ノルディックモデル・ナウ「売買春の非犯罪化を求める左翼男性へのメッセージ」

【解説】以下の記事はやや古い2019年のものですが、状況はまったく変わっていないどころか、いっそうひどくなっているので、いっそう重要なものになっています。この日本では立川市での被買春女性に他する殺人事件をきっかけに、あろうことかセックスワークを普通の仕事と見なせというセックスワーク派の運動が起こっています。この事件は、性産業と買春者の非人間性、犯罪性、ミソジニーをはっきりと示すものであったのに、セックスワーク派は性産業のもたらすあらゆる被害を、性産業の完全合法化(非犯罪化)に利用しようとします。そして、多くの左翼がそうした女衒側の動きに賛同し、支援しているのです。以下の記事は、イギリスにも大勢いるそうした「左翼」男性たちに対して、ノルディックモデル・ナウの女性が発した切実なメッセージです。

Nordic Model Now!, 2019年7月19日

 1年ほど前、イギリス労働党の選挙区会議で売買春政策についての討論が行なわれた際、私たちはスピーカーを一人出すよう依頼されました。サバイバーの活動家であるレベッカ・モットがスピーチをすることになり、私は彼女をサポートするために参加しました。彼女のスピーチは力強く、明らかに何人かの人々に売買春に対する見方を変えさせました。ここでは、彼女の発言のごく一部を抜粋して紹介します。

 「私は屋内売春しかしたことがありません。神話上の安全な売春方法です。艱難辛苦を経てわかったのは、それはけっして安全ではないということです。屋内売春をするということは、私たちの身体への権利を持った見知らぬ他人といっしょの部屋に入れられることです。これらの客は、あらゆる選択の自由を持っています。自分が望むように暴力を振るうことも、自分がいい人のふりをすることもできます。買春者は、自分の暴力が何の処罰も報復も受けないこと、そして外部からの干渉もまったくないことも知っているのです」。

 討論会の後、有権者は北欧モデルへの支持を求める動議への賛否を求められた。賛否の投票は挙手で行なわれた。私は一番前の席に座っていたのだが、後ろを振り向くと、何列もの男性たちが、一人残らず手を挙げて動議に反対の意思を表示していた。私は怒りのようなものを感じた。レベッカが語った、売買春が彼女の人生に与えた恐ろしい影響を、どうして無視することができるのだろう。そして、動議に賛成した他の女性たちの英知をどうしてあっさり無視するのか。

 そして、この動議に反対して発言した人々――その全員が、ピンプ、売春店経営者、買春客を含む性産業全体の完全な非犯罪化を求めていた――が提示した安易な答えや誤った情報に、どうしてやすやすと引っかかるのか? 「反対」に挙手した男たちは、ピンプを非犯罪化すれば女性たちがより安全になると本当に信じていたのか? どうすれば女性が安全になるのか、疑問に思わなかったのか? 誰もそれを説明しなかった。そして彼らはけっして説明しない。なぜなら、そのような道を歩んだ国々での実際の研究において、女性たちが突然、奇跡的に安全になったという結果は出ていないからだ。

 その夜以来、私は頭の中でそれらの男たちに語りかけている。最近になって、そろそろ頭の中から紙に、いやインターネット上に書き出してみようと思った。

 だから、これはそうした男性たちへのメッセージだ。労働党、緑の党、自由民主党、あるいは「エクスティンクション・レベリオン〔直接行動を行なう急進的環境団体〕やCND(核軍縮キャンペーン)などに所属しているかどうかにかかわらず、他のすべての左翼男性へのメッセージでもある。あなたたちがどの組織や運動に属しているのであれ、私たちが住む世界のあり方に懸念を抱いているからそうしたものに参加しているのだろう。あなたは戦争や武器売買にうんざりしているのだろう。あなたは社会主義者かもしれない。物事がより公平に組織されることを望んでいるのだろう。また、環境や自然を大切にし、将来の世代のために保存したいと考えているに違いない。

 考えてみてほしいのは、そのような世界のどこに売買春の居場所があるのかだ。

 ヴィクトリア朝時代のイギリスでは、システム全体が女性に恐ろしく不利にできていたため、結婚していない人や家事サービスに従事していない女性たちの多く、おそらくほとんどが、夜露をしのぎ糊口を潤すために売春以外の現実的な選択肢がなかった。そうでなかったとしても、彼女たちが売春を選んだとあなたは思うのか? 本当に? どうか自分を欺かないでほしい。

 労働組合と労働運動は、より良い条件を求めて闘ってきた。労働時間の短縮、休日、安全基準、家族賃金などだ。そして最終的には、女性にとってもより良い賃金と機会が保障されることになった。それがイギリス労働運動の遺産であり、成果だった。

 しかし、もし性産業が非犯罪化されれば、女性たちが行き着くのはヴィクトリア朝時代のイギリスだ。なぜなら、性産業を非犯罪化することは、売春は単なる仕事の一つであると国家的に宣言することになるからだ。そして、それが単なる仕事ならば、貧しい女性たちは売春をする以外の選択肢がなくなってしまう。それがまごうことなき現実であり、もしそうでないと考えるなら、それは自分自身を欺くことである。

 では、売買春はいったい何のために行なわれているのか?

 彼らは、「セックスワーク」は単なる仕事だと言う。貧しい人々がしなければならない他のくだらない仕事と何ら変わりはないと。しかし、考えてみてほしい。それらの仕事は、たとえそれがコーヒーを入れることや小包の配達であっても、社会が実際に必要としている有用なものに貢献している。そしてそれらの仕事においては、女性は服を脱ぐ必要はないし、男性が女性の体をまさぐったり、ペニスを突っ込んだりされることもない。

 しかし、売買春はどうか? それは社会に何をもたらしているのか? どのような社会的ニーズを満たしているのか?

 それが単に男性のオーガズムのためではないことは、男性のみなさんもよくおわかりのはずだ。なぜなら、それは自分一人でもできることだからだ。そうではなく、それは女の身体を使って男のエゴを充足することであり、女性に男へのへつらいをさせることであり、そして男たちが女性に対して自分の思い通りに、時には残酷な方法でもって行動できるようにするためのものだ。言いかえれば、それは男性特権をめぐるものであり、この男性特権を育成することなのだ。

 では、男性特権は何と結びついているのか?

 それは、男性の暴力と結びついており、男性の貢献を過大評価して女性の貢献を過小評価することと結びついており、戦争と結びついており、天然資源の極端な資本主義的略奪、等々と結びついている。つまり、あなたが憂慮しているほとんどいっさいと結びついている。

 これがあなたたちの本当に奨励したいことなのか? 女性が性的に利用され虐待されることを容認しつつ、女性を性的に利用しているまさにその男性にへつらうことが、より良い世界を作ることにつながるのか? 本当にそうか?

 どうか考えてみてほしい。

 性売買の完全非犯罪化は、人間の最悪の部分すべてに屈服することになる。それはけっして、女性の安全を守ることにはならない。

 より良い世界を本当に望むなら、男性は真実を直視する必要がある。男性の特権、男性の性的権利、男性支配は、人間的で公正で環境的に安全な世界とは両立しない。

 より平等主義的でより公正な世界を望むのであれば、男性が女性や少女への性的アクセスを購入する「権利」を認めないよう、法律を変えなければならない。性的アクセスを購入することは許されないことを明確にしなければならない。そして、女性や少女にもっと良い選択肢を社会的に提供する必要がある。

 それが「北欧モデル」だ。それとは異なる説明を誰にもさせてはならない。

出典:https://nordicmodelnow.org/2019/07/19/a-message-to-left-wing-men/

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投稿者: appjp

ポルノ・買春問題研究会(APP研)の国際情報サイトの作成と更新を担当しています。

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