ニューヨーク市長が警察改革を口実に売買春の非犯罪化を提案――CATWが抗議の声明

【解説】ニューヨーク市長デブラシオ(民主党)は、フロイドさん事件によって起こったBLMをきっかけに警察改革を求める強い世論に押されて、警察改革・再建協力計画なるものを策定しました。この改革プランは、2021年3月25日に市議会で承認され、クオモ知事の承認を得るために知事に送られました。

 しかし、この計画案の中には、性売買の非犯罪化、買春者と搾取者の非処罰化を推奨する一文が含まれており、この計画が実行されれば、警察は事実上、性産業(法律上は依然として違法である)を取り締まらなくなるでしょう。実際、リベラル派の強い他の自治体ではすでに、警察が売買春に関わる法執行をしないようになっており、性産業が事実上、非犯罪化されつつあります。法律で正式に非犯罪化することが難しいと考えた民主党=リベラル派は、コロナ危機と警察改革の世論をうまく利用して、性産業と買春者たちが長年求め続けてきた売買春の非犯罪化を事実上実現しようとしているのです。

 どさくさにまぎれて推し進められているこのような計画に対して、「女性人身売買反対連合(CATW)」をはじめとするアボリショニスト団体はあいついで抗議の声明を発表しました。以下に、CATWの声明を訳出します。

ニューヨーク市長ビル・デブラシオは、性売買を非犯罪化し、ニューヨークをセックスツーリズムの目的地にする法律を推奨している

「女性人身売買反対連合(CATW)」は、ニューヨーク市警の計画の中で、性売買の買春者や搾取者の非犯罪化を是認する部分を削除するよう市長に要請した。

ニューヨーク、2021年3月30日

女性人身売買反対連合(CATW)

「女性人身売買反対連合(The Coalition Against Trafficking in Women)」の事務局長テイナ・ビエン・アイメは、3月25日にニューヨーク市議会で承認された「警察改革・再建協力計画(POLICE Reform and Reinvention Collaborative Draft Plan)」の中の政策提案を受けて、以下の声明を発表した。

 ビル・デブラシオ市長が策定したこの計画には、「公正、正義、透明性、説明責任のある警察活動」の発展に関する36の提案がなされており、現在パブリックコメントに付されている。その第2部は、「セックスワークに関するプログラム、サービス、非犯罪化に関する提案を検討し、洗練させる」ことを求めている。「セックスワーク」とは、売買春を含む性産業の婉曲表現であることを市民は知るべきだ。デブラシオ市長は、この計画を通じて、事実上、性売買の非犯罪化を支持している。これは、買春、セックスツーリズム、商業的性風俗施設、第三者による利得行為を後押しするものだ。この計画は、売春を合法的な「仕事」として認め、性産業を、ニューヨークで最も弱い立場にある人々の有力な雇用主として認めるという、デブラシオ市政の立場にもとづいている。

 ニューヨークは、人権保護を目的とした国際条約を批准している国連の本部があることを誇りに思っている。「人身取引、特に女性と子どもの人身売買を防止、抑制、処罰するための議定書(人身売買に関する議定書)」は、米国を含む各国政府に、人身売買につながる搾取を助長する需要をターゲットにした、立法的、教育的、社会的、文化的措置を実行することを義務づけている。買春者による売春需要が人身売買の資金源となっている。デブラシオ市長は買春者を法の責任からいっさい免れさせようとしているが、これはこの国際原則に反するものだ。

 米国をはじめとする世界各地で、人身売買を防止するための法律が制定・検討されているなか、デブラシオ市長は、性産業の爆発的成長をもたらすような法律を提案しているのは、悲劇的なことだ。私たちは、被買春者にサービスを提供することを支持し、彼女たちの逮捕や投獄をやめるよう求めている。しかし、新型コロナ・パンデミックがもたらしている悲惨な影響を考慮すると、デブラシオ市政が提案しているのは、最も疎外され最も選択の余地のない人々への性的アクセスを男性が自由に購入できる合法的な市場を創設することである。

 数十億ドル規模のグローバルな性売買は、買春者だけでなく、ジェンダー的・性的不平等、経済的不平等、人種的不平等に依存して機能している。世界的な傾向を反映して、権利を奪われた黒人、ラテン系、アジア系の女性と少女、トランスの女性とトランス青年は、ニューヨークで売買されている性産業に圧倒的に多く参加している。ニューヨークで性売買を合法的な収益事業とすることは、時代に逆行し、私たちの歴史の最も暗い遺産を思い起こさせるものだ。

 性売買のサバイバー、女性の権利擁護者、人身売買防止団体、直接のサービス提供者などが、市長とその関係機関にこれらの人権侵害について啓蒙するために、何年にもわたって無数の努力をしてきたにもかかわらず、彼らは、性売買のメカニズムや、それが買春され人身売買された女性や少女に与える生涯にわたる被害について、いまだに理解していないのだ。

 CATWとその提携団体である「ニューヨーク州反人身売買連合」「平等モデルのためのニューヨーカー」などの諸団体は、性売買の非犯罪化と買春者と搾取者の不処罰を支持する計画の第5節をただちに削除するよう求める。

※「女性人身売買反対連合(CATW)」は、世界中で女性と少女の人身売買および性的搾取をなくすために活動している最も古いNGOの一つです。女性の権利と人権の原理に根ざしたアプローチを通じて、強力な法律と政策を提唱し、社会の認識を高め、サバイバーのリーダーシップを支援しています。www.catwinternational.org

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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