先日、イギリスのリーズ市議会で、労働党を中心に貧困地域のホルベックに設置された「管理売春地域」を、新型コロナ・パンデミックによるロックダウンの解除後も再開しないことが決定されたというニュースをお伝えしましたが、ドイツでは逆に、ロックダウン解除後に、売春街も再開するというニュースが伝わっています。
たとえば、ドイツの大手のローカルニュースサイトTAG24の記事は、ハンブルクの売春街も再開されるというニュースを、あたかもそれが「いいニュース」であるかのように報じています。またこの記事に掲載されている写真には、2人の女性に挟まれて嬉しそうに宣伝フリップを掲示している男が写っていますが、この人物はなんと、ハンブルクのミッテ区(ベルリンのミッテ区ではなくハンブルクのミッテ区)の区長ファルコ・ドロスマンで、社会民主党の所属です。この人物は、以前から売春街の再開キャンペーンを性産業の業者団体と協力して行なってきました。
彼が手にしているフリップには、酒瓶を持った男の顔の上に若い女性がお尻を乗せている絵と、「口と鼻は覆ってね」という注意書きが書かれています。売春店に来れば、お尻で口と鼻を覆うというわけです。
この写真は、ハンブルクの売春街の再開に向けて、ハンブルク性産業の業者団体が行なったキャンペーンの一環であり、ハンブルク州政府(ハンブルクは市であるとともに州)がそれに全面協力し、ミッテ区長が無料でこの宣伝に登場しているのです。
ドイツの「左翼」は、社会民主党系も、緑の党も、新左翼系も、一部の良心的な人々を除いて、基本的にセックスワーク派であり、このようなキャンペーンに自分たちの首長が登場しても、問題にならないのです。こうした恥知らずな行為を批判しているのは、アボリショニスト(売買春廃絶派)のフェミニストだけです。
日本なら、自民党の首長でさえこんな恥知らずなことはしないでしょう。売春防止法があるおかげです。多くの人は売春防止法をザル法だと言いますが、また実際にそうですが、少なくとも、売買春を法的に正当化していないという一点で、ドイツなどの「先進国」よりも無限にましなのです。
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「ハンブルクの売春街の再開を宣伝するドイツ社会民主党の区長」に2件のコメントがあります