多くの公約の一つに、男性がこれらの女性たちが正当な労働者であることを知れば、より敬意を持って接するようになるというものがあった。新法により、虐待的な買春者の通報が一般的になり、社会的スティグマも軽減されるはずだった。それによって「より良質な客層」を呼び込むことになるとされた。しかし、こうしたことが実際に起きたというエビデンスは、現時点ではまったく存在しない。
他方、その反対を示すエビデンスは山ほどある。あるベルギーのウェブサイトには、買春者が購入した女性についてレビューを残せる「ゲストブック」が設けられている。「レナはとても美しかった。コンドームをつけたまま、最高に気持ちいいフェラをしてくれた。個人的にはコンドームなしの方が良かったが。そうすれば、好きな体位で彼女とセックスできたのに」とある投稿には書かれていた。
「彼女はもっと仕事に集中すべきだ。おしゃべりしすぎるし、フェラチオの仕方も知らない」と別の男が書き込んでいる。「泣かれたら、無視すればいい」と別の男が書き込んでいる。「たぶん、彼女の出身地であるあの地獄のようなアフリカの国に置いてきた子供たちのことが恋しいんだろう」。
欧州議会のビルの背後にある有名なフライドポテト店「メゾン・アントワーヌ」で、4人の若いイギリス人男性が、揚げ物をがつがつほおばり、コカ・コーラをデカいグラスでがぶがぶ飲みながら、昨晩のお楽しみの話をしている。彼らは、男同士の週末旅行で、この都市の売春街を訪れるためにここに来たと私に話した。なぜベルギーなのか?──「プラハの女たちは不潔だが、ここは合法だから、政府が病気にかかっていないか確認するために血液検査を受けさせているんだ」と一人が言う。「検査結果が陰性でなければ、働くことは許されない」と別の男が付け加える。彼らにとって新法はウインウインになるものなのだ。
ホテルに戻ると、あるドイツ人の中年男性が、バンクシー美術館と売春街を見に来たのだと私に話した。「もう女には愛想が尽きた」と彼は言う。「でも女目当て国境を越えてきたじゃないの?」と私が言うと、彼はこう答えた──「それは話が別だ。金を払う相手なら、口答えなんてしないからな」。
しかし、多くの地元住民はそれほど熱心ではない。「この街が引き起こした混乱を誰かが直視すべきだ」と、売春街で私を乗せたタクシー運転手は言う。「イギリス人の男たちは、酔っ払ってやってくる。ドイツ人たちは、売春婦をまるでクズのように扱う。それに、ピンプもろくでもない連中だ。俺がそいつらを乗せると、意地悪で暴力的だし、薬物に手を出していることも多い。この街を台無しにしているんだ」。
しかし残念なことに、売買春に対するこうしたレッセフェール(自由放任)的な傾向はますます強まっている。フランスでは現在、売買春を女性に対する暴力や虐待と見なし、女性ではなく買春者を犯罪者として処罰している。しかし、極右「国民連合」のマリーヌ・ルペンもジョーダン・バルデラも、女性が協同組合として売春店を経営することを支持している。彼らもまた、金銭を伴う性行為はフランス社会にとって必要な要素であり、まともな仕事であると考えているのだ。
一方、欧州議会では、性売買を重大な人権侵害と位置付ける法案がいくつか可決された。しかし、これらの大物政治家たちは、自分たちのすぐそばにある掃きだめのことはまったく気にしていないようだ。
「ベルギーに来た当初、『良い』客はみんなルイーズ通りにいるから、そこで働くべきだと言われた」と、性売買サバイバーだったマルゴは私に語った。「大金を稼げるし、高級ホテルの部屋でシャンパンも振る舞われるだろうと。でも、男たちはどこに行っても同じだ。どこで私たちを買おうと、みんな私を一方的に使用し、虐待したがっている」。
ルイーズ通りの女性たちと、アルショ通りの飾り窓売春店の女性たちとの違いは、放し飼いとケージ飼いの違いに少し似ている。売り方は違う。だが、ピンプによって彼女たちに課せられる罰は同じであり、彼女たちの目に浮かぶ幽霊のような表情も同じだ。「売買春は私たちの自由を奪い、貧しいこと、そして女性であるという理由で私たちを差別する」とマルゴは語る。寒く寂しい通りで刺し殺されたユニス・オサヤンデにとって、死こそが彼女の払った代償だったのだ。