スポレンダ&インゲ・クライネ「ドイツにおける売春法――課税のための合法化」

【解題】以下は、2019年1月13日にNordic Model Now! のサイトに掲載された、フランスのフェミニストによるドイツのフェミニストへのインタビュー記事です。ドイツは2001/2002年に売買春を制度的に合法・自由化する法律「売春法」を可決・施行しましたが(それ以前も事実上合法でしたが、それをより全面的なものにした)、それによって多くの悲惨な状況が生まれ、世論の反発が起きました。そのため、ドイツのリベラル派・左派・グリーン派は、売買春の合法制度を維持したまま、売買春をより「クリーン」なものにすると称して2016年に「売春者保護法」なる膨大な条項からなる法律を制定しました。これらの法律の影響と問題について、フランスのフェミニストであるフランシーヌ・スポレンダがドイツのフェミニストであるインゲ・クライネにインタビューしました。

 なお、ドイツの売買春の実態については、本サイトの他の記事、および『論文・資料集』第12号掲載の、同じスポレンダによるドイツのサバイバーへのインタビューを参考にしてください。

FS(フランシーヌ・スポレンダ):2001/2002年の売春法がもたらした負の影響の一部を是正する法律が2016年に成立しましたが、多くの評論家はそれを官僚的モンスターであり、ほとんど役に立たないと考えています。あなたはどう思いますか?

IK(インゲ・クライネ):この法律はProstituiertenschutzgesetz(ProstSchG)と呼ばれ、「売春者保護法」を意味します。2016年10月に可決され、2017年7月1日に施行されました。しかし、多くの自治体がまだ必要なインフラを導入していなかったため、変更に備える時間を与えるために1年間の移行期間が設けられました。

 それが官僚的なモンスターかどうかは言えませんが、東欧から人身売買された女性たちがカウンセリングを受けられるようになりましたし、情報を得たり、ドイツ政府と連絡を取ったりするための電話番号もあるので、もしかしたら助けになるかもしれません。

 ミュンヘンでは、義務的な健康相談が強要されているように見えるとの連絡を、支援組織が受けた事例がいくつかあります。これらのセッションは健康についての話し合いであり、強制的な健康診断ではありませんが、多くの人々は混同しています。

 健康相談を受けた後、女性は市区町村の役所で登録をしなければなりません。健康相談は1年に1回で、登録は2年ごとに更新しなければなりません。更新しないと2年後にはデータが削除されてしまいます。18歳から21歳までの人は、6ヵ月ごとに保健所に出向き、1年ごとに登録を更新しなければなりません。

 これは、売春をしているEU市民が、ドイツでどれくらいの期間、働いていたかを証明するのに役立つかもしれないし、それによって、福祉やその他の社会的支援を受けやすくなるかもしれません。

 この法律はまた、市や自治体、州が、売春をしている人のために、義務的な健康相談に加えて、何らかのカウンセリングを提供しなければならないと定めています。これは、女性が何らかの支援サービスを受けられるようにしなければならないことを意味します。

 しかし、売春をしている人たちのための既存のサービスのほとんどが、性産業のロビー団体によって運営されていることも憂慮すべき点です。彼らはウェブサイトをそれらしきものに変え始めましたが、最近までは「セックスワーク」を通常の仕事として認識させるためにロビー活動を行なっていたと公然と述べていました。そのうちのいくつかは、売春に入る女性のための支援を提供していると述べていました。しかしその一方で、売買春をやめたい女性のためのサービスには言及していません。

 この法律には離脱サービスの規定もそのための資金提供もなく、それを提供するかどうかは州や都市しだいです。

 残るのは、コンドームが義務化され、それを拒むと、重い罰金が課せられ、それは買い手が支払うことになっていることだけです。そうすれば女性がコンドーム装着を求めやすくなるだろうとの考えにもとづいてのことです。サバイバーは、この法律のこの側面を支持する傾向があります。

 最後に、この法律には妊婦に関する規定もあります。妊娠6週目までは登録が保留されます。ここでの悲しい希望は、福祉事務所が、売買春からの脱却を希望する、あるいは売春に従事したくない妊婦を支援することです。政府の公聴会での発言から、妊娠後期であっても生活保護の支払いが〔売春〕女性から取り上げられ、医師は、妊娠後期の売春は非良心的であるとの陳述書を裁判所に提出しなければならないことがわかっています。

 実際、売買春から離脱しようとする女性は、しばしばこのような障害に直面します。福祉・社会的支援の担当者は彼女が売買春から離脱したとは考えておらず、本来もらうべき最低扶養額から一定額を差し引くのです。

 私はアボリショニストとして、この法律には2つの大きな目的があると思います。1つは、ドイツにおける合法的売春について、少なくともある程度のデータを収集できるようにすることです。2016年時点で、ドイツは売春をしている女性の数を大まかに見積もることすらできませんでした。40万人という数字が流布され続けてきましたが、明確な根拠はありません。報道では、9万人から90万人とされています。ドイツで売買春を合法化し一部は非犯罪化したアプローチを正当化する根拠の一つは透明性という考えに基づいたものでしたし、政治家やその他の人々は、スウェーデンで売買春が地下に潜ったのではないかという疑惑を引き合いに出して、北欧モデルに反論していたのですから、これは実に滑稽で、恥ずかしいことです。

 第2の主な目的は、フシュケ・マウのような他のアボリショニストと同じですが、税金の徴収を容易にし、女性に社会保障制度や健康保険制度への支払いをさせることです。この点で、売春者保護法は2001年の売春法の真の目的に従っています。これは、売買春の中の女性を非スティグマ化し、社会的給付を利用しやすくする試みとして世間に売り込まれていましたが、実際には売買春の中の女性たちがこれらの制度にお金を支払うことを中心としていたのです。

 2001年の法律は、ドイツの他の法律と同じ時期に成立したもので、福祉制度を大幅に削減し、既婚女性の年金権を大きく変更するもので、これも実質的に年金権を削減するものでした。これらの人々をできるだけ仕事に就けさせ、福祉制度にお金を払い込ませるためのものです(さもないと年金を受ける権利を失う)。これは、当時の社会民主党と緑の党の政府による「アジェンダ2010」と呼ばれる緊縮策の一環でした。

 現行法はこの流れを引き継いでおり、登録が義務化されたことで、税務署にもデータが提供されるようになりました。税金は、所得税、付加価値税(提供されたサービスにかかる税金、つまり購買者が支払う金額の19%)、そして売春店を介して、市は追加の税金(娯楽税を意味するVergnügungssteuerと呼ばれることもある)を課すことができます。後者の税金は都市にとって重要であり、デュッセルドルフのような場所では年間60万ユーロもの税金が発生しています。

 売春店は、部屋の家賃を介して女性からお金を得ます。また、VAT(付加価値税)の支払いに必要な金額を家賃から徴収しています。つまり、ドイツでは売春店の管理人は徴税人として働いているのです。女性は、すべての客と収入、売春店から提供された領収書をきちんと記録し、これらの書類を課税申告書の一部として税務署に提出することになっています。

 実際のところ、ドイツでは、未払いの税金という債務が、女性たちが売春から離脱する上での大きな障壁となっています。新法はそれをよりシステマティックにすることでさらに悪化させています。

 その他の規定には、売春店の管理人や売春施設を運営する者に対する規制強化が含まれています。売春を目的としたスペースを貸し出している者は、今では売春場の保有者とみなされます。例外は、売買春に従事している者だけが自分自身の賃貸ないし所有されたスペースを使っている場合です。

 また、衛生面での規制もあり(詳細はドイツの州によって異なります)、用心棒からライセンス保持者まで、売春店で働く者は犯罪歴証明書を提出しなければならず、初めて、人身売買や「強制売春」で有罪判決を受けた者が売春店を経営することが禁止されました。また、売春店は、ソーシャルワーカーの面会を許可し、何らかの安全システムを導入しなければならなりません。

 アパートの規制はあまり厳しくないのですが、実際にはこのアパートこそが、多くの売春が起こる場所であり、人身売買の被害者の多くがいると思われる場所であり、女性に対する暴力のほとんどが家庭や個人の家やアパートで行われるのと同じように、ほとんどの暴力が起こる場所なのです。

 売買春の中の女性(ないしそれ以外)を保護することを意図した他の規制は裏目に出ています。今では、女性は、彼らが買い手と会う売春店内の部屋の他に寝起きするための場所を持っている必要がありますので、彼女たちはどこか他の場所で追加の部屋を借りて、そのための資金を調達する必要があります。また、郵便物を受け取ることができるような、ある種の恒常的な住所を持っていなければなりません。すでに弁護士や同様の人々は、手数料と引き換えに郵便受けのアドレスのようなものを提供するようになっています。

 法律の最後のページには、売春のための広告に関する規制が廃止されたという情報があります。「未成年者の保護」に該当するものを除いて 広告の禁止はもうありません。業界は理論的には以前よりも広範囲に広告を出すことができます。

 ゾーニング規制は依然として適用されており、違反した場合には女性が罰金を支払うことになります。罰金額は250~500ユーロであり、支払いを怠ったり、再び違反が発覚した場合は刑務所に入ることになります。いくつかの場所では、客引きや勧誘を禁止する規制が実施されているので、買い手も自治体の管轄下で規制の対象となる可能性があります。ゾーニング違反の罰金は連邦政府の管轄ですが、その執行レベルは自治体によって異なります。例えばミュンヘンは非常に厳格なゾーニング規制があり、それは厳格に施行されていますが、ベルリンにはそれがなく、最も爆発的な市場の一つであり、最悪の条件にあります。

 アボリショニストはこの問題に関して少し意見が割れています。私は、この法律を問題視しており、それは、売春があまりにも有害であるがゆえに、いかなる規制的介入も有害であるということを示すさらなるエビデンスであると捉えています。あらゆる形態の売買春規制と同様に、この法律は、ドイツが〔売買春という〕人権侵害をどの程度容認するかを示すものでしかありません。

 次のような思い込みがありますが、それは実にドイツ的です。つまり、必要なのは行政的アプローチを徹底することであり、物事がきちんと秩序づけられ、それを取り巻く行政活動がまともでありさえすれば、その中心部における人権侵害は無視できるという思い込みです。

 一部のアボリショニストを含む他の人々は、これによって売春店の維持がより難しくなったと強調しています。たしかに、ミュンヘンにあった2つの非常に貧弱な店は今では閉鎖されています。これらの人々が強調するのは、少なくとも買い手のことが法律の中で取り上げられており、コンドームを使用しない場合は罰金の支払いがあるということ、ワーカーをサポートすることが以前よりずっとやりやすくなったことです。また、売買春のコストが都市や一般市民の目に触れるようになり、それは良いことだと思います。

 最後に言いたいのは、最悪の種類の売買春、すなわち違法売春がここでもあり、それは、非EU諸国、ウクライナ、ロシアの東欧諸国から来ている女性たち、また、ナイジェリア、南米、アジアから来ている女性たちによるものです(その数は概数でしかわかりません)。彼女たちは登録できないので、明らかに法律の範囲外にいます。

ベルリンにあるドイツ最大の売春店「クラブ・アルテミス」のロビー(EPA/Marcel Mettelsiefen)

FS: この法律には良い面がありますか、あるとすればどのような面でしょうか? 例えば、売春店の開業には許可が必要であること、被害者が法廷で証言しなくてもピンプが罰せられること、売春店経営者による被買春女性に対する「指揮権」の抑制など。

IKプラス面については、上記の一部を参照してください。「指揮権」ないし「限定された指揮権」とは、売春店の経営者が店内の売春従事者に命令を与える権利のことです。あきれた話ですが、それはここでの売春の〔組合への〕組織化には影響していません。というのも、これは雇用契約を結んだ売春従事者にしか適用されず、その数はごくわずかだからです。 どうやら、ある時点で、雇用契約を結んでいる売春従事者はドイツ全体でわずか44人(男性1人か2人を含む)だったようです。

 基本的に売春店はホテルのように運営されていて、女性は部屋を借りてホテルの規制に従っています。そしてこのことは、自由の国だから規制が嫌なら出て行ってもいいということで正当化されています。確かに売春店は女性が身に着ける服を指定することができなくなったし、乱交プレイのオファーや定額制のオファーは違法になりました。しかし、法律の文言は非常に曖昧で、これらの行為の広告が違法なのか、それとも行為そのものが違法なのかさえはっきりしていません。売春店はもはや価格を設定することはできず、女性(ドイツ語を話さないことが多い)が交渉することになっています。以前は、いくつかの売春店では、性行為の写真と価格が掲載されたラミネート加工された「メニュー」を持っていて、買い手は、自分が望むものを指で指していました。

 被害者が証言しなくてもピンプが処罰を受けるのは、売春者保護法(ProstSchG)の一部ではありません。それは、ドイツが人身売買に関する2011年のEU指令を無視したためにEUから圧力を受けて2016年に成立させた人身売買に関する法律の一部です。それが役に立つかどうかは、まだわかりません。ドイツは、何が「強制力(force)」を構成するかについて非常に狭い法的定義を持っているので、人身売買を証明するのは依然として非常に困難なままです。

 今では必要になっている営業許可書に関しても、二面性があります。一方では、より貧弱な店はつぶれていきます。多くのアパートやミニ売春店が、免許や登録が必要なために閉店していくでしょう。これには良い面もありますが、立地(ほとんどが工業地帯)とビジネスの両面で業界が集中することも意味しています。小規模な売春店はつぶれていきますが、パシャ(Pascha)やパラダイス、シーザーズ・ワールド(Caesar’s World)のような大規模売春店はこれらの規制に問題なく対応しています。ある意味、売春の「中間層」が最も狙われているのです。しかし、以前にも同じことがあって、「スタジオ」が売春店や路上でのはるかに安い価格設定に対抗することができなかったため、つぶれていきました。このすべてから利益を得ているのは、巨大売春店のオーナーたちです。

 そして、もちろん、国民は、今では事態が十分に規制されていて、すべてがうまくいっていると思わされています。もちろんそうではありません。

FS:この法律では、被買春女性が人身売買されていることを客の側が知っていた場合、その客を処罰することになっています。また、被買春女性との面接では、登録された売春者が人身売買されているかどうかを判断することになっています。その被買春女性が人身売買されているかどうかを確実に知る方法があると思っていて、それを買春客が本当に調べようとすると考えるのは、はたして現実的なのでしょうか?

IK:もちろん現実的ではありません。警察や真面目な人権擁護団体はみな、人身売買の被害者を特定するのは難しく、人身売買を立証するのはほとんど不可能であることに同意しています。18~21歳の女性を売春に勧誘したり、売春店に送ったりすることは、常に人身売買としてカウントされるため、「強制力(force)」に関する特別の証拠は必要ではありません。そのせいで、犯罪統計ではこの年齢層がより高い割合を占めることになっています。この数字は問題の真の規模を示すものでは何らなく、一部の人に関しては証明しやすいという事実を示しているにすぎません。

 人身売買の被害者はしばしば、自分を責めたり、家族によって人身売買されていたり、ある種の義務や連帯感を感じていたり、人身売買業者の言う「愛」を信じて、自分の置かれている状況を隠したりしています。また、多くの人々が家族の安全を心配しています。

 買い手が人身売買に関心を持ったり、積極的になったりしたという証拠はありません。スコットランドのホットラインでは、1年間でたった1人の男性からの電話があっただけです。2006年のサッカーワールドカップに向けて政府が主導し、FiM(「女性の権利は男性の権利」)によって実施されたキャンペーンは悪い結果をもたらしたと思います。インターネット上の買春者のフォーラムを読むと、彼ら自身が警察に連絡しようとは夢にも思っていないこともわかります。せいぜい、「誰かが何かするだろう」という漠然としたコメントをする程度です。そして、彼らが心配しているのは、売春店を利用したことでトラブルに巻き込まれることです。

 登録して書類を受け取った女性が人身売買の被害者と認定された場合にどうなるのか、また書類を渡した事務所に何か影響があるのかどうかもわかりません。このような場合、実際には州の役人が人身売買と結託していたことになります。

 このようなケース〔人身売買〕で買春客が処罰される恐れは、一定の抑止効果があるかもしれませんが、同法の文言は、買い手が「彼女の置かれた状況を利用する」となっていて、ドイツの法律では、これは買い手が「故意に」利用することを意味します。ですから彼女が足に手錠をかけられて助けを求めて叫んでいる姿が記録されているのでないかぎり、法廷では通用しないでしょう。そもそも裁判になればの話ですが。

FS:新法では乱交プレイや「定額制」の売春店は禁止されています。しかし実際には、いくつかのサイトでは乱交プレイや定額制の広告がまだ出ていると読んだことがあります。Erlelebnis Wohnungというドイツの売春店は乱交プレイ専門でさえあります。これについてどう思われますか?

IK私たちは時々ウェブサイトをチェックして、そのことについて警察に連絡すると、彼らはそれを書き留めて、売春店を訪問したり、広告の停止を要求することができます。

 警察に注意を促して、他の規制が遵守されているかどうかを詳しくチェックさせることができますし、理論上は、売春店に強制捜査に入ることもできます。コンドームなしのセックスの広告についても同様です。

 また、コンドームなしのセックスがまだ可能な場所で情報を交換している買春客を見つけたときには、警察に連絡します。ドイツではカトリック教徒が避妊をしないことは誰もが知っているので、コンドームなしのセックスには、「カトリックのサービス」とか「彼女はカトリック」などの暗号が使われています。

 その後どうなるのかは、私たちにはわかりません。警察の対応しだいでしょう。私が言ったように、ミュンヘンは厳しいことで知られています。市民社会の活動家は法律を利用して警察に売春店への圧力をかけさせることができます。しかし、それには政治的な意志と市による財政保障が必要です。

FSまた、新法では、買春客にもコンドームの着用が義務化されました。このルールは本当に守られるのでしょうか? そして、コンドームを着用しているかどうかの検査がまったくできないことを考えるなら、それはそもそも適用可能でしょうか?

IK基本的には売春店しだいになるでしょう。2017年の7月初め、客が性交中にコンドームを取り外したことで、売春店の経営者が警察に通報したという事件がありました。その客はコンドームなしでのセックスを求めてあちこち回ったそうですが、女性は全員断っていたそうです。その後どうなったのかはわかりません。彼の弁護士によると、つけっぱなしにしていなければならないことを知らなかったとのことで、州検察は法律違反だと言っていました。

 この男性は実は難民申請者で、私の直感では、売春店はその人種差別ゆえに彼(とその他の難民申請者)を排除することを望んでいたのではないかと思います。理論上、法律はここで助けになることができます――女性にとってそのことを訴えるのは簡単です(買春フォーラムの多くの客たちは、今後コンドームを使わなければならないことに悲鳴を上げています)。何といっても、彼女は買春客を法廷に引き出したい場合には、自分の体内に証拠を持っているのですから。

 しかしここで問題が生じます。そもそも警察に相談することが知られているような売春婦を誰が使用するのかということです。この法律のこの部分の公式の理由は、買春客への強いシグナルであるということです。また、売春店の経営者は着用義務を宣伝しなければならず、コンドームを提供しなければなりません。

FS:組織犯罪と売春との関連性、特に売春店に人身売買された女性を供給する際に暴走族が果たしている役割について教えてください。また、組織犯罪と人身売買との関連性は、この法律の影響を受けているのでしょうか?

IK警察と法執行機関は、犯罪組織(外国人によるものと地元暴走族によるものの両方)が売春に非常に積極的で、多くの都市で実際に彼らがそれを運営しているという点で意見が一致しています。売春店の経営に関する新しい規制は、これを最小限に抑えるためのものだとされており、ギャングのメンバーや犯罪歴のある者(用心棒を含む)は、この業界で働くことを禁じられています。その効果があったかどうかを言うのは時期尚早です――法律が施行されて1年がやっとで、一部の場所では2018年7月まで実施されていませんでしたから。

 警察の言うところでは、警察の側の主な問題は人手と資金であり、法廷での結果がわずかで、最小限のものでしかないことです。警察が何年もかけて捜査をしたのに、被告人が自由の身になったり、罰金や短い刑期ですんだり、しばしば保護観察のような、非拘束刑ですむことが多いのです。もう一つの問題は、強要の証拠を提出することの難しさです。

 2001/2002年の法律に続いて、人身売買とピンプに関する法律も改正されました。ピンプ行為は「搾取的」なものを除いて非犯罪化されましたが、「搾取的」という言葉は法的には定義されませんでした。つまり、判例法に委ねられていて、現在は部屋代や税金を払った後の収入の50%と定義されています。しかし、これは現金中心の経済では証明の難しいことです。その上、彼女が自発的にピンプに渡したのかもしれないし、ピンプがそれを共通の将来のために、あるいは故郷の家族のために払ってくれると思ったのかもしれません。

 しかし、「強制力」も証明されなければならず、恥ずべきことの一つは、それが24時間売春に留まらせるために頭に銃を突きつけることを意味しそうなほど狭い定義になっていることです。性的搾取を目的とした人身売買もまた、「搾取」という未定義の用語が至る所で使われるようになりました。新しい人身売買法が役に立つかどうかは、まだわかりません。

 しかし、ドイツの最高裁判所であるBundesgerichtshof(BGH)は、ナイジェリアの一部の村や地域の女性の状況は、それ自体が「強制力」を構成するほど悲惨なものであると判断したため、ナイジェリアの同地域の女性たちは、証言しなくても人身売買の被害者とみなされています。そのため、ヨーロッパでの在住権を獲得できますが、ダブリン協定により、最初にEUに入った国、通常はイタリアに強制送還されてしまいます。そして、彼女たちが最初に売春に駆りたてられたのはイタリアにおいてであり、そこにはギャングのメンバーが待ち構えており、ここよりもずっと条件が悪いのです。

 現在の保守政党や警察のアプローチから判断すると、もしドイツがスウェーデン型立法を採用した場合、法的な正当化根拠は「人間の尊厳」(ドイツでは非常に個人主義的に定義されており、実質的に無意味)でも、「平等」(ドイツ人には概念として理解されておらず、結局それは男性にとって女性を買うことは合法だということです)でもなく、「犯罪防止」ではないだろうかと思います。

 私の考えでは、売春は原発のようなものであり、この産業は全体的にリスクがあまりにも高く有害であるため、廃止されなければならないのです。

 彼らはたしかに女性のための既存の支援について語っていますが、私たちが目にしていること、そして私が心配していることは、フェミニスト的で真に社会主義的な分析が後退して、「法と秩序」やパターナリスティックなアプローチに取って代わられつつあるということです。それがスウェーデン・モデルを手に入れる唯一の方法だとすれば、何もないよりはましだと思います。マンフレート・パウルスのように、そのような観点からスウェーデン・モデルを擁護する人たちの多くは、本当に献身的で、まっとうな人たちですが、私はフェミニストとして、左翼として、私たちの分析が失われていくのを見ていると、残念に思います――それは、離脱支援が短期的になり、社会や男女の関係を変革するチャンスを失うことを意味します。

FS:この法律は、ドイツのメガ売春店やパラダイスやパシャのような売春店チェーンにどのような影響を与えているのでしょうか?

IK先ほど説明したように、これらの巨大チェーン店は、小規模な風俗店が市場から駆逐されることで利益を得ています。

FS:Peppr や Ohlala のような、ドイツの実験的なオンラインサービスについて教えてください。ウーバーのような技術を使って被買春女性に接触させるというものですが、これは仲介者なしで売買春をしていると言われています。これによって、地元業者によって囲い込まれていない世界的な売買春市場が生まれると思いますか?

IK私はそれについてのより多くのものを読まなければならないでしょう――しかし、私の直感では、これらの試みは、この国での独立した「エスコート壌」の数と買春客のイニシアチブの両方を過大評価しています。売春店やストリートは角を曲がったすぐのところにあるというのに、また、エスコート店〔デリヘル〕は売春店のサイトやフォーラムで広告を出したり、独自のウェブサイトを使用しているというのに、なぜそのような独自のアプリを使用したりするでしょうか?

 地元業者によって囲い込まれていない世界的な市場の創出ということに関してですが、Peppr や Ohlala のような方式はニッチ市場を埋めるだけではないかと思います。そのため〔売買春の世界市場をつくる〕には、それを組織し、広告を提供し、オファーを整理し、苦情を処理する等々をこなす仲介者が必要です。いずれにせよ、その時にはすでに、Peppr や Ohlala が仲介者になっていることでしょう。

FS:この新法の目的は 売春を道徳化して クリーンにすることだとされています。「クリーン」な売春という概念についてどう思いますか?

IK私としては、苦々しい辛辣な皮肉を言うことができるだけです。「クリーンな売春」という概念が、緑の党や左派、社民党の多くに広まって以来、私たちはそれを「バイオ売買春」とか、フェアトレード売春婦(つまりセックスワーカー)をともなった有機売春と呼ぶようになりました。これらは、有機農業の論理を売春に引き移したものです。しかし、どんなに素敵な農場でも、有機牛の飼育、豚の飼育、鶏の飼育であっても、その結果は明らかです。

 新法は、売春を産業として少しでも持続可能なものにすることを目的としており、ドイツのアプローチや信念と合致しています。ドイツは国家として、円滑な行政と持続可能な搾取を信じていますが、トランプやサッチャー的・レーガン的人物の無作法さに顔をしかめています。

 「クリーンな売春」という概念には、ある暴力が追加されています――表現の暴力がそれです。暴力が目に見えるところで、私たちの目と鼻の先で起きているのに、表現の中でそれが否定されている場合、それはまったくのシニシズムです。そこに暴力が存在することを否定しながら、暴力行為を報告するのは卑劣です。それはまた、権力関係、すなわち、女性よりも階級としての男性、貧乏人よりも金持ち、人種差別された人々よりも白人、中心と周辺の関係をカモフラージュするものでもあります。

 児童労働や代理出産の合法化にも同じレトリックと戦術が適用されており、それを人身売買にも適用しようとする試みが行なわれていますが、人身売買は、悪い人身売買と、「非正規労働者の移動という文脈での小口融資に関わる限定された主体性を用いる合理的な決定」とに分けられています。それは1980年代の新自由主義の勝利から出てきたもので、仕事を失った労働者が「押しつけがましい労働関係から自由になっている」と描き出されました。

 2001年売春法(Prostitutionsgesetz)の当初の目的のうち、一つだけが達成されています。それは、これまで違法であった性売買や大規模売春店からの莫大な利益を合法化し、一般経済に投資できるようにするための立派な建前を提供することです。

 売買春支持派はスウェーデンを指して、大規模で暗い地下売春システムがあると言いたがっていますが、ドイツでは数十万人単位で売春をしている人々がおり、その数を把握することさえできません。

 「クリーンな売買春」という考えがもたらすのは、爆発的な市場拡大です。それはシステムとしての売買春と結びついているすべての問題が爆発的に引き起こされることを意味します。男女間の不平等はいっそう強化されます。うっ憤を晴らしたいと思う男たちは誰でも売春店に行き、なんでも思いついたことを行動に移すことができます。私たちの国家は、男性の欲求が命令であると考えており、男性が24時間365日、金さえ払えばいつでも女性に性的アクセスすることができるよう、しかるべきインフラを供給しなければならないと考えているのです。しかもそれは賞賛されさえしているのです。

 女性たちを売春へと引き入れる要因としての貧困は温存されています。それは性産業のための資源なのです。暴力や性的虐待に対抗するための支援を家族、女性、子供から奪うことも、この産業のための資源です。これらの問題に関する私たちの法律とその実施(の欠如)を見てください。これらの問題に誰も対処したがっていないことは明らかです。

 もちろん、市場が爆発的に拡大するということは、どのようなグループがそれをめぐって盛んに議論しようとも、HIVを含む性病や肝炎などの感染症がいっそう蔓延することを意味します。巨大な市場は、蔓延を抑えるためにどのような措置がとられようとも、小さな市場よりもこのようなことが起こるでしょう。人身売買についても同じことが言えるのであり、このことは証明されています。

 そして、売春の質、すなわち売春の種類にも影響が出てきます。買春や売春店の経営が容易になったため(2001/2002年の法律でそう規定され、現在の法律ではよりシステマティックになっています)、この市場は底が抜けたものになりました。ポルノと同じように、より残忍でより安価なものになり、買い手にとってはより容易になったのです。

 ですから、「合法だから安全だ」という考えを云々する人々は誰であれ、まったく誤っています。売春が存在するためには暴力が必要だからです。

 このインタビューはもともとフランス語で以下のサイトで発表された。Révolution Féministe website.

出典:https://nordicmodelnow.org/2019/01/13/prostitution-law-in-germany-regulation-for-taxation/

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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