ドイツ与党CDUの女性同盟が売春合法化政策の転換と北欧モデル型立法の導入を提唱!

 ドイツのメルケル首相の与党CDU(キリスト教民主同盟)の女性同盟(女性議員の連合体で、同党の女性政策を担当)が7月14日に声明と決議を発表し、2001年にドイツ社会民主党と緑の党の連合政権時代に導入された売買春合法化政策を抜本的に転換して、北欧モデル型の法律を導入するよう提唱しています。

 まず声明の中で女性同盟は「女性同盟の連邦執行部は、人間の尊厳と女性の自己決定を立法の中心に置くことを要求する」と述べ、「女性の身体は商品ではないし、売買春は他のどの仕事とも同じ仕事などではない。売春者は、効果的な保護を必要としており、この産業から抜け出し具体的なキャリア選択を保障することに向けた現実的な支援を必要としている」と続けています。

 この声明とともに発表された決議(6月29日付決議「今こそ考え方の転換を! 買春を禁止し、女性のよりよい保護を」)では、合法化政策導入時にセックスワーク派と当時の与党議員たちによって言われていたこと、すなわち、売春を合法化することでセックスワーカーを保護することができる、女性からスティグマが取り除かれる、人身売買を効果的に阻止できる、犯罪集団を性産業から排除できるといったお題目がまったく実現しなかったことが的確に指摘されています。とくに、ドイツ最大の売春チェーン店であった「パラダイス」が大規模な人身売買の温床になっていたことが暴露され経営者が逮捕された事件は、「売買春を合法化すれば人身売買がなくなる」論のウソを多くのドイツ国民に教えました(この事件については『論文・資料集』第12号掲載の『ガーディアン』の記事参照)。

 売春合法化政策は人身売買をはびこらせ、犯罪集団に莫大な利益を保証する一方で、ほとんどの被買春女性たちは貧困のままに放置されています。この間の新型コロナパンデミックでは、売春店が閉鎖された結果として、彼女たちは住む場所さえない状況に置かれ、臨時措置として、閉鎖された売春店で寝起きすることを余儀なくされました。

 2016年に、状況を改善するために売春者保護法なるものが制定されましたが、これも結局はほとんど機能しなかったことも、女性同盟の決議で指摘されています(この法についても、『論文・資料集』第12号に掲載されたインタビューを参照)。相談所やシェルターはつくられましたが、予算不足のせいで、一部を除いてほとんど被害者の役に立ちませんでした。また、ほとんどが外国人で占められている被買春女性にとって、膨大な数の条項が盛られた法律はそもそも理解することができず、結局、ピンプと業者の支配下に置かれてしまっていることが指摘されています。

 女性同盟の決議は、これ以上既存の法律をいじくって保護的なものを盛り込んでも限界があること、そもそも合法を前提としているかぎり被買春女性を効果的に保護できないことを指摘するとともに、被買春者への非処罰を維持しつつ買春者と業者を処罰するものに法体系を転換し、被買春女性への離脱プログラムの提供や新たなキャリア選択の現実的保障などを盛り込んだ北欧モデル型立法だけが事態の抜本的な改善が可能になると主張しています。

 連合政権の相手であるドイツ社会民主党の議員の間からも北欧モデル型の立法を支持する意見が多く出されており、もしこの提案が与党によって採用されて、国会で可決されることになれば、実に画期的な政策転換になります。ドイツが2001年に売買春の完全合法化政策を導入して以降、ドイツは「ヨーロッパの売春宿」と呼ばれるようになり、オランダやスペインと並んで、何十万人もの外国人女性が人身売買されてくる「買春帝国」となりました。ドイツはヨーロッパ最大最強の資本主義国家ですから、この国で北欧型の立法が成立するならば、お隣のフランス(すでに北欧モデル型立法を導入)と並んで、ヨーロッパの2大国が北欧モデル国になることを意味し、ヨーロッパ全体の政策動向に決定的な影響を及ぼし、さらには世界全体に大きな影響を与えることでしょう。

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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