アメリカのハワイ州で北欧モデル型の刑法改正案が上下院で可決――全米初の快挙!

 2021年4月末、アメリカのハワイ州の上下院は、従来の刑法における性的人身売買罪を強化するだけでなく、人身売買罪の隙間を埋めるために、金銭ないしその他の価値あるものと引き換えに他人の性を買うことを処罰の対象とする商業的性搾取罪という新たな規定を設ける刑法改正案を可決しました。その一方で、この刑法改正案は、性を買われる側の人々を非犯罪化しています。この法案は、州知事が拒否権を発動することなく署名すれば、正式に改正刑法として成立することになります。これは事実上、北欧モデル型の立法を刑法レベルで導入するものであり、ハワイ州は、アメリカで北欧モデル法を最初に導入した州となりました。

 これまで、ハワイ州は他のほとんどすべての州と同じく、売買春を禁止しており、売り手も買い手も斡旋者もともに売春罪に問われる法体系になっていました(いわゆる「禁止主義」的法体系)。しかしこれは、商業的性搾取の加害者(買春者と斡旋者)と被害者(被買春者)とを同列に扱うものであり、きわめて不公正です。この刑法改正案は、処罰対象を変えるだけでなく、従来の禁止主義的な用語をも変えることを提案しています。売春罪という言葉をなくし、「商業的性搾取罪」という言葉を採用することで、この売買春における加害ー被害の関係を明確化し、被害者を保護しようとしているのです。

 人身売買被害者を買春することは重罪として規定されていますが、そのような人身売買被害者でなくても、そもそも誰かを買春することは商業的性搾取罪という軽罪に問われる構成になっています。初犯の場合、500ドル以上1000ドル以下の罰金および、30日以下の懲役または禁固刑を科すことができるとされています。

 この刑法改正にさらに、買春被害者への手厚い公的支援や転職保障を確保することや、加害者への再教育、買春が性的搾取であり「女性に対する暴力」の一部であるということの社会的啓発などを定めた法体系が伴うならば、より全面的な北欧モデル型立法に発展することができます。この方向に向けた国際世論の支持が必要です。

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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