メリッサ・ファーリー「つながりを理解する――資源採掘、売買春、貧困、気候変動、そして人権」

【解説】以下の論文は、売買春の問題に長年取り組んできたアメリカのアボリショニスト・フェミニスト理論家、メリッサー・ファーリーさんの最新論文です。表題の通り、資源採掘、売買春、貧困、気候変動、人権という現代の最も重大な諸現象のあいだに、根本的なつながり、連関があることを明らかにした力作です。本人の許諾を得て、ここにその全訳を掲載します。

メリッサ・ファーリー

『インターナショナル・ジャーナル・オブ・ヒューマンライツ』2021年

 本稿では、売買春、資源採掘、貧困、気候変動の間の概念的、経験的なつながり、関連性をいくつか提示する[1]。これらのつながりは、森田成也氏による以下の視覚的な図である図1によって明確にされる[2]。

 短期的には、資源採掘は、図1の左側の矢印で示されているように、性売買の急激な増加をもたらす。長期的には、資源採掘が気候変動を引き起こし、気候変動は、干ばつや洪水、農業の崩壊などの極端な現象を生きのびるための人々の能力を危機にさらす。そして、このような気候変動による大災害は貧困をもたらし、それがまた女性を性産業へと導くことになる。図1の下段の矢印は、このプロセスを示している。

 資源採掘の第1段階――売買春の開始・拡大・定着

 まず最初に、植民者とその子孫が、天然資源の豊富な土地に住む先住民を従属させる。歴史的に見て、資源採掘産業は若くて貧しい男性を搾取してきた。彼らは、きつくて危険な仕事であるために誰もやりたがらない仕事をすることで、高い報酬を得ていた。このような資源採掘の初期段階では、一時的に好景気となり、現金は手に入るが孤独な労働者階級の男性が増える。労働者を懐柔し、ピンプ〔自己の支配下にある女性に売春をさせて金を儲ける者、女衒〕を儲けさせるために、ピンプ支配下の女性や少女たちがこれらの好景気/犠牲地域に連れて来られる。アメリカやカナダのバッケン油田、南アフリカの金鉱、コロンビアのコルタン〔黒色の鉱石で、精錬すると、レアメタルのタンタルとニオブが得られる。耐熱性が高いので、電子回路の製造に用いられる〕採掘地域、ブラジルの森林伐採地域などがそうだ[3] 。人身売買された女性のこのような大移動は、好景気に沸く町とその近隣コミュニティの両方で売買春を増加させる。以下は、このプロセスの一例である。

 モンタナ州、ノースダコタ州、サスカチュワン州、マニトバ州に広がるバッケン油田が広がっている土地では、ダコタ・アクセス・パイプラインが同地のコミュニティに物理的、心理的、文化的なダメージを与え、生態系にとって致命的な被害をその土地や水に与えている[4]。2008年、大量のパイプライン労働者が、バッケン地域における「マンキャンプ(男性収容所)」と呼ばれるバラック式住宅に入居した。油田犠牲地帯に隣接するコミュニティでは、性的暴行、家庭内暴力、性的人身売買が3倍に増加し[5]、とくに先住民族の女性に対する性的暴力の割合が高くなっている[6]。採掘プロジェクト周辺での生活がもたらす悪影響には、性感染症や死産の増加、健康状態の悪化、生態系の劣化や気候変動、食料安全保障への脅威、政治的腐敗などがあり、これらはすべて女性に深刻な影響を与えている[7]。

 コンゴではコルタンの採掘が環境保護のために中止されたが、資源の採掘が中止されても、新たに拡大した性産業は、植民地化の永続的な遺産として運営されつづける。ベルギーによるコンゴ支配は、国家による植民地化から企業による植民地化へと徐々に変化していった[8]。ベルギーの植民地支配による国家の商品化は人々の社会的・政治的力を奪い取り、その後に起こる気候変動以前でさえ、人々をより貧困で、より少ない資源、そしてしばしば必要生活手段にさえ欠く状態のまま取り残す。このような一連の流れは、資源が商品化されるところではどこでも起こる。すなわち、最初は、資源採掘に基づいた好景気が、短期的な雇用機会とそれまで知られていなかった富を生み出す。労働者の懐柔とピンプ・人身売買業者の金儲けの両方のために売買春が成立する。やがて好景気が崩壊すると、男は有償の性的接触を求め続けることと、女性が生きていく必要から、売買春制度が引き続き推進され、資源採掘産業が終了した後もそれが残るのである。

 資源採掘の第2段階――生態系破壊、気候変動、貧困、売買春

 生態系の崩壊と破壊に並行して社会の崩壊と破壊が進行する[9]。社会システム全体が被害をこうむり、幼少期の性的虐待やネグレクト、家庭内暴力の高い発生率など、個人や文化へのダメージを示す諸指標が増大する [10]。植民地時代の資源採掘がもたらした長期的な影響はザンビアでも明らかだ。イギリスが行なった銅とアルミニウムの採掘は、土地を汚染し、伝統的な農法を破壊した。植民者たちがザンビアを去った後も、大規模な環境破壊、政府の腐敗、人権侵害とともに、違法な採掘が続けられた[11]。失業率の高さから貧困が蔓延し、ザンビアの男たちは鉛筆を売ったり、車のフロントガラスを洗ったりしていた[12]。性差別がポストコロニアルな人種差別や貧困と結びつくことで、女性は売買春をせざるをえなくなった。ザンビアの農婦たちは、干ばつを乗り切るために売買春に手を染めた[13]。ザンビアのある女性は、自分の子どもたちを養うために、5回のフェラをしなければならないと計算した。それでようやく一回の食事代がまかなえるのだ。貧困と子どもたちの飢えにもかかわらず、彼女は自分を「自発的なセックスワーカー」と表現し、性売買の擁護者たちから教わった言葉を使った[14]。彼女は子どもたちを養うために自分自身を販売可能な商品として再定義したのである。

 環境破壊は、とりわけ先住民コミュニティや有色人種コミュニティに被害をもたらす。貧しい人々、安定した住居を持たない人々、危険な地域に住む人々、医療を受けられない人々、十分な食料を持たない人々――これらの人々は環境災害に見舞われたときに最も危険な状態に置かれる[15]。洪水は、資源の豊富なコミュニティにいる人々に対してよりも、サウスダコタ州のヤンクトン・スー族に対してより深刻な影響を及ぼした[16]。ヒューストンの洪水の後、低所得者層が住む地域では、家の中が水だけでなく重化学物質でいっぱいになった。これは、有色人種や貧困層が住む地域に有害な産業が存在することを許してきた環境レイシズムの結果である。ミシガン州フリントの水道水の致命的な汚染のような産業汚染の腐敗した「改良」も、政府が行なった環境レイシズムの一例である[17]。

 地球温暖化は食料や水の不足を引き起こし、それが売買春に結びついている。多くの国では、女性が家計のための水、食料、燃料の調達に主な責任を負っている。気候変動によって引き起こされる干ばつは、水の入手を困難にし、農業生産を減退させるため、これらの作業をより困難にする。女性は水の確保が困難になると、移動距離が長くなるため、レイプのリスクがいっそう高まる[18]。エチオピアとバングラデシュの若い女性たちは、気候変動によって性的暴力(強制結婚や売買春を含む)が増加したと報告しているが、それは以下のような理由である。干ばつ時には、少女たちが30ガロンの容器で水を汲んでくる作業が、以前は2時間で済んでいたのに、1日に6時間もかかるようになった。この大変な水汲み作業でくたくたになるため、少女たちは学校での勉強に集中することが難しくなる。教育は、少女たちが売買春に入るのを妨げるための大きな抑止力である。さらに性的暴力の増加とその心理的後遺症は、少女たちが性産業に抵抗できない原因となっている。

 気候変動と売買春の関係は、2015年にインドのアンドラ・プラデシュ州で明らかになった。華氏123度〔摂氏50度〕の気温が気候変動によって引き起こされた。3人の子どもを持つシングルマザーは、極度の貧困が原因で、いやでいやでたまらなかった売買春をするようになったと説明した。彼女の夫は、干ばつで経済的に破綻した後、一家を捨てた。

「何年も雨が降らず、仕事もありませんでした。私の友人は、仕事なしにいつまでやっていくつもりかと私に問いかけ、子どもたちに良い未来を約束できる仕事があると言ってきました。それで、私はセックスワークを始めたのです。他に選択肢はありませんでした。客に殴られたり、お酒を飲まされたり、別の街に連れて行かれたりすることもありました。でも、私はすべてを我慢しなければなりませんでした。」[19]

 生態系の破壊が頻発すると、国家や地域全体が不安定になり、不本意な大規模移住、内戦、国境を越えた紛争、社会・経済システムの崩壊を引き起こす。たとえば、タイの生態系破壊と人身売買の増加との関連が指摘されている。工業用エビ養殖のためにタイの土地を手に入れた企業は、先住民を故郷から追放し、森林破壊、洪水、地元での食糧不足を引き起こした。企業がモノカルチャーを重視していたため、タイの先住民は家族のために果樹を育てると罰金を科せられた[20]。売買春、人身売買、その他の人権侵害は、気候難民が貧困に陥り、避難し、移住することで増加する[21]。

 気候難民と人権

 2050年には、干ばつ、火災、砂漠化・砂嵐、不作、海面上昇、ハリケーン、洪水などから逃れようとする環境移民が10億人に達すると予測されている[22]。これらの気候危機は、人々の生存能力に影響を与え、性的暴行や売買春を含む性的強要に対する女性の脆弱性を高める。

 気候変動は、生命への権利と健康への権利を脅かす[23]。2008年の国連人権理事会の決議では、「気候変動は、世界中の人々や地域社会に直接的かつ広範囲な脅威をもたらし、人権の完全な享受に影響を与える」と述べられている[24]。2008年以降、国連人権理事会は、気候変動が人間の生存を脅かすことを記述した7つの追加決議を採択している[25]。世界人権宣言では、気候変動が社会的公正に与える悪影響について述べられており[26]、その中には衣食住、医療、必要な社会サービスを含む生活水準を獲得する権利が含まれている[27]。気候変動は既存の社会的脆弱性をいっそう悪化させるため、特定のグループの権利が不均衡に脅かされる。たとえば、貧困層、住居のない人々、人種・民族・宗教的マイノリティの人々、女性、若年層、高齢者、さまざまな病気や障害を持つ人々、などだ[28]。これらの人々は、売買春のリスクが不均衡に高い人々でもある。

 「健全な環境」は、生命の権利と健康の権利を享受するために不可欠であると考えられている[29] 。自然環境と人間が作り出した環境の両方が、「基本的人権、さらには生命の権利そのものを享受するために不可欠である」[30]。気候変動に起因する健康問題には、熱関連疾患、媒介性疾患、食中毒、水系疾患、呼吸器系およびアレルギー系疾患、栄養不良、集団的暴力、精神衛生上の問題などがある[31]。1966年に制定された「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(ICESCR)」〔以下、「社会権規約」と表記〕では、ある人が他の人の健康や生命の権利を脅かすことはできないとされている[32]。世界人権宣言(1948年)と社会権規約はどちらも食料に対する人権を認めている[33]。社会権規約は、「すべての人が自分および家族のために適当な生活水準を得る権利」と「すべての人が飢餓から免れる基本的権利」を主張している[34]。しかし、資源採掘と気候変動により、水の供給と食用作物の生産が減少し、食料へのアクセスが制限される。

 また、気候変動への適応能力にも格差がある。過去に権利が侵害されたことがあればあるほど、気候変動への適応能力は低下する[35]。デズモンド・ツツ司教は、これを「適応のアパルトヘイト」と呼んでいる。これは、生命を脅かす気候変動の中で、世界の貧困層が危険なほど限られた資源の中で沈むか泳ぐかを迫られるというものだ。それに対して、たとえば、スイスのスキービジネスは、人工降雪機に投資することによって地球温暖化に適応することができる[36]。気候ジェントリフィケーション(Climate gentrification)とは、都市や地域において、富裕層が安全でない場所や浸水した場所、温暖化した場所から逃れて、他の人々の住む近隣地域に安全な住まいを求めることで起こる現象で、その地域の不動産価格や家賃が上昇して労働者階級や貧困層には手が届かなくなるのである[37]。

 貧困は気候変動の普遍的な結果であり、売買春の普遍的な前提でもある。食料やシェルターへのアクセスに不安を覚えることがどれほど深刻なものかを理解することは、気候危機に見舞われた女性や売買春をしている女性がとる極端なリスクを理解するための鍵となる。ラディンとスンダーは、貧困や無力化された人々が「自暴自棄の交換」に関与する可能性が高いことを指摘し、「……それが実際には無力な人々が生き残るための唯一の手段であるにとき、社会が人々の一側面の商品化を受け入れることは容認しがたいことだ」と述べている[38]。極度の貧困のため、食料やシェルターと引き換えに性的搾取を容認するような絶望的な交換が行なわれている。このような生存のための取引から生じる深刻な被害についての証拠が存在する。たとえば、オランダで売買春をしている女性の貧困度が高ければ高いほど、売買春における暴力的な虐待を容認する傾向が強い[39]。

 欧州人権裁判所は、極度の貧困とそれに伴う尊厳の欠如が人権侵害であることを認め、数ヵ月間ホームレス状態にあった男性移住者のケースを挙げ、「資源も衛生施設へのアクセスもなく、必要不可欠なニーズを満たす手段もない」とした上で、彼が「自分の尊厳に対する敬意の欠如を示す屈辱的な扱いの犠牲者」であったことを指摘し、「自暴自棄を誘発するような恐怖、苦悩、劣等感」にさらされていたことは間違いないと述べている[40]。欧州社会憲章は、国家は弱者をホームレス状態から保護するための措置を講じる必要があると指摘している。社会憲章では、法的地位にかかわらず、すべての移民にシェルターを利用する権利が認められている[41]。しかし、これらの最低基準は、そのほとんどが貧困でホームレス、あるいは移住者であることが多い被買春女性には適用されていない[42]。

 ラオとミンは、「まっとうな生活水準(decent living standards)」(DLS)と呼ぶものに不可欠な物質的諸要件を提案している。それは「……良い生活に対する意図や概念、あるいはその他の権利を主張するかどうかにかかわらず、あらゆる場所にいる人々が持つべき一連の物質的条件」であるが、これらの条件には、食料、避難所、衣類、医療が含まれている[43]。社会権規約も同様に、「十分な食料、衣類及び住居」に対する人権を含む、生活水準に関する幅広い見解を包含している[44]。多くの女性は、子どもを養うために売春をすると説明している。気候危機は、女性が子どもを養う能力を危うくする。たとえば、何十年にもわたる干ばつと内戦の後、グアテマラの諸家族は北へと移動し、他の何百万人もの気候変動による避難民とともに、安全な場所を求めた[45]。残念なことに、避難民の権利を定めた1951年の難民条約では、亡命が認められるために人々が逃れなければならない現象のリストの中に、気候変動はまだ含まれていない[46]。このような認識不足ゆえに、気候変動難民はしばしば不法移民として犯罪者扱いされている。2021年、ノルウェー難民評議会は、各国政府が地球規模の避難民問題に取り組もうとしないことを「人類の壮大な失敗」と表現した[47]。国際難民支援プロジェクト(IRAP)は2021年、米国が気候変動を難民認定の理由として認めるよう勧告した。さらにIRAPは、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアなどで「緩慢な惨事(slow-moving disasters)」の影響を受けた人々に一時保護資格を与えるよう提言した[48]。

 貧困、ホームレス、売買春の関連性

 5大陸にまたがる大規模な調査サンプルにおいて、ホームレスと売買春の併発率は75%であると記録されている[49]。それにもかかわらず、シェルターに対する権利は、貧困と代替手段の欠如によって売買春を強要されている女性にはほとんど提供されていない。売買春では、ある人が経済的、社会的、法的な権力を持ち、他の人を雇って性的な操り人形のように行動させる。経済危機の中、売買春をしている女性たちは、コンドームやマスクなしでのセックスに同意させられるなど、通常よりもいっそう大きなリスクを負うことを強要される。新型コロナウイルスの大流行時には、命の危険を承知で多くの女性が売買春をしていた。「コロナウイルスで死ぬ前に貧困で死ぬ」と、売買春をしていたインドの女性は語った[50]。アメリカの女性は、「ウイルスは生き残れるかもしれないけど、2ヶ月間食べられないのは生き残れない」と説明している[51]。カメルーンで売買春をしている女性は、家族を養うために悪夢のようなリスクを冒して、コロナウイルスの症状を訴えるヨーロッパ人男性に対して、彼を隔離していたホテルで性交渉を持ちかけた[52]。

 貧困問題の研究者や政府は、物質的な欠乏から生じる強制的なセックスを、女性の人権侵害として定義していない。貧困についての理解が深まるまでは、気候変動のために国境を越えた避難民の女性を含む、貧困によって生じた売買春のように、女性を「基本的人権の侵害に身をさらすことに積極的に参加させる」ものを理解できないのも当然である[53]。貧困に基づく売春は、女性が公的支援を受ける権利を持たず、強制的なセックスや売買春を甘受することで生存に必要なものを手に入れなければならない、排除された市民権と表現されている[54]。自由に選択された売春という神話は、人権派でさえも、女性の売春につながる食料とシェルターの必要性という貧困に起因するものを無視することを可能にしている。売買春は、貧しい女性や住居のない女性に被害を与えるものではなくて利益をもたらす制度であるとさえ考えられている[55]。人に選択の余地がないことを理解できない場合、貧困層はまともな学校に通わなかったことで非難され、気候変動移民は犯罪者の烙印を押され、奴隷は自分が奴隷にされたことで非難され、ユダヤ人はナチスの死の収容所から逃れられなかったことで非難され、売買春の中の女性は売春することを選択したように見えることで非難されるのである[56]。

 ジュリア・オコンネル・デイヴィッドソンは、「セックスワークの本質的な特質」のために自由に売春を選択するのは、「ごく少数の個人」だけであると指摘している[57]。いくつかの調査研究によると、売買春をしている人の89~90%が、経済的に生き延びるための代替手段がないか、逃げ出す手段がないために売春をしていると答えている[58]。国際労働機関(ILO)は、インドネシアにおいて、インタビューを受けた人の96%が売買春から逃れたいと考えていると指摘している[59]。売買春は、「選択の余地のない人々が選んだもの」であるにもかかわらず[60]、同意があるように見える。しかし、真の同意を可能にする条件である身体的な安全性、買春者との対等な力、そして真の代替手段といったものは、売買春の場合には存在しない。ネバダ州の合法的な売春店にいるある女性は、「売られることを楽しむ人はいない。レイプされる契約にサインしているようなものだ」と説明している[61]。売買春に関する調査研究のためにインタビューを受けたある男性はこう説明している。

「一見すると、売春婦は同意しているように見える。しかし、心の奥底では、人生の状況が彼女にそうさせたようなものだとわかっている。……それは燃えさかるビルから飛び降りる人のようなもので、飛び降りることを選択したとも言えるし、選択の余地がなかったとも言える。」[62]

 売春が選択された仕事であるという考え方は、土地、水、人々の身体、そして一般的には「以前は何もなかったところに新しい商品市場を作り出す」ことで、無秩序な市場を促進する植民地経済のイデオロギーに由来しているのかもしれない[63]。性を購入し、売買春の中の女性に対して攻撃的な行為をする権利を持つという態度は、魚の絶滅を引き起こすダムを建設したり、象牙のために象を狩ったり、農業開発のためにブラジルの熱帯雨林を焼いたりする男性たちによる「商品化の権利」とよく似ている。ある買春ツァー客はこう語る、「私は、他のアメニティ、レストラン、公益施設を利用するように、彼女らを利用する」[64]。スコットランドのある買春者は、「売買春とは、男性が結果を問われない環境で好きなことを自由にできる場所だ」と説明している[65]。

 選択の余地のないこと(Choicelessness)は、ホームレス、貧困、そして売買春を結びつける。売買春は、お金を払わないかぎりセックスに同意しない相手に対して起こる[66]。自暴自棄になっている人々が悲惨な被害に同意することを理解した上で、国連国際組織犯罪防止条約を補足する2000年の「人身取引、とくに女性及び児童の取引を防止、抑止及び処罰するための議定書」(パレルモ議定書)は、人身売買が発生したかどうかに同意は関係ないと指摘している[67]。売買春への「同意」と同様に、気候変動による生命を脅かす結果から逃れるために移住する「同意」も、生存のための実行可能な代替手段にアクセスできないという点で、本当の選択とは考えられない。重要な問題は、「彼女は売買春に同意したのか」や「移住に同意したのか」ではなく、「彼女は売買春や移住をしなくても生存できる代替手段を提供されたのか」である。

 パレルモ議定書、CEDAW、世界人権宣言、奴隷禁止条約は、売買春、貧困、気候変動の関連性を理解するのに適している

 女性差別撤廃条約(CEDAW)は1979年に国連で採択された。CEDAWの勧告の中には、売買春や女性に対する他の形態の暴力を取り上げたものが数多くある[68]。CEDAW委員会は、その一般勧告第19号において、女性が男性に従属している、ないしステレオタイプ化された役割を持っているとみなす伝統的な価値観には、「女性を性的対象として商業的に利用・搾取すること」も含まれており、「それがジェンダーに基づく暴力の一因となる」と警告している。したがって、締約国は「女性の売買春の搾取」を抑制するための措置をとることが求められている。CEDAW一般勧告第19号は、「貧困および失業は、若い女性を含む多くの女性に売春を余儀なくさせる」ことをとくに指摘している[69]。

 米国のバーバラ・リー下院議員も、気候変動が女性を売買春に追い込む根本的な要因の一つであることを認識している。リー議員の起草した下院決議は、気候変動の結果、貧しい女性が生きていくために売買春をする危険性があることを、次のように指摘している。

「社会経済的資源が限られている食糧不安のある女性は、セックスワーク、取引上のセックス、早婚などの状況に陥りやすく、HIV、性感染症、予定外の妊娠、リプロダクティブ・ヘルスの低下などのリスクにさらされる可能性がある。」[70]

 CEDAWは、売買春、貧困、気候変動をますます関連づけるようになっている。一般勧告第37号は、災害リスク軽減と気候変動に適用されるCEDAWの一般原則を検討し、とくに売買春の中の女性が最も周縁化された女性と少女のグループに含まれることを指摘した[71]。CEDAW は、売買春の中の女性や人身売買されている女性が、気候変動の結果としてますます頻繁になっている災害時にとくに搾取されやすいことを言明している。「ドメスティック・バイオレンス、早婚ないし強制結婚、人身売買、強制売春は、災害時に、およびそれに続く時期に発生しやすい」[72]。強制売春は性的人身売買である。売買春の中にいる成人女性の80%以上がピンプの支配下にあり、これは人身売買業者の支配下にいることと同じである[73]。強制売春と性的人身売買はピンプ行為〔支配下にある女性に売春させてその利益を搾取する行為〕である。ピンプや人身売買は、身体的支配、身体的脅迫、精神的支配、精神的脅迫、大切な人〔親や兄弟など〕への脅迫など、あらゆる手段で女性を自分の支配下に置き、儲けのために女性を性的に売る凶悪な犯罪者である。

 ピンプに支配された売買春の人権侵害は、奴隷制の人権侵害と類似している。奴隷制とほとんどの売買春の特徴は、奴隷化された人や買春された人が、奴隷購入者や奴隷販売者、買春者、ピンプ/人身売買者のいずれであっても、他の人の支配と恣意的な意思に服するということである[74]。奴隷制の特徴は、移動の支配、物理的環境の支配、心理的支配、逃亡を防止または抑止するための措置、力の行使、暴力の脅しや強要、排他的支配、残酷な扱いや虐待を受けること、セクシュアリティの支配、および強制労働である[75]。これらの特徴のすべてが、ピンプ管理下の売買春にもあてはまる。ピンプに支配された売買春は、1927年に締結された英国の奴隷禁止条約に違反している。奴隷とは、「所有権に付随する権力の一部ないし全部が行使されている者の地位または状態」と定義されている[76]。オーストラリアの刑法第 270条1 項でも、奴隷制を「所有権に付随する権力の一部ないし全部が行使されている人の状態(そのような状態がその人の行なった債務または契約に起因する場合を含む)」と定義している[77]。

 生存のための代替手段がないことは、奴隷制と売買春の両方にとって重要な要素であり、被害者が、強制されている方法で奉仕する以外に有効な代替手段がないと考えるとき、奴隷化されているとみなすことができる[78]。アメリカ合衆国憲法の修正第13条は、奴隷制を「法的または物理的な力を行使または脅迫して奉仕を確保することであり、一人の人間が他の人間に対して実質的に無制限の権限を持っている……明らかに個人的な奉仕」と定義している[79]。修正第13条に記されている強制の諸要素は売買春にも存在し、たとえば、食事・睡眠・お金を奪われること、殴られること、レイプされること、拷問されること、死の脅しを受けることなどが挙げられる[80]。フロリダ州の法律は、買春者やピンプが売買春をしている女性に与えた損害に対する民事上の救済措置を提供しており、売買春に適用されるうる修正第13条の要件に当てはまる「弱い立場」に当たるものとして、認知障害、貧困、不法滞在、現地の支配的言語を話せないことなどを具体的に明示している[81]。

 米国の奴隷所有者は、奴隷化された人々を商品化しただけでなく、アフリカ人に非人間的特徴を帰属させ、彼らを所有物として扱うことを合理化した。人種差別と植民地主義が、奴隷となったアフリカ人の客体化と非人間化を促進したが、これは性差別と人種差別が売買春の中の女性の客体化、非人間化、フェティシズムを促進するのと同じである[82]。カナダで19年間買春されていた女性は次のように述べている。「30分、20分、1時間の間、彼らはあなたを所有している。あなたを買っているのだ。彼らには何の愛情もない。あなたは人間ではない。使用するための物にすぎない」[83]。売買春における身体的暴行、レイプ、死亡のリスクが不合理なまでに高いことは、国連の世界人権宣言の第3条に記載されているように、明らかに生命を脅かすものである[84]。

 売買春の中の女性は、これまでに調査されたどの女性グループよりも高い割合で殺害されている[85]。カナダの委員会は、売買春の中の女性の死亡率は、一般の人々の死亡率の40倍であることを明らかにした[86]。売買春に関するカナダの別の研究では、殺人未遂の発生率が36%と報告されている[87]。米国の研究では、売買春をしている女性の殺人率は、一般住民の約18倍であった[88]。別の研究では、1982年から2000年までの米国における女性の殺人被害者のうち、2.7%が売買春の中の女性であった[89]。女性被買春者の殺人死亡率(10万人あたり204人)は、リスクが高いとされる男性タクシー運転手の殺人率(10万人あたり29人)よりもはるかに高い[90]。イギリスで路上売春をしている女性の殺人事件を調査したところ、売買春をしていない女性に比べて60~100倍の確率で殺害されていた[91]。女性の中には、新型コロナを、常に存在する売買春の暴力よりも危険度が低いとする人もいた。フロリダで売春をしている女性は、「『連続強姦魔や殺人者』についてはいつも心配しているが、ウイルスに感染することについてはそれほど心配していない」と述べている[92]。

 身体的な攻撃を受ける可能性は、被買春女性の身体的安全に対する権利を侵害している。「それはドメスティック・バイオレンスを極端にしたようなものだ」とサバイバーは説明している[93]。ある職業調査によると、売買春の中の女性の99%が暴力被害者であり、「鉱業、林業、消防など、最も危険だと考えられている職業の労働者よりも」頻繁に怪我をしていた[94]。1000件以上の研究を検討した結果、研究者たちは、売買春における単純暴力ないし複合的暴力の被害率は45%から75%であることを発見した[95]。スコットランドで売買春の中の女性を対象にした調査では、6ヶ月間に売買春の中の女性の50%が何らかの暴力(たとえば、殴られたり、蹴られたり、レイプ未遂など)を経験していることがわかった[96]。サンフランシスコの売買春では、70%の女性がレイプに遭っている[97]。ミネソタ州の被買春女性の85%が買春中にレイプされたことがある[98]。9カ国(カナダ、コロンビア、ドイツ、メキシコ、南アフリカ、タイ、トルコ、米国、ザンビア)で売買春の中の人々854人を調査した研究では、71%が売春中に身体的暴行を受けた経験があり、62%が売春中にレイプされた経験があった[99]。ある被買春女性は、「他人にとってのレイプは、私たちにとっては日常だ」と説明している[100]。

 レイプの発生率が極めて高いことから、売買春は、レイプや売買春から自由であるという女性の権利を主張する人権条約の違反として問われることがある。レイプは、国際刑事裁判所によって「人道に対する罪」に指定されている[101]。女性に対する暴力撤廃に関する国連宣言の第2b条は、「女性に対する暴力」を、「一般社会において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、職場、教育施設およびその他の場所における強姦、性的虐待、セクシュアルハラスメントおよび脅迫、女性の売買および強制売春を含む」としている[102]。売買春は、女性に対する暴力やドメスティック・バイオレンスの制度的慣行を取り締まる欧州評議会の人権条約である「イスタンブール条約」にも違反している[103]。イスタンブール条約の第6条は、性行為に対する積極的な同意の必要性を指摘し、「同意は、周囲の状況に照らして評価される人の自由意志の結果として、自発的に与えられなければならない」と宣言している。売買春の同意が推定される状況には、通常、貧困、ピンプ/人身売買業者の存在、代替手段の不在などが含まれる[104]。

 性売買の中の女性たちの生活は、1966年の社会権規約の第12条に明記されている「到達可能な最高水準の身体的および精神的健康を享受する」権利を日々侵害されている[105]。売買春では、女性とそのセクシュアリティに対する感情的な攻撃が圧倒的である。サバイバーは、売買春について、自分が男性の自慰行為のための物にされる過程であると述べている。そして、その受け皿とされる女性には大きな精神的ダメージが与えられる[106]。時間が経つにつれ、売買春の絶え間ない屈辱と堕落は、お金と引き換えに性行為をさせられている人々の自己嫌悪の深い内的感覚をもたらす。これらの弊害は、売買春から離脱した後になって初めて明らかになる場合もあれば、長期間経ってから明らかになる場合もある。

 人種差別的で性差別的なヘイトスピーチ、死の脅し、身体的暴行、レイプは、売買春の中にいる女性のメンタルヘルスに深刻な影響を与えている。そこには、不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、解離性障害、摂食障害、自殺未遂や自殺、アルコールや薬物の乱用などが含まれる。複数の国々での調査では、売買春の中にいる人々の3分の2がPTSDの診断基準を満たしていた[107]。この有病率は、シェルターを求めている虐待された女性[108]や治療を求めているレイプサバイバーに匹敵するものであった[109]。売買春によって生じるPTSDの症状は、国家主導の拷問を受けたサバイバーが受ける症状と同レベルである[110]。

 売買春下で女性が受ける拷問についても、多くの証言がある[111]。売買春の中の女性たちに対してよく行なわれる具体的な行為は、強制的に裸にすること、性的な嘲笑、レイプ、言葉によるセクシュアルハラスメント、身体的なセクシュアルハラスメント、基本的な衛生上の措置を許さないなど、拷問を定義する諸行為と同じである。ピンプが行なう心理的、性的、物理的な強制のほとんどは、拷問の法的定義を満たしている[112]。拷問禁止条約は、売買春におけるさまざまな人権侵害に適用可能である。国連の拷問禁止条約は、肉体的であるか精神的であるかを問わず、激しい痛みや苦しみを、本人を罰する、本人や第三者を威嚇する、強制するなどの目的で、あるいはあらゆる種類の差別に基づく理由で、意図的に人に与える行為と定義している[113]。米国のある少女は、ピンプの拷問方法についてこう述べている。

「ピンプが私たちを拷問すると言うときに私が目にしたのは、犬の檻に入れられた女の子、水責めにされた女の子、裸にされて雨や寒い外に置かれ、一晩中そこに立っていなければならない女の子、動けば殴られる女の子です。車に轢かれたり、スタンガンで気絶させられたり……焼かれたり、首を絞められたりする少女たちも見てきました。」[114]

 売買春における拷問を社会的に許容し、その存在を否認することは、世界人権宣言に記載されている「残酷な、非人間的な、または品位を傷つけるような扱い」を避けるという人権基準に違反している[115]。

 デジタル時代において人権に関する情報を得る権利

 デジタル時代において、資源採掘、気候変動、売買春、人権に関する事実や証拠などの情報へのアクセスは、今や人権として認識されている。

 「環境と開発に関するリオ宣言」(第10原則)では、環境正義(環境的公正)に関する意思決定に参加するための手続き上の権利が規定されている。通常、人権侵害の認識は保護の要求に先行するため、正確な情報は人権を主張する上で不可欠である[116]。気候科学や売買春の被害に関する不正確で意図的に誤解を招くような情報は、人々を混乱させている[117]。たとえば、「気候変動に関する政府間パネル」(1990年)は、リスクに関する初期の報告書を作成した。石油会社のエクソンは、1968年という早い時期にこのような深刻な気候変動のリスクを認識していたが[118]、エクソンをはじめとする大手石油会社のロビイストたちは、資源採掘が途切れることなく続けられるように、気候温暖化に対する疑念を抱かせる目的で、「世界気候連合」という偽りの名前の連合体を作った。それと同じく、オープンソサエティ財団(OSF)は、合法的な売買春を提唱し、売買春(「セックス部門」)を各国の雇用市場に統合する取り組みを支援している[119]。オープンソサエティ財団は、大手石油会社の気候変動否定運動によく似た機能を持つキャンペーンを展開している。ジャーナリストのクリス・ヘッジスが「ミソジニーの勝利」と評したように、オープンソサエティ財団から資金提供を受けているアムネスティ・インターナショナルは、男性が性を買ったり、女性売春をさせて金を儲ける権利を求めるキャンペーンを成功させた[120]。

 気候の正義運動の中で、フラッキング〔シェールガスを含んだ岩盤を、砂利を含んだ高圧の水で破砕する方法で、地盤を弱め、きわめて環境に有害であることがわかっている〕の即時禁止を要求する人々と、環境破壊を軽減するために石油採掘企業と妥協するべきだと主張する人々の間には意見の不一致があるが、同様の意見の相違は、売買春に対する被害軽減ないし規制主義的アプローチ〔売買春を合法化した上で、営業場所や時間帯などを規制し、性病検査などをするやり方〕を支持する人々と、被害根絶ないし廃止主義的な(アボリショニスト)アプローチを支持する人々の間にも存在する。一部の人々は、被害軽減で十分であり、被害の根絶は必要ないと主張する。採掘産業の諸企業は、シェールガスを採掘するフラッキングや石油の深海掘削は「規制すれば」安全になると主張する。流出事故が相次いでいるにもかかわらず、彼らはパイプを修理すればいいと断言している。売買春被害否定論者や性産業擁護者も、売買春は「合法化して規制すれば」安全にできると主張する。しかし、このような主張を裏づける証拠はほとんどなく、逆にそれとは反対の証拠がたくさんある(この点につき、補論Aを参照)。

 売買春と人身売買とが重なり合っていることについては、混乱が生じている。すべての売買春を「人身売買」の傘の下に置く人もいれば、すべての人身売買を「売買春」の傘の下に置く人もいる。どちらの視点も完全には正確ではない。問題を複雑にしているのは、人身売買の定義がいくらか不明瞭であるという事実である。たとえば、ウルフ・ロスラーとその同僚たちは、スイスの調査サンプルの中で「直接的にセックスワークを強制された」人はほとんどいないと述べつつも、続けて、合法的な売買春の中にいる女性たちの中で、移住先での仕事の性質について騙されたり、借金による束縛を受けたりしている女性が存在していると述べている[121]。詐欺、欺瞞、債務の束縛は、ほとんどの法的な人身売買の定義に含まれている。

 人身売買は、あらゆる形態の売買春において蔓延している。現実の世界では、売買春と人身売買を切り離すことは不可能であることを指摘した上で、国連の「人身売買の犠牲者の人権的側面、とくに女性と子ども」に関する特別報告者は、現実の売買春は「通常、人身売買の定義の法的諸要素を満たしている」と述べている[122]。その証拠に、合法的な売買春は、性的人身売買の拡大をもたらしている。経済学者のチョー、ドレハー、ノイメイヤーは、150ヵ国を調査した結果、売買春が合法であることで人身売買が増加することを発見した[123]。合法的な売買春と人身売買の間に同様の重なり(オーバーラップ)が見られることが、欧州連合[124]と米国[125]においても報告されている。

 結論

 各々の人権は相互に依存しあっている。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師は、人種的正義と気候的正義の関連性を指摘し、「差別のないランチカウンターでミルクを飲むのはとてもいいことだが、その中にストロンチウム90が入っていたらそうはいかない」と手厳しいコメントを残している[126]。資源採掘、貧困、売買春の関連性を認識することで、これらの被害を軽減するための人権法や条約の適用を促進することができる。資源採掘プロジェクトのサバイバー、気候変動による難民、被買春女性が同じ人々である場合も多々あり、本稿で述べてきた人権条約を実施することで、これらの人々へのさらなる被害を防ぐことができる。

 北京宣言行動綱領は、女性の人権に関する包括的な世界的政策の枠組みである。北京綱領では、以下のような適切な措置をとることが推奨されている。「…売買春やその他の形態の商業的性行為、強制結婚、強制労働を目的とした女性や少女の人身売買を助長する外的要因を含む根本的要因に対処すること」[127]。このような根本的な要因に対処するための解決策は、食料、シェルター、医療(メンタルの医療とピアサポートを含む)、住居、職業訓練の提供を通じて、女性が売買春を回避ないし離脱することができるようにするプログラムである。気候変動の影響を受ける難民は、生存のために同様のプログラムを必要としている。さらに、すべての人間に生存に必要なものが提供されれば、売買春の廃止を含め、地上における経済的、人種的、性的不平等を是正することを開始することができるだろう。

 貧困か売買春かという強制的な選択が、女性の唯一の選択肢であってはならないし、貧困か公害かという強制的な選択が、政府の唯一の選択肢であってはならない。脱炭素社会への移行期において、そして売買春廃止への移行期においては、富の再分配が重要である。経済は、あらゆる人々と自然のあらゆる部分が商品化されるような捕食的な植民地拡大の状況から転換できるし、転換しなければならない。これは、ジェフリー・サックスが言うように可能である。

「[2019年の]世界所得は90兆ドルで、一人当たり1万1000ドル以上になる。しかし、いまだに約10億人の人々が絶望的な貧困に苦しんでいる。富裕国の所得のわずか1%、年間およそ5000億ドルを貧困国に移転するだけで、極度の貧困を解消することができる。」[128]

 気候学者たちはますます、フェミニズムの観点を複合的な不正義に適用するようになっている。ファーハナ・スルタナは、気候危機、経済不況、農村から都市への移住、パンデミックなど、すべてが既存の家父長的、階級的、人種的な暴力を悪化させていると述べている[129]。性的搾取ビジネス(売買春、ポルノ、人身売買)と資源採掘ビジネス(天然ガスの採掘、伐採、漁業、鉱業)は、最も深いレベルでつながっている。人類学者のペギー・サンデーは、地球と女性がどのように扱われているかを示すために、156の強姦のない文化と強姦の多い文化とを比較したが、女性がレイプされていないコミュニティでは、土地の搾取や破壊が見られなかった。また、環境が悪化しているところでは、性的暴力も高いレベルで起こっていた[130]。サンデーの調査結果は、コミュニティの価値観、アイデンティティ、文化的知識、愛情、地球との関係などを反映した「無形文化遺産」を示しているのかもしれない[131]。

 先住民の分析は、これらのつながりに関する精神的、文化的、政治的、経済的な意識を統合している。「彼ら〔欧米の征服者たち〕は女性を扱うように母なる大地を扱っている」と、全米先住民女性資料センターのホワイトアース居留地オジブウェ族プログラム・スペシャリスト、リサ・ブルナーは言う。

「彼らは、私たちを所有できる、買える、売れる、取引できる、借りられる、毒する、レイプできる、破壊できる、娯楽に使える、殺せると思っている。母なる大地に対して起きている暴力のレベルについて、私たちが話し合っているのを見て嬉しく思う。母なる大地に起こることは、私たちにも起こるのだから。」[132]

 2021年、ミクマク族のおばあさんたちは、液化ガスをカナダ全土からヨーロッパへと運搬する港まで運ぶパイプラインの建設に抵抗した。彼らはパイプラインにおる環境被害にも、そして女性に対する暴力の増大にむすびついた「マンキャンプ」にも抵抗したのだ。パイプラインのせいで、人々は「自分たちの水や土地、母親や姉妹、娘のために泣いている」とおばあさんたちは語った[133]。このような複合的な人権侵害に対する継続的な抵抗が必要なのだ。

補論A 売買春の合法化ないし非犯罪化の諸結果

 期待に反して、オランダ、ドイツ、ニュージーランドにおける売春の非犯罪化ないし合法化は、売春をより安全にするものではなかった[134]。売春が合法化されている国では、売春をしている女性の80%が強要されたり、人身売買されたりしている[135]。たとえば、オランダのアムステルダムでは売買春の合法化後、組織犯罪が制御不能なまでにはびこり、売買春の中の女性たちにとっては、売春が違法だったときよりも安全ではなくなった[136]。合法的な売買春は、オランダ国民が期待していたような犯罪の減少にはつながらなかったとアムステルダム市長のジョブ・コーエンは説明している。「組織犯罪による悪用の余地がなくて、女性のための安全でコントロール可能な赤線地帯を作ることは不可能だった」[137]。合法的な売春に関する2007年のオランダ政府の報告書によると、ピンプは依然として「普遍的な現象」であるという。「ピンプを伴った売春婦の数が減少していないことは懸念材料である」[138]。

 ドイツの合法的売買春の中にいる女性たちの95%は、組織的な犯罪グループのメンバーであるピンプに支配されていた[139]。ドイツ政府の報告書は、「売春は、生活を確保するための合理的な手段と考えるべきではない」と結論づけ、売春を合法化した2002年の売買春法は、売買春の中の女性たちの状態を改善しておらず、犯罪を減らしておらず、女性に売春から逃れる手段を提供していないことを明らかにした[140]。また、本文でも触れたように、150ヵ国を調べた結果として、人身売買の増大は、売買春の合法化と結びついていることがわかっている[141]。

 ニュージーランドで売春が非犯罪化されてから5年後の2008年、その法律に関する政府の報告書は、暴力と性的虐待が以前と同様に続いていることを明らかにした[142]。非犯罪化後、「セックスワーカーの大多数は、発生した暴力に対して法律ではほとんど何もできないと感じており」、それは性売買の必然的な要素であるとした[143]。非犯罪化後にインタビューを受けた女性の3分の1以上が、強要されたことがあると答えている[144]。ニュージーランドでは、ピンプに支配されている、あるいは「管理されている」セックスワーカーが、買春者による強要の割合が最も高いと報告されている。ドイツやオランダと同様に、ニュージーランドでも売春の社会的スティグマは非犯罪化後も続いている。

 医学的な被害軽減アプローチは、売春を合法化ないし非犯罪化しようとする法律上の被害軽減アプローチに影響を与えている[145]。コンドームの配布やピアサポートなどの被害軽減プログラムは、悪いことではない。一定の被害軽減策は何もしないよりもましである。しかし、できることとできないことがある。誰かがまだ売買春の中にとどまっているのに、どうやって性的搾取、レイプ、そしてその他の被害を止めることができるだろうか? 答えは、「そんなことはできない」だ。売買春はそもそも性的搾取のビジネスである。売買春の中にいる女性たちは、多くの男性から性的に搾取されているため、HIVのリスクが有意に高くなっている[146]。また頻繁なレイプは、女性の性感染症やHIVのリスクをいっそう高める[147]。売春店に1ヶ月とどまるごとに、HIVのリスクが3~4%ずつ増加することがシルヴァーマンらによって指摘されている[148]。

 売買春合法化論者たちは、売買春に対する唯一のアプローチが被害軽減であって、被害根絶は選択肢に入らない、売買春は不快だが不可避であると想定している。「合法化されれば、少なくとも少しは良くなるのではないか」と彼らは言う。「スティグマが減り、売春婦が何らかの形で保護されるのではないか」と。ニュージーランドの当時のヘレン・クラーク首相は、売買春は「嫌悪すべきもの」と述べたが、同時に売買春の被害を軽減する方法として売買春の非犯罪化法を支持した[149]。しかし、ニュージーランドにおける売買春の非犯罪化(合法売買春の一形態)は、ピンプによる強制的な支配を減少させず、売春のスティグマを減らさず、警察への犯罪通報を増加させはしなかった[150]。合法的な売買春の推進者は、売春の社会的スティグマを減らすことに焦点を当てている。たしかに、買春された人々に対する有害な偏見は存在するものの、セクシャルハラスメント、性的虐待、買春者による暴行やレイプ、ピンプによる操作や支配など、売買春の他の被害を無視することは問題である。スティグマが唯一の害悪として取り上げられる場合、売春を労働の一形態として促進するために、より深刻な被害を曖昧にし、より深刻でない被害に焦点を当てることが目的となっているようだ。セックスワーク論者の中には、自分自身が他の人の性売買から利益を得ているのに、その事実に言及しない人もいる。性売買推進者を名乗る者の中には、れっきとしたピンプもいるのだ[151]。

 非犯罪化ないし合法化された売買春は、買春されている個人を非犯罪化するだけでなく(これは望ましいことだ)、ピンプや業者をも非犯罪化する。他方、売買春に関する人権的・アボリショニスト的・被害根絶的な立法は3つのポイントによって構成されているが、それらは被害を軽減する上でも著しく効果的であることが証明されている 。(1)離脱サービスを求める人にそれを提供すること、(2)買春されている人だけを非犯罪化すること、(3)買春者とピンプ・業者を犯罪化すること。

 売買春に関するアボリショニスト的な立法は、すでに8つの国で採用されている。スウェーデン(1999年)、アイスランド(2008年)、ノルウェー(2009年)、カナダ(2014年)、北アイルランド(2015年)、フランス(2016年)、アイルランド共和国(2017年)、そしてイスラエル(2018年)だ。スウェーデンの法律は、EUで最も低い人身売買率を実現している[152]。売買春が人権侵害であり、構造的暴力であると理解されるなら、このアボリショニスト的な法的アプローチこそが理にかなったものであることがわかるだろう。

本文の原注

[1] 売買春とは、性行為を売買すること、または性行為を食料、住居、薬物、現金、その他の価値あるものと交換することである。人身売買とは、他者を斡旋したり、第三者の支配下に置くことである。女性とは人間の成人の雌(human adult female)のことである。セックスとジェンダーの違いについては以下を参照。Sara Dahlen, ‘De-sexing the Medical Record? An Examination of Sex Versus Gender Identity in the General Medical Council’s Trans Healthcare Ethical Advice’, The New Bioethics 26, no. 1 (2020): 38-52; Emma Hilton, Pam Thompson, Colin Wright, and David Curtis, ‘The Reality of Sex’, Irish Journal of Medical Science (1971-2021): 1-1; Angus Stevenson, ed., Oxford dictionary of English (Oxford University Press, USA, 2010); Alice Sullivan, ‘Sex and the Census: Why Surveys Should Not Conflate Sex and Gender Identity’, International Journal of Social Research Methodology 23, no. 5 (2020): 517-24. 本稿では、売買春の中のあらゆる成人を含めて「売買春の中の女性(women in prostitution)」という言葉を使っているが、それは単に売買春の中にいる人々の大部分が女性だからだ。

[2] 森田成也氏の最新の著作は、『マルクス主義、フェミニズム、セックスワーク論』(慶応大学出版、2021年)である。〔以下に序文の英訳。https://appinternational.org/2021/04/23/introduction_to_marxism_feminism_and_sex_work/

[3] Jon L. Anderson, ‘Blood Gold in the Brazilian Rain Forest’, New Yorker, November 11, 2019, https://www.newyorker.com/magazine/2019/11/11/blood-gold-in-the-brazilian-rain-forest; Bnamericas, ‘Colombia Seeking to Spur Coltan Mining’, December 20, 2016, https://www. bnamericas.com/en/news/mining/colombia-seeking-to-spur-coltan-mining/; Corbin Hiar, ‘Colombia Vows to Clean Up Coltan Mining’, International Consortium of Investigative Journalists, March 15, 2012, https://www.icij.org/investigations/coltan/colombia-vowsclean-coltan-mining/; David Stuckler, Sarah Steele, Mark Lurie, and Sanjay Basu, ‘Introduction: “Dying for Gold”: The Effects of Mineral Mining on HIV, Tuberculosis, Silicosis, and Occupational Diseases in Southern Africa’, International Journal of Health Services 43, no. 4 (2013): 639–49.

[4] ダコタ・アクセス・パイプラインは、エナジー・トランスファー・パートナーズ(Energy Transfer Partners)社が管理し、石油会社フィリップス66社やセンブリッジ社、マラソン石油などの関連会社が少数の権益を保有している。このパイプラインの建設には、スタンディングロック・スー族をはじめとする多くの人々が抵抗している。

[5] Rick Ruddell, Dheeshana S. Jayasundara, Roni Mayzer, and T. Heitkamp, ‘Drilling Down: An Examination of the Boom-Crime Relationship in Resource-Based Boom Counties’, Actual Problems of Economics & Law (2017): 208.

[6] First Peoples Worldwide, New Report Finds Increase of Violence Coincides with Oil Boom (University of Colorado, March 14, 2019), https://www.colorado.edu/program/fpw/2019/ 03/14/new-report-finds-increase-violence-coincides-oil-boom; Jessica Corbett, ‘Over 75 Indigenous Women Urge Biden to Stop Climate-Wrecking Pipelines and Respect Treaty Rights’, Common Dreams, January 14, 2021, https://www.commondreams.org/news/2021/ 01/14/over-75-indigenous-women-urge-biden-stop-climate-wrecking-pipelines-and-respect; Brooks Johnson, ‘Is Sex Trafficking “Inevitable” along Enbridge Pipeline Route?’ Minneapolis Star-Tribune, 2021, January 8, https://www.startribune.com/is-sex-trafficking-inevitablealong-enbridge-pipeline-route/600008236/.

[7] Olubayo Oluduro and Ebenezer Durojaye, ‘The Implications of Oil Pollution for the Enjoyment of Sexual and Reproductive Rights of Women in Niger Delta Area of Nigeria’, The International Journal of Human Rights 17, no. 7–8 (2013): 772–95.

[8] RT Films, Congo My Precious: The Curse of the ‘Conflict Minerals’ in the Congo, 2017, https://www.youtube.com/watch?v=dTwzCy0-RTw.

[9] 2019年のダルカ・モーガンとの個人的対話による。

[10] Lisa M. Poupart, ‘The Familiar Face of Genocide: Internalized Oppression among American Indians’, Hypatia 18, no. 2 (2003): 86–100; Stella Pretty Sounding Flute, Honor the Grandmothers: Dakota and Lakota Women Tell their Stories, ed. Sarah Penman (Minnesota Historical Society Press, 2000), 47–76; Andrea Smith, Conquest: Sexual Violence and American Indian Genocide (Duke University Press, 2015); Andrea Smith, ‘Not an Indian Tradition: The Sexual Colonization of Native Peoples’, Hypatia 18, no. 2 (2003): 70–85.

[11] John Vidal, ‘Zambian Villagers Take Mining Giant Vedanta to Court in UK Over Toxic Leaks’, The Guardian, 2015, http://www.theguardian.com/global-development/2015/aug/ 01/vedanta-zambia-copper-mining-toxic-leaks.

[12] Deborah Potts, ‘Urban Economies, Urban Livelihoods and Natural Resource-Based Economic Growth in Sub-Saharan Africa: The Constraints of a Liberalized World Economy’, Local Economy 28, no. 2 (2013): 170–87.

[13] Whitney Mulobelaj, ‘Prostitution “Easiest Way Out” for Zambia’s Farmers’, Reuters, September 7, 2016, https://www.reuters.com/article/us-zambia-climatechange-prostitutionidUSKCN11D0S4.

[14] 1996年2月17日におけるザンビアのルサカでの匿名の売春女性との筆者のインタビュー。

[15] Joeri Rogelj, Drew Shindell, Kejun Jiang, Solomone Fifita, Piers Forster, Veronika Ginzburg, Collins Handa et al., ‘Mitigation Pathways Compatible with 1.5 C in the Context of Sustainable Development’, In Global warming of 1.5°C, (2018), 93–174. Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) , https://www.ipcc.ch/sr15/.

[16] Nina Lakhani, Who Killed Berta Caceres?: Dams, Death Squads, and an Indigenous Defenders Battle for the Planet (Verso, 2020).

[17] Sara Hughes, ‘Flint, Michigan, and the Politics of Safe Drinking Water in the United States’, Perspectives on Politics (2020): 1–14.

[18] A. Swarup, I.E.M. Dankelman, K. Ahluwalia, and K. Hawrylysgym, ‘Weathering the Storm: Adolescent Girls and Climate Change’, 2011, http://www.ungei.org/files/weatherTheStorm. pdf; M. Williams, ‘Integrating a Gender Perspective in Climate Change, Development Policy and the UNFCCC’, South Centre Climate Policy Brief 12 (2013): 1–8.

[19] Catch News, ‘Women Forced into Sex Trade in Drought-Hit Andra Pradesh’, February 17, 2017, http://www.catchnews.com/social-sector/women-forced-into-sex-trade-in-droughthit-andra-pradesh-1464072481.html.

[20] C. O’Brien, ‘An Analysis of Global Sex Trafficking’, Indiana Journal of Political Science 11 (2008): 719.

[21] Margaux J. Hall and David C. Weiss, ‘Avoiding Adaptation Apartheid: Climate Change Adaptation and Human Rights Law’, Yale Journal of International Law 37 (2012): 309.

[22] Francesco Bassetti, ‘Environmental Migrants: Up to 1 Billion by 2050’, Foresight, 2019, https://www.climateforesight.eu/migrations/environmental-migrants-up-to-1-billion-by2050/.

[23] Simon Caney, ‘Human Rights, Climate Change, and Discounting’, Environmental Politics 17, no. 4 (2008): 536–55; Simon Caney, ‘Climate Change, Human Rights, and Moral Thresholds’, Climate Ethics: Essential Readings (2010): 163–77; John H. Knox, ‘Climate Change and Human Rights Law’, Virginia Journal of International Law 50 (2009–2010): 163–99; Svitlana Kravchenko, ‘Right to Carbon or Right to Life: Human Rights Approaches to Climate Change’, Vermont Journal of Environmental Law 9 (2007): 513; Mary Robinson, ‘Climate Change Is an Issue of Human Rights’, The Independent 10 (2008).

[24] United Nations Human Rights and Climate Change Working Group 2009–2016, http:// climaterights.org/our-work/un-human-rights-council/.

[25] Ibid.

[26] United Nations, Universal Declaration of Human Rights, 1948, https://www.un.org/en/ universal-declaration-human-rights/.

[27] Barry S. Levy and Jonathan A. Patz, ‘Climate Change, Human Rights, and Social Justice’, Annals of Global Health 81, no. 3 (2015): 310–22.

[28] Office of the High Commissioner on Human Rights, Submission of United States to OHCHR Report, Observations by the United States of America on the Relationship Between Climate Change and Human Rights (United Nations, 2008), https://www.ohchr.org/Documents/ Issues/ClimateChange/Submissions/USA.pdf.

[29] Sumudu Atapattu, ‘The Right to a Healthy Life or the Right to Die Polluted?: The Emergence of a Human Right to a Healthy Environment under International Law’, Tulane Environmental Law Journal (2002): 65–126.

[30] United Nations Conference on the Human Environment (Stockholm Declaration) (1972) Declaration of the United Nations Conference on the Human Environment, Preamble. U.N. Doc. A/CONF.48/14.

[31] Jonathan A. Patz, Howard Frumkin, Tracey Holloway, Daniel J. Vimont, and AndrewHaines, ‘Climate Change: Challenges and Opportunities for Global Health’, Journal of the American Medical Association 312, no. 15 (2014): 1565–80.

[32] Simon Caney, ‘Climate Change, Human Rights, and Moral Thresholds’, Climate Ethics: Essential Readings (2010): 163–77.

[33] Asbjørn Eide, ‘The Human Right to Adequate Food and Freedom from Hunger’, FAO (1998). The Right to Food in Theory and Practice. Rome: Food and Agriculture Organization of the United Nations (1998), 1–5. アイデは1948年の世界人権宣言と1966年の社会権規約について論じている。

[34] Manisuli Ssenyonjo, ‘Reflections on State Obligations with Respect to Economic, Social and Cultural Rights in International Human Rights Law’, The International Journal of Human Rights 15, no. 6 (2011): 969–1012.

[35] Jon Barnett, ‘Human Rights and Vulnerability to Climate Change’, Human Rights and Climate Change (2010/2012): 257–71; Margaux J. Hall and David C. Weiss, ‘Avoiding Adaptation Apartheid: Climate Change Adaptation and Human Rights Law’, Yale Journal of International Law 37 (2012): 309.

[36] United Nations Development Programme, Human Development Report, Fighting Climate Change: Human Solidarity in a Divided World 4748, 2007/2008, http://hdr.undp.org/en/ medialHDR20072008ENCxyzomplete.pdf.

[37] C. Tolan, ‘High Ground, High Prices, How Climate Change Is Speeding Gentrification in Some of America’s Most Flooding-Vulnerable Cities’, CNN.com, March 3, 2021, https:// www.cnn.com/interactive/2021/03/us/climate-gentrification-cnnphotos-invs/.

[38] Margaret J. Radin and Madhavi Sunder, ‘The Subject and Object of Commodification’, Rethinking Commodification: Cases and Readings in Law and Culture. Vol. 52, eds. Martha Ertman, and Joan C. Williams (NYU Press, 2005), 12.

[39] Ine Vanwesenbeeck, ProstitutesWell-Being and Risk (VU University Press, 1994).

[40] Yannis Ktistakis, ‘Protecting Migrants under the European Convention on Human Rights and the European Social Charter’, A Handbook for Legal Practitioners (2013), 47.

[41] Ibid.

[42] Chandra Kant Jha and Jeanne Madison, ‘Antecedent and Sequalae Issues of Nepalese Women Trafficked into Prostitution’, Journal of International Womens Studies 12, no. 1 (2011): 79–90; Meena Poudel, ‘Poverty, Prostitution and Women’, World Health 47, no. 6 (1994): 10–11; Jody Raphael, Listening to Olivia: Violence, Poverty, and Prostitution (Northeastern University Press, 2015).

[43] Narasimha D. Rao and Jihoon Min, ‘Decent Living Standards: Material Prerequisites for Human Wellbeing’, Social Indicators Research 138, no. 1 (2018): 225–44.

[44] Audrey R. Chapman, ‘A Violations Approach for Monitoring the International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights’, Human Rights Quarterly 18 (1996): 23.

[45] Gena Steffens, ‘Changing Climate Forces Desperate Guatemalans to Migrate’, National Geographic (2018).

[46] Jane McAdam, ‘The Enduring Relevance of the 1951 Refugee Convention’, International Journal of Refugee Law (2017): 1–9. ちなみに、1951年の時点でほとんどの人は気候変動が生存にとっての脅威であるとは理解していなかった。

[47] J. Johnson, ‘Epic Failure of Humanity: Global Displaced Population Hits All-time High’, Common Dreams, June 18, 2021, https://www.commondreams.org/news/2021/06/18/epicfailure-humanity-global-displaced-population-hits-all-time-high.

[48] International Refugee Assistance Project, U.S. Opportunities to Address Climate Displacement, August 2021, https://www.amnestyusa.org/wp-content/uploads/2021/08/ClimateReport-August-2021-Final-4.pdf.

[49] Melissa Farley, Ann Cotton, Jacqueline Lynne, Sybille Zumbeck, Frida Spiwak, Maria E. Reyes, Dinorah Alvarez, and Ufuk Sezgin, ‘Prostitution and Posttraumatic Stress Disorder: An Update on Violence and Posttraumatic Stress Disorder’, Journal of Trauma Practice 2, no. ¾ (2003): 33–74.

[50] Barkha Dutt, ‘As India Goes into Lockdown, Fear Spreads: “Poverty May Kill Us First”’, Washington Post, March 26, 2020, https://www.washingtonpost.com/opinions/2020/03/ 26/india-goes-into-lockdown-fear-spreads-poverty-may-kill-us-first/.

[51] Dan Gentile, ‘SF Sex Workers Forced to Make Tough and Risky Choices During Pandemic’, SF Gate, April 13, 2020, https://www.sfgate.com/offbeat/article/SF-sex-workers-weigh-inon-working-through-the-15177239.php.

[52] Magdalene T. Larnyoh, ‘In Cameroun: Police Arrest Sex Workers Offering Services at Coronavirus Isolation Centres’, Pulse/Ghana no. 1, (April 2020), https://www.pulse.com.gh/bi/ lifestyle/in-cameroun-police-arrest-sex-workers-offering-services-at-coronavirus-isolation/ shq9×8r; E.N. Ndi, ‘Cameroon Arrests Prostitutes Offering Sex at Virus Isolation Centers’, Daily Nation, March 29, 2020. 以下に引用。Melissa Farley, ‘Prostitution, the Sex Trade, and the COVID-19 Pandemic’, Logos: A Journal of Modern Society and Culture 19, no. 1 (2020). https://prostitutionresearch.com/prostitution-the-sex-trade-and-the-covid-19-pandemic/〔メリッサ・ファーリー「売買春、性売買、新型コロナパンデミック」、APP国際情報サイト、https://appinternational.org/2020/06/20/melissa_farley_covid19/

[53] Einat Lavee and Orly Benjamin, ‘Between Social Rights and Human Rights: Israeli Mothers’ Right to Be Protected from Poverty and Prostitution’, Journal of Comparative Family Studies 48, no. 3 (2017): 315–26; Jane McAdam, ‘From the Nansen Initiative to the Platform on Disaster Displacement: Shaping International Approaches to Climate Change, Disasters and Displacement’, University of New South Wales Law Journal 39 (2016): 518.

[54] Einat Lavee, ‘Exchanging Sex for Material Resources: Reinforcement of Gender and Oppressive Survival Strategy’, Womens Studies International Forum, vol. 56 (Pergamon, 2016), 83–91; Einat Lavee and Orly Benjamin, ‘Between Social Rights and Human Rights: Israeli Mothers’ Right to Be Protected from Poverty and Prostitution’, Journal of Comparative Family Studies 48, no. 3 (2017): 315–26. See also Brian Willis, Katherine Welch, and Saki Onda, ‘Health of Female Sex Workers and their Children: A Call for Action’, The Lancet Global Health 4, no. 7 (2016): e438–9.

[55] たとえば、カナダのある買春ツァー客はタイの売買春の中の女性についてこうコメントしている。「おかげでこの子たちは食べ物が手に入る。俺が皿の上にパンを置いてやってるんだ。貢献してるんだよ。売春しないと、この子たちは生きていけないだ」。Christopher G. Moore, A Killing Smile (White Lotus Press, 2004). 以下の文献で引用。Ryan Bishop and Lillian Robinson, Night Market: Sexual Cultures and the Thai Economic Miracle (New York: Routledge, 1997), 168–9.

[56] 以下を参照。 Elaine Scarry, The Body in Pain: The Making and Unmaking of the World (New York, 1985).

[57] Julia O’Connell Davidson, Prostitution, Power, and Freedom (University of Michigan Press, 1998), 5.

[58] Elizabeth Fry Society, Streetwork Outreach with Adult Female Street Prostitutes (Toronto, Unpublished Report, 1987); Melissa Farley, Ann Cotton, Jacqueline Lynne, Sybille Zumbeck, Frida Spiwak, Maria E. Reyes, Dinorah Alvarez, and Ufuk Sezgin, ‘Prostitution and Posttraumatic Stress Disorder: An Update on Violence and Posttraumatic Stress Disorder’, Journal of Trauma Practice 2, no. ¾ (2003): 33–74.

[59] G.W. Jones, E. Sulistyaningsih, and T.H. Hull, ‘Prostitution in Indonesia’, In Lin Lean Lim, ed., The Sex Sector: The Economic and Social Bases of Prostitution in Southeast Asia (International Labour Organization, 1998), 43.

[60] Christa Wichterich, The Globalized Woman: Reports from a Future of Inequality (Zed Books, 2000), 63.

[61] Melissa Farley, Prostitution and Trafficking in Nevada: Making the Connections (San Francisco: Prostitution Research & Education, 2007), 34.

[62] Melissa Farley, ‘Slavery and Prostitution: A Twenty-First-Century Abolitionist Perspective’, In Linking the Histories of Slavery: North America and Its Borderlands (Santa Fe: School for Advanced Research Press, 2015), 283. http://prostitutionresearch.com/wp-content/uploads/2016/07/SlaveryProstitution-Farley-2015.pdf.

[63] David Harvey, A Brief History of Neoliberalism (Oxford University Press, USA, 2007).〔デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』作品社、2007年〕

[64] Jeremy Seabrook, Travels in the Skin Trade: Tourism and the Sex Industry (Pluto Press, 2001).

[65] Melissa Farley, Jan Macleod, Lynn Anderson, and Jacqueline M. Golding, ‘Attitudes and Social Characteristics of Men Who Buy Sex in Scotland’, Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy 3, no. 4 (2011): 369.

[66] Rachel Moran, Paid for: My Journey Through Prostitution (WW Norton & Company, 2015).

[67] World Health Organization and United Nations Office of the High Commissioner for Human Rights, Human Rights, Health, and Poverty Reduction Strategies. No. 5 (World Health Organization, 2008).

[68] Center for International Environmental Law and The Global Initiative for Economic, Social and Cultural Rights, StatesObligations under the Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination Against Women, in the Context of Climate Change (2018), https://www.ciel.org/wp-content/uploads/2018/01/HRTBs-synthesis-report-CEDAW.pdf; World Health Organization, ‘United Nations Office of the High Commissioner for Human Rights’, Human Rights, Health and Poverty Reduction Strategies (2008); Ramona Vijeyarasa, ‘CEDAW’s General Recommendation No. 35: A Quarter of a Century of Evolutionary Approaches to Violence against Women’, Journal of Human Rights 19, no. 2 (2020): 153– 67; Cassandra Mudgway, ‘Sexual Exploitation by UN Peacekeepers: The ‘Survival Sex’ Gap in International Human Rights Law’, The International Journal of Human Rights 21, no. 9 (2017): 1453–76.

[69] Committee on the Elimination of Discrimination against Women, Eleventh Session. General Recommendation No. 19: Violence against Women, (1992). https://tbinternet.ohchr.org/ Treaties/CEDAW/Shared%20Documents/1_Global/INT_CEDAW_GEC_3731_E.pdf.

[70] Barbara Lee, Congresswoman (2015–2016) H.Con.Res.29 – Recognizing the disparate impact of climate change on women and the efforts of women globally to address climate change. 114th Congress. https://www.congress.gov/bill/114th-congress/house-concurrentresolution/29.

[71] Committee on the Elimination of Discrimination against Women, ‘General Recommendation No. 37 on Gender-Related Dimensions of Disaster Risk Reduction in the Context of Climate Change’, February 2018, https://tbinternet.ohchr.org/Treaties/CEDAW/Shared %20Documents/1_Global/CEDAW_C_GC_37_8642_E.pdf.

[72] Ibid.

[73] Melissa Farley, Kenneth Franzblau, and M. Alexis Kennedy, ‘Online Prostitution and Trafficking’, Albany Law Review 77 (2013): 1039.

[74] 奴隷制に関する他の定義も同様である。国際司法裁判所(ICC)は奴隷化すること(これは「人道に対する罪」とみなされている)を、「人に対する所有権に付属する諸権力の一つないし全部を行使すること」と規定し、そこには「人の売買、とりわけ女性と子供の売買の過程におけるそのような権力の行使」が含まれるとしている。United Nations (1998) Rome Statute of the International Criminal Court. http://legal.un. org/icc/statute/99_corr/cstatute.htm. 米国司法省の規程第1584条は、「個人に対しその意思に反してサービスさせることのできる、力の行使、力の脅し、法的な強制の脅しを通じて、『恐怖の雰囲気』をつくり出すことで、人をその意思に反して働くよう強制することを禁じる」としている。以下を参照。Melissa Farley, ‘Slavery and Prostitution: A Twenty-First-Century Abolitionist Perspective’, In Linking the Histories of Slavery: North America and Its Borderlands (Santa Fe, NM: School for Advanced Research Press, 2015), 283. http://prostitutionresearch.com/wp-content/uploads/2016/07/SlaveryProstitution-Farley-2015.pdf. 奴隷制と強制労働を禁じている欧州人権条約(2020年)の第4条も参照。「1, 誰も奴隷や奴隷的奉仕のもとに置かれてはならない、2, 誰も、押しつけられた、ないし強制的な労働に従事することを要求されない」。Alhadi, Nadia. ‘Increasing Case Traffic: Expanding the International Criminal Court’s Focus on Human Trafficking Cases.’ (2020) Michigan Journal of International Law 41, 541. 英国の現代奴隷禁止法(2015年)に関する議論も参照。Gary Craig, ‘The UK’s Modern Slavery Legislation: An Early Assessment of Progress’, Social Inclusion 5, no. 2 (2017): 16–27.

[75] Rachel Harris and Katharine Gelber, ‘Defining “De Facto” Slavery in Australia: Ownership, Consent and the Defence of Freedom’, International Criminal Law Review 11, no. 3 (2011): 561–78.

[76] Jean Allain, ‘The Nineteenth Century Law of the Sea and the British Abolition of the Slave Trade’, The British Year Book of International Law 78, no. 1 (2008): 342. 以下に再録。Jean Allain, The Law and Slavery: Prohibiting Human Exploitation (Brill, 2015).

[77] Ibid.

[78] Catharine A. MacKinnon, ‘Prostitution and Civil Rights’, Michigan Journal of Gender & Law 1 (1993): 13.〔キャサリン・マッキノン「売買春と市民権」『女の生、男の法』下、岩波書店、2011年、213頁〕

[79] Ibid.〔同前、212頁〕

[80] Ibid.〔同前、214頁〕

[81] 「強要」はフロリダ州法では、言論ないし他者とのコミュニケーションを制約すること、発達障害・認知的限界・情動障害・薬物依存などを利用すること、以前に受けた性的虐待による被害を利用すること、ポルノ制作過程における搾取、食料・シェルター・安全・愛情に対する人間的ニーズを利用することとして定義されている。Florida Statutes. (2006). FLA. STAT. § 796.09(k)–(o) Prostitution. Coercion; civil cause of action; evidence; defenses; attorney’s fees. 以下を参照。Margaret A. Baldwin, ‘Strategies of Connection: Prostitution and Feminist Politics’, Michigan Journal of Gender & Law 1 (1993): 65.

[82] Cecilie Høigård and Liv Finstad, Backstreets: Prostitution, Money, and Love (Penn State Press, 1992); Claude Jaget, ed., Prostitutes, Our Life (Falling Wall Press, 1980).

[83] Fraser Committee, ‘Special Committee on Pornography and Prostitution’, Pornography and Prostitution in Canada. Ottawa, Minister of Supply and Services Canada (1985). https://www.ojp.gov/pdffiles1/Digitization/131616NCJRS.pdf

[84] United Nations, Universal Declaration of Human Rights, (1948), https://www.un.org/en/ universal-declaration-human-rights/

[85] これは、彼女たちを性的使用のために買う男たちによって、また彼女たちを保護すると称している人々によっても、彼女たちが十分に人間とみなされていないことの結果である。1990年代、カリフォルニア警察は被買春女性のレイプ事件の報告に「NHI」というスタンプを押していた。これは「No Human Involved」の意味である。Linda A. Fairstein, Sexual Violence: Our War against Rape (New York: William Morrow and Company, 1993). そして2011年、ニューヨークでの被買春女性の連続殺人を捜査していたある刑事は、被害者が「売春婦だけ」であったことを世間に対して「慰め」となる情報として伝えた。Robert Kolker, ‘The Gilgo Beach Murders Were a Cold Case: Then a New Police Chief Arrived’, New York Times, September 25, 2020, https://www. nytimes.com/2020/09/25/nyregion/long-island-serial-killer-gilgo-beach.html

[86] Fraser Committee, ‘Special Committee on Pornography and Prostitution’, Pornography and Prostitution in Canada. Ottawa, Minister of Supply and Services Canada, 1985. https://www.ojp.gov/pdffiles1/Digitization/131616NCJRS.pdf

[87] Leonard Cler-Cunningham and Christine Christenson, ‘Studying Violence to Stop It: Canadian Research on Violence Against Women in Vancouver’s Street Level Sex Trade’, Research for Sex Work 4 (2001): 25–6, https://www.nswp.org/sites/nswp.org/files/research-for-sexwork-4-english.pdf.

[88] John J. Potterat, Devon D. Brewer, Stephen Q. Muth, Richard B. Rothenberg, DonaldE. Woodhouse, John B. Muth, Heather K. Stites, and Stuart Brody, ‘Mortality in a LongTerm Open Cohort of Prostitute Women’, American Journal of Epidemiology 159, no. 8 (2004): 778–85.

[89] Devon D. Brewer, Jonathan A. Dudek, John J. Potterat, Stephen Q. Muth, John M. RobertsJr, and Donald E. Woodhouse, ‘Extent, Trends, and Perpetrators of Prostitution-Related Homicide in the United States’, Journal of Forensic Sciences 51, no. 5 (2006): 1101–8.

[90] John J. Potterat, Devon D. Brewer, Stephen Q. Muth, Richard B. Rothenberg, Donald E. Woodhouse, John B. Muth, Heather K. Stites, and Stuart Brody, ‘Mortality in a LongTerm Open Cohort of Prostitute Women’, American Journal of Epidemiology 159, no. 8 (2004): 778–85.

[91] C. Gabrielle Salfati, Alison R. James, and Lynn Ferguson, ‘Prostitute Homicides: A Descriptive Study’, Journal of Interpersonal Violence 23, no. 4 (2008): 505–43.

[92] Erik Avanier, ‘Coronavirus Threat Isn’t Stopping Sex Trafficking in Jacksonville’, News4Jax, April 8, 2020, https://www.news4jax.com/news/local/2020/04/08/coronavirus-threat-isntstopping-sex-trafficking-in-jacksonville/.

[93] Diana Leone, ‘One in 100 Children in Sex Trade, Study Says’, Honolulu Star-Bulletins, (September 10, 2001), A1, http://starbulletin.com/2001/09/10/news/story1.html.

[94] Erin Gibbs Van Brunschot, Rosalind A. Sydie, and Catherine Krull, ‘Images of Prostitution: The Prostitute and Print Media’, Women & Criminal Justice 10, no. 4 (2000): 47–72; Steven P. Kurtz, Hilary L. Surratt, James A. Inciardi, and Marion C. Kiley, ‘Sex Work and “Date” Violence’, Violence against Women 10, no. 4 (2004): 357–85.

[95] Kathleen N. Deering, Avni Amin, Jean Shoveller, Ariel Nesbitt, Claudia Garcia-Moreno, Putu Duff, Elena Argento, and Kate Shannon, ‘A Systematic Review of the Correlates of Violence Against Sex Workers’, American Journal of Public Health 104, no. 5 (2014): e42–54.

[96] Stephanie Church, Marion Henderson, Marina Barnard, and Graham Hart, ‘Violence by Clients Towards Female Prostitutes in Different Work Settings: Questionnaire Survey’, British Medical Journal 322, no. 7285 (2001): 524–5.

[97] Mimi H. Silbert and Ayala M. Pines, ‘Entrance into Prostitution’, Youth & Society 13, no. 4 (1982): 471–500.

[98] Ruth Parriott, Health Experiences of Twin Cities Women Used in Prostitution. Unpublished paper commissioned by Women Hurt in Systems of Prostitution Engaged in Revolt (WHISPER), Minneapolis (1994).

[99] Melissa Farley, Ann Cotton, Jacqueline Lynne, Sybille Zumbeck, Frida Spiwak, MariaE. Reyes, Dinorah Alvarez, and Ufuk Sezgin, ‘Prostitution and Trafficking in Nine Countries: An Update on Violence and Posttraumatic Stress Disorder’, Journal of Trauma Practice 2, no. 3–4 (2003): 33–74.

[100] Melissa Farley, Jacqueline Lynne, and Ann J. Cotton, ‘Prostitution in Vancouver: Violence and the Colonization of First Nations Women’, Transcultural Psychiatry 42, no. 2 (2005): 242–71.

[101] Human Rights Watch, ‘No Escape: Male Rape in US Prisons’, (2001), https://www.hrw.org/report/2001/04/01/no-escape-male-rape-us-prisons.

[102] United Nations Declaration on the Elimination of Violence Against Women (1993), https:// www.un.org/en/genocideprevention/documents/atrocity-crimes/Doc.21_declaration%20 elimination%20vaw.pdf.

[103] Ronagh JA. McQuigg, ‘What Potential Does the Council of Europe Convention on Violence against Women Hold as Regards Domestic Violence?’, The International Journal of Human Rights 16, no. 7 (2012): 947–62.

[104] Anna Zobnina, Expert Group Meeting Notes regarding UN Special Rapporteur on Violence against Womens Report on Rape as a Grave and Systematic Human Rights Violation and Gender-Based Violence against Women, May 20, 2020.

[105] US Mission to International Organizations in Geneva, Report of the Special Rapporteur on the Right of Everyone to the Enjoyment of the Highest Attainable Standard of Physical and Mental Health (A/HRC/35/21) Social Protection and Human Rights, 2017, https://geneva. usmission.gov/2017/06/23/explanation-of-position-on-resolution-l-18/.

[106] Cecilie Høigård and Liv Finstad, Backstreets: Prostitution, Money, and Love (Penn State Press, 1992).

[107] Melissa Farley, Ann Cotton, Jacqueline Lynne, Sybille Zumbeck, Frida Spiwak, MariaE. Reyes, Dinorah Alvarez, and Ufuk Sezgin, ‘Prostitution and Trafficking in Nine Countries: An Update on Violence and Posttraumatic Stress Disorder’, Journal of Trauma Practice 2, no. 3–4 (2003): 33–74.

[108] 「84%」という数字は以下の文献による。Anita Kemp, Edna I. Rawlings, and Bonnie L. Green, ‘Post-Traumatic Stress Disorder (PTSD) in Battered Women: A Shelter Sample’, Journal of Traumatic Stress 4, no. 1 (1991): 137–48; 「45%」という数字は以下の文献による。Beth M. Houskamp and David W. Foy, ‘The Assessment of Posttraumatic Stress Disorder in Battered Women’, Journal of Interpersonal Violence 6, no. 3 (1991): 367–75.

[109]「70%」という数字は以下の文献による。Ian T. Bownes, E.C. O’Gorman, and A. Sayers, ‘Assault Characteristics and Posttraumatic Stress Disorder in Rape Victims’, Acta Psychiatrica Scandinavica 83, no. 1 (1991): 27–30.

[110] 「51%」という数字は以下の文献による。Rosalind Ramsay, Caroline Gorst-Unsworth, and Stuart Turner, ‘Psychiatric Morbidity in Survivors of Organised State Violence Including Torture’, The British Journal of Psychiatry 162, no. 1 (1993): 55–9.

[111] Kathleen Barry, The Prostitution of Sexuality: The Global Exploitation of Women (New York University Press, 1995); Andrea Dworkin, ‘Prostitution and Male Supremacy’, Michigan Journal of Gender & Law 1 (1993),1〔アンドレア・ドウォーキン『女たちの生と死』青土社、1993年〕; Evelina Giobbe, ‘An Analysis of Individual, Institutional, and Cultural Pimping’, Michigan Journal of Gender & Law 1 (1993), 33. Cecilie Høigård and Liv Finstad, Backstreets: Prostitution, Money, and Love (Penn State Press, 1992).

[112] Melissa Farley, ‘Prostitution, Trafficking, and Cultural Amnesia: What We Must Not Know in Order to Keep the Business of Sexual Exploitation Running Smoothly’, Yale Journal of Law & Feminism 18 (2006): 109. https://digitalcommons.law.yale.edu/cgi/viewcontent.cgi?referer=&httpsredir=1&article=1243&context=yjlf. 売買春において無理やり脱がせることは侮辱的であるというだけでなく、被害者に恥辱の烙印を捺し、非人間化し、レイプしやすくすることを意味する。以下を参照。Kristian Williams, American Methods: Torture and the Logic of Domination (South End Press, 2006). レイプは拷問においても売買春においても、コントロールの主要な手段として用いられる。それは人道に対する罪として規定されている。レイプによる性的で攻撃的な支配は、支配者と従属者とのあいだの巨大な不平等の核心をなすものである。レイプされたある男性は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対して、自分の尊厳がいかに破壊されたかについて述べつつ、監獄でのレイプが「人を無価値な存在に変え、「レイプをする個人ないし集団が望む通りの存在に作り変える」過程であると語っている。Human Rights Watch, ‘No Escape: Male Rape in US Prisons’, (2001), https://www.hrw.org/report/2001/04/01/no-escape-male-rape-us-prisons

[113] United Nations, Convention Against Torture and Other Cruel, Inhuman or Degrading Treatment or Punishment (1985), https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume% 201465/volume-1465-I-24841-English.pdf.

[114] Steve Lopez, ‘The “Repugnant, Vile Truth” about Sex Trafficking in L.A. County’, Los Angeles Times, August 31, 2013, http://www.latimes.com/local/la-me-0901-lopezprostitution20130901,0,4024210.column51.

[115] United Nations, Universal Declaration of Human Rights (1948), https://www.un.org/en/ universal-declaration-human-rights/.

[116] Svitlana Kravchenko, ‘Right to Carbon or Right to Life: Human Rights Approaches to Climate Change’, Vermont Journal of Environmental Law 9 (2007): 513.

[117] ポストモダン哲学は人々を混乱させ、性売買を「責任放棄と脱関与の政治学」を通じて神秘化することによって売買春の被害をカムフラージュする。そこにあっては、たとえば近親姦とレイプは「認識論的困惑」となる。Catharine A. MacKinnon, ‘Points Against Postmodernism’, Chicago-Kent Law Review 75 (1999): 687. ポストモダニズムのもとでは、人種差別、性差別(sexism)、致命的貧困は、現実そのものではなく、単なる現実の表象(representations)になる。ポストモダニストにとって、事実は信頼できないものだ。売買春の中の女性に被害を与える抑圧的な社会的諸力――人種差別、性差別、貧困――は、「不可知なものとなる」(Celine P. Shimizu, ‘Queens of Anal, Double, Triple, and the Gang Bang: Producing Asian/American Feminism in Pornography’, Yale Journal of Law & Feminism 18 (2006): 235) https://core.ac.uk/download/pdf/72837739.pdf。同論文で引用されたピアレビュー済みの調査研究がこうした被害をきわめて豊富に証拠立てているというのに、である。物質的現実は精神的に構築されたものであり、現実的なものは何もないという想定は、売買春の現実的諸被害も、女性の頭の中を除いて、存在しなくなる。ポストモダニストたちは、買春されたり人身売買されている女性たちは現実の一つのバージョンについて語っているにすぎない。ポストモダンな現実性においては、ピンプによる嘘やポルノの嘘(売買春はセクシーで、すべての人にとって楽しめるものだとか、売春婦は金持ちになれるし、素敵な男性と知り合えるという嘘)は単に、サバイバーが被った性的搾取の生きた経験と同じ程度に妥当なものになる。このように嘘と現実とをその妥当性において等価だとみなす発想は、ポストモダンな「無意味さの政治学」を反映しており、男性による女性に対する暴力を不可視なものにすることによって女性の生に多大な影響を与えている(Sheila Jeffreys, The Idea of Prostitution, Spinifex Press, 2008)。ポストモダンの世界観は究極的には、意味のニヒリスティックな破壊と断片化の増殖とを生み出している。それは売買春の人権侵害に対するエビデンスにもとづく理解を曖昧なものにする。

[118] Katie Jennings, Dino Grandoni, and Susanne Rust, ‘How Exxon Went from Leader to Skeptic on Climate Change Research’, Los Angeles Times, October 23, 2015, http:// graphics.latimes.com/exxon-research/; Susanne Rust, ‘Report Details How ExxonMobil and Fossil Fuel Firms Sowed Seeds of Doubt on Climate Change’, Los Angeles Times, October 21, 2019. https://www.latimes.com/environment/story/2019-10-21/oil-companiesexxon-climate-change-denial-report; see also #EXXONKNEW, https:// exxonknew.org/.

[119] Jody Raphael, ‘Decriminalization of Prostitution: The Soros Effect’, Dignity: A Journal on Sexual Exploitation and Violence 3, no. 1 (2018): 1. https://digitalcommons.uri.edu/dignity/vol3/iss1/1/

[120] Chris Hedges, ‘Amnesty International: Protecting the “Human Rights” of Johns, Pimps and Human Traffickers’, Vox Populi, August 17, 2015. https://voxpopulisphere.com/2015/08/24/ 8811/.

[121] Wulf Rössler, Ulrich Koch, Christian Lauber, A-K. Hass, M. Altwegg, Vladeta AjdacicGross, and K. Landolt, ‘The Mental Health of Female Sex Workers’, Acta Psychiatrica Scandinavica 122, no. 2 (2010): 143–52.

[122] United Nations, Report of the Special Rapporteur on the Human Rights Aspects of the Victims of Trafficking in Persons, Especially Women and Children (Commission on Human Rights. UN Doc. E/CN.4/2006/62), February 20, 2006, p. 9.

[123] Seo-Young Cho, Axel Dreher, and Eric Neumayer, ‘Does Legalized Prostitution Increase Human Trafficking?’, World Development 41 (2013): 67–82. https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1986065

[124] Niklas Jakobsson and Andreas Kotsadam, ‘The Law and Economics of International Sex Slavery: Prostitution Laws and Trafficking for Sexual Exploitation’, European Journal of Law and Economics 35, no. 1 (2013): 87–107; Samuel Lee and Petra Persson, Human Trafficking and Regulating Prostitution. No. 996. IFN Working Paper (2013); Egzone Osmanaj, ‘The Impact of Legalized Prostitution on Human Trafficking’, Academic Journal of Interdisciplinary Studies 3, no. 2 (2014): 103.

[125] Moira Heiges, ‘From the Inside Out: Reforming State and Local Prostitution Enforcement to Combat Sex Trafficking in the United States and Abroad’, Minnesota Law Review 94 (2009): 428.

[126] Drew Dellinger, ‘Dr. King’s Interconnected World’, New York Times Opinion, December 22, 2017, https://www.nytimes.com/2017/12/22/opinion/martin-luther-king-christmas.html.

[127] Fourth World Conference on Women, Beijing Declaration and Platform for Action, 1995, https://www.un.org/en/events/pastevents/pdfs/Beijing_Declaration_and_Platform_for_ Action.pdf.

[128] Jeffrey D. Sachs, Moving the World Towards Sustainable Development. Peace with No Borders: Religions and Cultures in Dialogue (Community Sant’ Egidio Madrid, September 15, 2019), https://www.jeffsachs.org/recorded-lectures/t54fd28l9try3ay8lpg9t4n7t7de2a.

[129] Farhana Sultana, ‘Climate Change, COVID-19, and the Co-production of Injustices: A Feminist Reading of Overlapping Crises’, Social & Cultural Geography 22, no. 4 (2021): 447–60.

[130] Peggy Reeves Sanday, ‘The Socio-Cultural Context of Rape: A Cross-Cultural Study’, Journal of Social Issues 37, no. 4 (1981): 5–27.

[131] Gül Aktürk and Martha Lerski, ‘Intangible Cultural Heritage: A Benefit to Climate-Displaced and Host Communities’, Journal of Environmental Studies and Sciences (2021): 1–11.

[132] Christine Graef, ‘Bakken Region Tribes Fight Back Against Human Trafficking’, Mint Press News, November 21, 2014, https://www.mintpressnews.com/bakken-region-tribes-fightback-human-trafficking/199156/.

[133] Angel Moore, ‘Mi’kmaw Grandmothers Oppose ‘Man-Camp’ that Goes with Massive LNG Project’, APTN National News, 2021, https://www.aptnnews.ca/national-news/mikmawgrandmothers-oppose-man-camp-that-goes-with-massive-lng-project/

補論Aの原注

[134] Emily F. Rothman, ‘Should US Physicians Support the Decriminalization of Commercial Sex?’, AMA Journal of Ethics 19, no. 1 (2017): 110–21.

[135] Rachel Moran and Melissa Farley, ‘Consent, Coercion, and Culpability: Is Prostitution Stigmatized Work or an Exploitive and Violent Practice Rooted in Sex, Race, and Class Inequality?’, Archives of Sexual Behavior 48, no. 7 (2019): 1947–53.

[136] David Charter, ‘Half of Amsterdam’s Red-Light Windows Close’, The Times (2008): 22.

[137] Expatica.com, Why Dutch Street Walkers Are Getting the Boot (2003, December 9).

[138] Annelies L. Daalder, Prostitution in the Netherlands since the Lifting of the Brothel Ban (Boom Juridische uitgevers, 2007), 67. https://repository.wodc.nl/bitstream/handle/20.500.12832/1196/ob249a-fulltext_tcm28-68261.pdf

[139] M. Paulus, ‘Out of Control: On Liberties and Criminal Developments in the Redlight Districts of the Federal Republic of Germany’, (2014), https://ressourcesprostitution.wordpress.com/2014/05/06/m-paulus-out-of-control-on-liberties-and-criminal-developments-in-the-redlight-districts-of-the-federal-republic-of-germany/; B. Kavemann, H. Rabe, and C. Fischer, The Act Regulating the Legal Situation of ProstitutesImplementation, Impact, Current Developments (Berlin, 2007); Der Spiegel, ‘Unprotected: How Legalizing Prostitution Has Failed’, Der Spiegel 26 (2013).

[140] German Federal Ministry for Family Affairs, Senior Citizens, Women and Youth, Report by the Federal Government on the Impact of the Act Regulating the Legal Situation of Prostitutes (2007). https://www.bmfsfj.de/bmfsfj/meta/en/publications-en/report-by-the-federal-government-on-the-impact-of-the-act-regulating-the-legal-situation-of-prostitutes–95692

[141] Seo-Young Cho, Axel Dreher, and Eric Neumayer, ‘Does Legalized Prostitution Increase Human Trafficking?’, World Development 41 (2013): 67–82. https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1986065

[142] New Zealand, Report of the Prostitution Law Review Committee on the Operation of the Prostitution Reform Act 2003 (Ministry of Justice, 2008), 121. https://prostitutescollective.net/wp-content/uploads/2016/10/report-of-the-nz-prostitution-law-committee-2008.pdf

[143] Ibid., 57.

[144] Ibid., 46.

[145] Michael L. Rekart, ‘Sex-Work Harm Reduction’, The Lancet 366, no. 9503 (2005): 2123–34.

[146] Heidi Larson and J. Narain, Beyond 2000: Responding to HIV/AIDS in the New Millennium (New Delhi: World Health Organization, Regional Office for South-East Asia, 2001); Emily F. Rothman, ‘Should US Physicians Support the Decriminalization of Commercial Sex?’, AMA Journal of Ethics 19, no. 1 (2017): 110–21.

[147] Helen Ward and Sophie Day, ‘What Happens to Women Who Sell Sex? Report of a Unique Occupational Cohort’, Sexually Transmitted Infections 82, no. 5 (2006): 413–17. Wulf Rössler, Ulrich Koch, Christian Lauber, A-K. Hass, M. Altwegg, Vladeta Ajdacic-Gross, and K. Landolt, ‘The Mental Health of Female Sex Workers’, Acta Psychiatrica Scandinavica 122, no. 2 (2010): 143–52; Sheila Jeffreys, The Idea of Prostitution (Spinifex Press, 2008).

[148] J.G. Silverman, M.R. Decker, J. Gupta, A. Maheshwari, B.M. Willis, and A. Raj, ‘HIV Prevalence and Predictors of Infection in Sex-Trafficked Nepalese Girls and Women’, JAMA 298, no. 5 (2007): 536–42.

[149] J. Banks, ‘Comment: City Shoulders Load of Making Law Work’, New Zealand Herald, September 15, 2003.

[150] New Zealand, Report of the Prostitution Law Review Committee on the Operation of the Prostitution Reform Act 2003 (Ministry of Justice, 2008). https://prostitutescollective.net/wp-content/uploads/2016/10/report-of-the-nz-prostitution-law-committee-2008.pdf

[151] たとえば、国際セックスワーカー組合の創設者であるダグラス・フォックスは、クリストニー・コンパニオンズというエスコート売春店での警察のおとり捜査で、売買春で儲けを上げていた罪で逮捕された。以下を参照。Julie Bindel, ‘What You Call Pimps, We Call Managers’, Byline, July 21, 2015, https:// www.byline.com/column/7/article/188. 労働組合という看板の下に隠れているピンプたちは左翼の同情に訴えている。しかしながら、ニュージーランド売春婦コレクティブ、国際セックスワーカー組合(英国)、レッドスレッド(オランダ)、セックスワーカー・オーガナイジング・プロジェクト(米国)などの諸団体は、売買春を仕事として猛烈に推進しているが、私たちが労働組合という言葉で想像するものとおよそ似ても似つかない。これらの団体は、企業年金も、職場の安全も、労働時間の短縮も、失業給付も要求しないし、もちろん売買春からの離脱サービスも提供しない(売買春の中にいる女性たちの90%は抜け出ることを望んでいるというのに)。その代わり、これらの団体は、セックスに使用するための人間市場をつくり出している。さらに以下も参照。Julie Bindel, The Pimping of Prostitution (London: Palgrave Macmillan, 2017); Melissa Farley, ‘Very Inconvenient Truths: Sex Buyers, Sexual Coercion, and Prostitution-Harm-Denial’, Logos: A Journal of Modern Society and Culture 15, no. 1 (2016) http://logosjournal.com/2016/farley-2/; Cecilie Hoigard, ‘The Presence of Pain in the Debate on Prostitution’, Womens Front of Norway (2015).

[152] Maddy Coy, Helen Pringle, and Meagan Tyler, ‘The Swedish Sex Purchase Law: Evidence of Its Impact’, Nordic Model Information Network (July 2016) https://www.catwa.org.au/wp-content/uploads/2016/12/NMIN_briefing_on_Sweden_July_16.pdf; Max Waltman, ‘Prohibiting Sex Purchasing and Ending Trafficking: The Swedish Prostitution Law’, Michigan Journal of International Law 33 (2011): 133. https://repository.law.umich.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1041&context=mjil

謝辞 本稿の筆者は以下の人々に感謝申し上げる。ドリーシャ・フェルナンデス、ダルカ・モーガン、森田成也、アンナ・ゾブニナ。これらの人々の提案と批判なしには本稿は完成できなかったろう。筆者はまた、『インターナショナル・ジャーナル・オブ・ヒューマンライツ』の査読者の批評と提案にも感謝したい。

出典:Melissa Farley (2021): Making the connections: resource extraction, prostitution, poverty, climate change, and human rights, The International Journal of Human Rights, DOI: 10.1080/13642987.2021.1997999

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投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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