なぜBBCは、ナチスのシンパがドイツの売春店の利益を促進することを可能にしているのか?

Nordic Model Now!, May 13, 2021

 2021年5月10日、BBCは「新型コロナウイルス・パンデミック――危機にさらされるドイツのセックスワーカー(Covid-19 Pandemic:Sex Workers in Germany ‘At Risk’)」という短編フィルムを公開したが、その中で、ナチスへのシンパシーを公に誇示しているアンドレ・ノルテが登場している。

 私たちはBBCに苦情を提出し、使用した文言をこの記事の最後に掲載した。この映画について苦情を申し立てたい方は、ぜひこの記事をコピー&ペーストしてほしい(翻訳ではこの部分は割愛)。

 この短編フィルムの表向きのメッセージは、ドイツ政府が新型コロナウイルスに対応するための全面的なビジネスロックダウンの一環として、性産業にも制限を課したために「セックスワーカー」が苦しんでいるというものだ。

 しかし、人の目をごまかす立派なお題目の裏には、ドイツ性産業に対するこの弁明の真の動機が見え隠れしている。つまり、この業界とその強力な既得権者が利潤を失いつつあるということだ。この作品は、最前線で働くワーカーの苦境を利用して、政府が性産業を一時的に凍結したことで、彼女らの「仕事」がより危険なものになったという考え方を広めることによって、世間の共感を得ようとしている。

 ドイツでは売買春は合法である。新型コロナウイルスに伴うロックダウン以前、この業界は年間推定150億ユーロもの利益を上げており、そのほとんどがピンプ、売春店経営者、人身売買業者のポケットに入っていた。また、毎日100万人以上の男たちが売春店を訪れていたが、その一方で、売春店の女性たちの状況は悲惨なものであったことが明らかになっている。

 ドイツで売春をしている女性たちの60%から90%は、自分の意思に反してピンプの支配下に置かれており、それは人身売買の国際的定義に当てはまる。また、ほとんどの女性が、被雇用者としての権利を有しないギグ・エコノミー状態で働いている。

 フィルムの中では、売買春の実態を誤解させてノーマルなものに仕立てあげようとする発言がいくつも登場している。まず冒頭シーンでヤナは、「私たちは普通の仕事をしています。社会にとってとても重要な素晴らしい仕事です」と言っている。しかし、売買春は「普通の仕事」ではない。それは他のどんな仕事とも根本的に異なる。

 他の産業(建設や医療など)で安全衛生上のリスクに苦しむ労働者が重要な社会的役割を果たしているのに対し、売買春は社会にとって何のプラスにもなっていない。売買春は、男性の優越感や特権を助長し、現在私たちが経験している女性と少女に対する男性の暴力の蔓延に直接貢献している。つまり、直接の当事者である女性たちだけでなく、すべての女性や少女の不利益を推進している。

 暴力的で下劣なポルノが主流になったおかげで、売買春の現場において唾液や精液だけでなく、尿や便、さらには血液にまで直接さらされる危険性がある。また、そこではレイプや性的・身体的暴力が横行している。このようなリスクのある他の職場環境では、労働者はPPE(個人防護具)を着用することが義務づけられているし、コロナパンデミックの以前からそうだ。だが、このような保護措置は、売買春の本質そのものを変えないかぎり、売買春では不可能だ。

 このフィルムに登場するアンドレ・ノルテは、売買春の健康リスクは美容師とほとんど変わらないと主張し、「たとえ多くの顧客と会っていたとしても、彼女らの働ける他の種類の産業に比べても、実際にそれほど接触は多くない」と述べている。これをBBCがあたかも中立的な意見であるかのように垂れ流すのは、まったく許しがたい。

 フィルムでは、アンドレ・ノルテのことを「セックスワーカーおよび性産業のスポークスマン」と表現している。彼は、ドイツ政府が合法的売買春を一時的に営業停止にしたことには、隠れた動議が存在するという意見を代表する人物と紹介されている。ノルテによれば、その動機とは、新型コロナウイルスにおける公共の安全に関わるものではなく、「性産業そのものへの攻撃」を意味するのだという。

 この人物は、BBCのフィルムでは信頼できる情報源であるかのように紹介されている。実際には、彼は悪名高い「ドミネーター」であり、金を払って顧客を招き、権力や支配を伴う性的な空想を演じさせる男である。このゲームでは、彼はナチスの将校に扮する。彼のウェブサイトには、ナチスの制服を着てポーズをとっている彼の写真が大量に掲載されている。

 社会的・経済的な政策において、ナチスへのシンパシーを公にしている人物をBBCが登場させるような分野が他にあるだろうか? この記事がウェブサイトに掲載される前に、BBCは何らかのデューデリジェンス(事前の適正評価)を行なったのか?

 私たちは、新型コロナウイルスに対応するための産業のロックダウンや閉鎖が、とくにギグ・エコノミーの人々にとって破滅的なものであることを十分に理解している。しかし、BBCに期待されている分析は、これらの労働者を非常に脆弱にする搾取的な慣行の拡大を単に呼びかけるだけではないもののはずだ。

 私たちのグループにいる売買春サバイバーの一人は、ドイツの性売買の利得者たちがちょっとびびり始めているのではないかという鋭い観察をしている。なぜなら、新型コロナウイルスによる性産業の閉鎖によって、男は売買春を利用しなくても別に生きていけること、そして北欧モデル型アプローチが、ドイツの自由化モデルに代わる真に機能するオルタナティブであることが明らかになりつつあるからだ。

 BBCの編集基準(1.2項と1.3項)には、視聴者はBBCを信頼し、BBCが最高の編集基準を遵守することを期待していること、BBCのジャーナリズムは真実を明らかにすることを求められ、公正で正確な報道を提供しなければならないこと、表現の自由を行使する際には、弱い立場にあるグループに適切な保護を与え、不当に不快な思いをさせないようにしなければならないことが明記されている。

 この作品がこれらの基準を満たしているとはとうてい思えないし、BBCの使命を果たしているとみなすこともできない。私たちはBBCに対し、この記事をウェブサイトから削除すること、そして今後、性産業に関するいかなる報道をするときも、この最も虐待的、女性差別的、搾取的なシステムのプロパガンダを単に繰り返すことのないよう、より責任を持って行なうことを求める。また、性産業を取材するBBCのジャーナリストには、売買春の状況についてレクチャーを受け、売買春のシステムを美化したり婉曲表現するような言葉(「セックスワーク」など)を使わないよう、しかるべき講習を受けるよう求めたい。

出典:https://nordicmodelnow.org/2021/05/13/why-does-the-bbc-enable-a-nazi-sympathiser-to-promote-the-interests-of-german-brothels/

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

なぜBBCは、ナチスのシンパがドイツの売春店の利益を促進することを可能にしているのか?」への1件のフィードバック

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