ジュリー・ビンデル「ピンプと買春者の組合」

ジュリー・ビンデル

『truth dig』2017年5月19日

【解説】以下は、2017年にイギリスのラディカル・フェミニストのジュリー・ビンデルさんが、「セックスワーカーの組合」なるものの実態について、世界各地を取材して書いた非常に有益な記事です。

  カンボジアの「セックスワーク組合」

 2015年夏、カンボジアへの調査旅行中、資金の潤沢なNGO団体を訪問した。同団体は、東南アジア最大の「セックスワーカーの組合」を運営していると称していた。プノンペンで私は、この「セックスワーカー」組合のメンバー(そう私は言われた)である女性たちのグループと会って話を聞く場をセッティングした。この組合を立ち上げたのは「団結のための女性ネットワーク(WNU)」である。WUNは現在、投資家ジョージ・ソロスによって創設された数十億ドル規模の財団であるオープン・ソサエティ財団から資金提供を受けており、明確に売買春支持の立場である。

 私たちの会合は朝の8時に設定された。私は、カンボジアの別の女性NGO団体から1人の通訳を連れて参加した。会場に着いて驚いたのは、WNUの役員(女性)もそこに参加することになっていたことである。

 女性たちがやって来た。彼女たちは、夜通し買春者やピンプの相手をしてきたにもかかわらず、暖かく、率直で、買春者や警察からこうむってきた暴力や虐待について熱心に語ってくれた。

 しかし役員は頻繁に話をさえぎり、しばしば彼女らの代わりにしゃべった。「この組合にいてよかったことは何ですか?」と私が尋ねると、その役員は代わりに答えた。「警察に殴られる場合に備えて、彼女たちは自分たちの権利について法的訓練を受けています。逮捕された場合には、WNUは、彼女らが働けないあいだ食料を差し入れます。女性たちの誰かが死ぬと、棺桶を買うのを助けます」。役員は「自分たちの権利を知ることこそが彼女らをエンパワーするのです」と結論づけた。

 だがこれらの女性たちがエンパワーされているようには見えなかった。1人は公式の身分証明書を買うための200ドルさえあれば売買春から抜け出すことができるのにと語った。なぜならそれだけが、サービス産業や工場の中で正式の雇用を手に入れることのできる唯一の方策だからだ。他の女性たちも、それこそが自分たちが必要とし欲しているものだと口々に語った。売買春はいやでいやでしょうがないと彼女らは言った。

 WNUの代表者たちは、カンボジアの6500人の「セックスワーカー」を登録しており、「セックスワーカーの権利」のために闘っていると言う。通訳から聞いたところでは、私が会って話をした女性たちの誰も、自分たちのしていることを言いあらわすのに「セックスワーク」という言葉を使わなかった。この言葉を使っているのはWNUである。WNUの目標の一つは、「セックスワークを取り巻くレトリックに挑戦すること、とりわけ反人身取引運動やセックスワーカーの『更生』に関わるレトリックに挑戦すること」。女性たちはみな、どこに行けば自分たちが今いる地獄から脱け出すための助けを得られるのかと私に尋ねた。ところが、WNUの役員たちや有給のスタッフたちはカンボジア各地を旅行して、「セックスワーカーの権利」会議で発言し、搾取されている当事者の女性の声を歪めている。

 カンボジアの被買春女性たちは、どれほど彼女らが売買春を嫌悪しているかをはっきり私に語ってくれた。例の女性役員が言うところでは、他の「セックスワーカーの権利」活動家たちといっしょに全国会議に出席し、カンボジアの「数万人」の「セックスワーカーたち」が、このいわゆる組合への参加を申し込む署名をしたとのことである。だが、私が話をした女性たちは、自分たちが「セックスワーカーの権利」活動家であるなどとはまるで考えていなかった。

 WNUは、組合化と非犯罪化こそが――売春が公式に労働であると認められることによって――あらゆる問題を解決するだろうという思想を推し進めるために、これらの女性たちのつらい経験を利用している。実際には、これらの女性たちが語ってくれた最悪の暴力は買春者によってなされているのである。このNGOは、「セックスワーカーの権利」という概念を、女性たち自身の生活や生命よりも重要なものであるとみなしていた。私はこの役員に、女性たちが売買春から脱け出すのを助けるための資金集めをする計画がWNUにあるかどうか尋ねた。「ありません」、彼女は答えた。

 カンボジアでの売買春に関するドキュメンタリー、『(セックスワーカーは叫ぶ)救済ではなく権利を in カンボジア』は、6400人のメンバーを要するWNUと映画製作者のポーラ・ストロンバーグとの協力にもとづいて製作されたと銘打たれている。

 WNUのコーディネーターはこのドキュメンタリー映画のためにインタビューを受け、次のように述べている。「WNUはセックスワーカーの自発的結社です。成人の女性、男性、トランスジェンダーの。私たちは働くことを選んでいます。私たちは被害者ではありません。私たちは人身取引されていません。誰も私たちを所有していません。私たちの誰にもピンプはついていません。いかなる売春店も私たちを奴隷化していません。私たちは救済される必要がないのです」。

 この発言の真偽を確認するのは非常に大変だった。カンボジアで被買春女性、ピンプ、売春店オーナーに取材するのに多くの時間を費やした。

 私はローラ・ストロンバーグとEメールでやり取りしたが、その中で彼女はこう書いている。「私は一カナダ人として、ここカンボジアでセックスワーカーの声を代弁するのはおこがましいと感じました。まさにここにセックスワーカーたちの抱える問題の根源があるのです。誰もがこれらの人々について語りたがりますが、これらの人々の声に耳を傾けたがる人はほとんどいません」。しかし、私がカンボジアで発見したのは、まさにWNUが「セックスワーカー」の代わりに語っていることだった。この団体は文字通り言葉を女性の口に押し込んでいた。

  イギリスとアムネスティ

 カンボジアを訪問する以前から、セックスワーク派ロビー団体の常套手段は私にとって非常におなじみのものだった。ピンプ主導の団体を「セックスワーカーの組合」として提示するという戦術である。2002年には、ロンドンのある新聞〔『イブニング・スタンダード』〕の一面に次のような見出しが躍った。「セックスワーカーは労働組合に加入しよう」。売買春を「労働」であると公的に宣言するためのキャンペーンがイギリスでピンプとその支持者たちによって組織されていることは以前から聞いていたが、それでも、立派な労働組合がこのような厄介な選択をしたことには驚いた。

 イギリスの3番目に大きな組合であるGMB(都市一般労組)(創設は1889年)は、性売買の合法化をめざすロビー団体に説得されて、売買春は一個の仕事であり、セックスを売ることは「労働者の権利」に値するという立場をとった。2002年1月、鳴り物入りで、アダルト・エンターテイメント支部がGMBによって正式に承認された。

 アダルト・エンターテイメント支部の出発点は国際セックスワーカーズ・ユニオン(IUSW)である。これは、売買春に関わっていなかった2人の学者の創造物である。IUSW――これは現在主としてウェブサイトで活動している――が組合であったことはなく、ピンプ行為の非犯罪化をめざすロビー団体であった。学者、買春者、ピンプはIUSWのメンバーとして歓迎されるが、そのより左翼的なメンバーの1人が組織に逆らって、組織の秘密を私に漏らしてくれた。

 最初の時期、2人のゲイ男性がIUSWの中心的なスポークスパーソンだった。彼らは、自分たちのかなり偏った見解を「セックスワーカーの権利」論争における支配的なものに押し上げた。その1人がダグラス・フォックスであり、彼はイギリス保守党の活動家で、北イングランドを基盤とする大手の「エスコート売春会社」の共同創設者であり、また、アムネスティUKの活動家でもあった。2008年、彼はアムネスティ・インターナショナル(AI)の年次総会の場で性売買の包括的非犯罪化の動議を提出した。この提案は7年後にアムネスティ・インターナショナルの国際方針となった

 ティエリー・シャフハウザーはティーンエイジャーのときにパリの街頭で売買春を開始し、その後イギリスに居を移した。シャフハウザーは「セックスワーカーの権利」運動に関与し、ロンドンに移動してIUSWに加わり、まもなく委員長の地位にまで出世した。しかし、シャフハウザーはフォックスが組織の公的な顔であることに不満を感じていた。それで、彼の見解について私に話さないよう警告を受けていたにも関わらず(他のメンバーは、私が新しいニュース記事のためにIUSWを調査していたことに気づいていた)、録音されたインタビューを私に渡してくれた。このインタビューが一つのきっかけになって、シャフハウザーはIUSWから叩き出された

 ロビー団体は「セックスワーク」という言葉を使うが、それは直接セックスを売っている当事者だけでなく、ピンプ、売春店オーナー、ポルノの制作者と販売者、売春店の警備員、性売買推進者、さらに売買春について研究する学者、あげくのはてはタクシードライバーや広告業者まで含めるためである。

  北半球から南半球へ

 アムネスティ・インターナショナルが非犯罪化を支持し、その他のいわゆる人権団体が富裕な西側諸国において性売買の非犯罪化を提唱するに至ったことは、南半球における性売買の政策や立法に重大な影響を及ぼすことになった。

 オランダで、私は、今は亡き「セックスワーカーの権利」団体である「レッド・スレッド」を調査したことがある。同組織は崩壊するまで組合という仮面をつけていた。1984年に創設されたレッド・スレッドは、1987年以降オランダ政府から資金援助を受けてHIV/AIDSと闘う使命を担った。レッド・スレッドは、政府からの資金援助を失った4年後の2009年に閉鎖された。

 しかし、その最盛期でも、レッド・スレッドは、オランダ全土で2万5000人いると推定されている被買春者のうち、わずか100名のメンバーしか擁していなかった。同組織は法廷で「労働者」を代表して裁判を闘ったこともなければ、買春されている個々人の「労働」生活に何らかの具体的な改善を実現したこともない。それは売買春合法化のためのプロパガンダ・マシーンであり、複雑な社会問題に対するアプローチにおいてオランダが「最先端」にいるように見えるために活動していたのである。レッド・スレッドが政府からのバックアップを失ったのと同じころ、国際メディアは、オランダにおける売買春の合法化が純然たる災厄であったことを示す証拠について報道しはじめた。

 しかし、〔非犯罪化論の蔓延による〕ダメージはすでに深刻なものになっていた。真に植民地主義的な精神にもとづいて、北半球で非犯罪化キャンペーンを展開していた連中は、女性の開口部のレンタルを合法化し組合化することが女性にとっての利益になるのだと、活発なプロパガンダ・マシーンを操って吹聴していたのだが、その影響は南半球にまで広がっていたからだ。

 インドでは、セックスワーク派のNGO団体は同じ戦術を採用し、客待ちで売春店の外に立つ女性たちに「赤い傘」――「セックスワーカーの権利」運動の象徴――を与えた。この種のNGO団体が望んだのは、コルカタ〔旧カルカッタ〕のソナガチ――インド最大の売春街――の周辺を赤い傘を持って行進することである。「この運動を仕切っているのはピンプであり、被買春女性にはノーと言う選択肢はありません」。このように、インドで人身取引の根絶のために活動している団体「アプネアープ・ウイメン・ワールドワイド」の創設者であり代表理事であるルチラ・グプタは言う。

 「1990年代末のある日、ソナガチの周辺で、『セックスワーカー』として発言する女ピンプを目にしました。自分たちは、組合を作って職場での労働者の権利を守ることで売春店の中の女性たちをエンパワーしているのだ主張していました」とグプタは言う――「しかし、売買春の中にいる女性たちは何の権利も持っていませんし、『組合』は単に合法化を求めるピンプたちを助けているだけです」。グレゴール・ガルはイギリス在住の学者で、その専門はセックスワークの「組合化」である。彼はこのテーマで2冊の本を書いたのだから、彼が実際に調査をしたことは明らかである。そこで私はガルに、ピンプが主導するまがい物の「組合」に出くわしたことがあるかどうか尋ねてみた。彼はインドにそういうものが存在することを認め、南半球の至る所にそういうものが存在する可能性を認めた。

 「そこ(おそらくムンバイのこと)には、売春婦を意味するホステスのための組合が存在します」とガルは言う――「しかしそれは、セックスワーカーではない1人の人物によって立ち上げられたものです。……そして、バーのオーナーたちがそれに資金を提供しました。というのもバーが閉鎖されそうだったからです」。

 「コレクティブ」のような名称〔「セックスワーカーズ・コレクティブ」のように団体名に「コレクティブ」を付ける場合が多い〕は、組合を称する組織の本性を覆い隠している。これらの組織は実際には、買春男、ピンプ、売春店オーナーの利益のために存在しているのだ。

  南アフリカ

 SWEAT(Sex Workers Education and Advocacy Taskforce)は南アフリカにおける主要な売買春支持派NGOである。設立されたのは1990年代で、設立したのは、「セックスワーカーの権利」活動家の2人の白人だった。ゲイの男性セックスワーカーであるシェイン・ペッツァーと、女性臨床心理学者のイルゼ・ポーである。他のあらゆる売買春推進派のNGOと同じく、SWEATは、性売買の非犯罪化を主張するために人権という国際的言語を用いている。

 「彼らのリーフレットを見ると、そこには幸せそうに見える女性たちの漫画が描かれていました」と最近性売買から脱出した1人の女性は語った。2016年のケープタウンでのことだ。「そして、その登場人物の口から出ている吹き出しには、『組合は私を守ってくれる』とか、『他の誰とも同じく仕事を楽しむことができる』というセリフが書かれていました。売春をやめようと思っていた私は、気まずい気持ちになりました。売春を楽しめないなんて、私に何か問題があるに違いないと思ったのです」。

 SWEATは2000以来、性売買の非犯罪化のためのキャンペーンを積極的に展開している。

 「彼らにとっては、セックスを売ることは単なる主体性〔の発揮〕であり、単なる仕事、『セックスワーク』なのです」、こう言うのは、かつてSWEATでボランティアをしていたジェンダー研究の学生ドゥドゥ・ヌドゥロヴである。「アパルトヘイト廃止後の南アフリカにおいて黒人女性であること、売春者であることで、自分がまったく取るに足りない存在であると気づかされます。なぜならすでに解放されていると想定されているからです。SWEATは、売買春はあなたの個人的選択だと言います。そして、私の選択とあなたの選択とのあいだには何の違いもない、と」。ヌドゥロヴァは続ける、「これは笑うべきことです。なぜなら、あなたは西欧に住む白人女性であり、私は南アフリカの黒人女性だからです」。

 この種の自称「組合」の多くは、資金提供者にとって魅力的に見えるよう、セックスワークの権利組織として設立されたと称する。

 カンボジアのWNUに資金提供しているジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団は、「セックスワーカー」の組織化と自立性の達成を助けていると称する組織に非常に親切な団体の一つだ。オープン・ソサエティ財団はSWEATにも、また南半球の他の売買春推進派のNGO団体(ケニア、カンボジア、インドなどのそれ)にも気前よく資金を提供している。

 ミッキー・メジは性売買のサバイバーで、ケープタウンで、売春をやめたい女性たちのために離脱サービスを提供している。ケープタウンを訪問した際、私はメジに、性売買を組合化することが可能だと思うかどうか尋ねてみた。「無理です」とメジは言った――「なぜなら南アフリカにおける労働組合は、私の知るかぎり、労働者として認識される人々を代表するものだからです」。メジは、南アフリカにおける家内労働者のことに触れた。これらの労働者はしばしばひどい扱いを受け、賃金が低く、雇用主によって虐待されていたが、2000年代初頭まで、被雇用者としての権利を持っていなかった

 「労働者として法的に認められる以前にも組合を結成することができます」とメジは言う――「〔家内労働の場合は、ある家庭が〕『家政婦(house help)』を雇うところから始まります。まず雇い主がいくら支払いたいかを決め、その上で労働者はそれを受け入るかどうかを決めます。そして最後に、組合化を通じて、労働者は自分たちの権利を雇い主に認めさせるために闘うのです。『家政婦』になることは刑事上の犯罪ではありません。そこが違う点です。さもないと、密輸業者と人身取引業者の組合から始めることになるでしょう」。

 私はメジに売買春が合法化されたらどうかと尋ねた。たとえ刑事上の処罰規定がすべてなくなっても、売春者であることのスティグマはけっして売春女性からはなくならないだろうとメジは言う。「いない人々を組合化することができるでしょうか? 彼女たちは行進するときマスクをかぶります。隠れたがっており、匿名であることを望んでいます。そういう場合にどうやって組合化するのでしょうか? 私たちの知っているあらゆる産業は、それがいかにひどいもの、ダーティなものであっても、人々は当事者意識を持っています。しかし、性産業の場合、女性は買春されることから真の『プライド』など得ることはできません」。

 カリフォルニア大学を拠点とする白人人類学者のジャネット・M・ヴォイチスキは、ミッキー・メジのようなブラック・アフリカンを宗教的原理主義によって動機づけられているとみなしているようだ。南アフリカのハウテン州〔首都ヨハネスブルクがある州〕における1990年代初頭から2000年代における売買春支持派の運動について論じた論文の中で、ヴォイチスキは次のような途方もない主張をしている。アパルトヘイト廃止後、「非犯罪化に反対する対抗言説が登場しており、これは宗教にもとづいており、また、セックスワークは『非アフリカ的』であるとする議論にもとづいている」。性売買が女性の不平等の原因であると同時に結果であるという論拠にもとづいてそれに反対している南アフリカのフェミニストは、ヴォイチスキによる議論から巧妙に外されている。性産業において組合化が不可能なのは、売買春が労働ではないからである。

 ベアトリクス・キャンベルは社会主義者のフェミニストで、古典的著作『ウィガン波止場再訪』(1984年)〔1980年代におけるイギリス労働者階級の貧困問題を描いた著作〕の筆者でもある。

 「売買春を労働だとする言説のすべてにおいて、その生産物は何であり、誰がその生産物を買い、このいわゆる購入者の関係性はいかなるものなのか、誰に対する誰の権力なのか」とキャンベルは言う――「これが、解明を必要とするこの種の言説のもう半面です。男性は、性を買っているとき、自分が何をしていると思っているのでしょうか?」。

  ロシア連邦

 ヨーロッパおよびアジアと国境を接しているロシア連邦は巨大な性産業が存在していることで有名であり、ピンプと人身取引業者のネットワークの中心地として知られている。

 イレーナ・マスロヴァは、ロシアにおける性売買の合法化キャンペーンを展開しているNGO団体「シルバーローズ」のコーディネーターである。マスロヴァは言う、「私の背後には(ロシア全土で)300万人のセックスワーカーがいます」。シルバーローズが設立されたのは2003年で、当初は小さな権利主張団体だった。2011年にたっぷりとした資金に恵まれるようになり(その一部はまたしてもジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団からのものだ)、ロシア全土で30都市に拡大した。

 「シルバーローズはむしろ支援者的役割を果たしており、セックスワーカーに対する暴力と差別の状況にストップをかけるため、組合化と団結の思想を推進しています」とマスロヴァは語った。売買春の中にいる当事者の何人ぐらいが彼女の「組合」に入っているのか尋ねると、「300万人のセックスワーカーが私たちの背後にいます」と繰り返すだけだった。

 しかし、いくら調べても、雇用をめぐって何らかの裁判闘争を展開したとか、売買春の組合化を通じて何らかの積極的な結果が得られたという証拠はまったく見つからなかった。ロシア連邦の各地で私はかつて買春されていた女性たちにインタビューしたが、彼女らの誰もこのような「組合」について知らず、ましてはそこから何らかの恩恵を受けたという話を聞かなかった。

  「労働者の権利」か人権か

 通常の労働者が直面する職業上の危険性は、性産業の中で女性たちが直面する危険性とはかけ離れている。ドラッグとアルコール濫用、「職場」での暴力、望まぬ妊娠、性感染症、死さえも、被買春女性の多くにとってごく日常の心配事であって、通常の労働者の場合のような非日常的な問題ではない。被買春女性に必要なのは人権であって、「労働者の権利」ではない。

 セックスワーク派のジャネット・ヴォイチスキはこう主張する。「……アパルトヘイト廃止後の時期におけるセックスワークとセックスワーカーに関して語られたり書かれたりしている中で用いられている言語を調べるなら、セックスワークの非犯罪化に向けた運動が全体として人権の言語にもとづいていることがわかるだろう。これこそ、アフリカ民族会議(ANC)の憲法で正式に承認されているものだ」。

 しかし、ANCの元活動家で、フェミニスト的反売買春(アボリショニスト)のNGO団体であるエンブレイス・ディグニティ(南アフリカ)の創設者であるノジズウェ・マドララ=ラウトレッジは、この点についてまったく異なった見方をしている。「私たちがアパルトヘイトと闘ったのは、抑圧を終わらせるためであって、アパルトヘイト廃止後も女性がこのようなタイプの抑圧と搾取をこうむり続けるためではありませんでした」とノジズウェは言う――「マンデラなら理解したでしょう。私たちが彼のもとに出向いて、彼の目を開かせたなら、彼は私たちの側に立ったことでしょう。私はそう本気で信じています。彼ならこう言うでしょう『南アフリカは、女性が抑圧されたままでいるかぎり自由ではない』と」。

出典:https://www.truthdig.com/articles/a-union-of-pimps-and-johns/

投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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